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Tableau Serverサイト運営の投稿-31
事業会社でTableau Serverの元サイト管理者を担当していました。(Tableau Cloudでない、自前のTableau Server管理です。)
Server管理者(以下、管理者)のみなさんに役立つと思い、上司を登場させてよくあるパターンを作ってみます。
【事例】ある会社では、いよいよ来年度予算の申請のために上司が大型の新規予算申請をすることに。利用が向上しているエビデンスを出して予算獲得のストーリーを作ります。(上司コメント太字)
投稿-21「Tableau Serverワークブックイベント管理」、投稿-26の「組織要員情報」をつかいます。
今回はダッシュボードを作ります。(最後に該当のVizのリンクあり)
1.上司とのやりとり
上司:CoE体制を構築して、はや6ヶ月、営業本部全体の活用は進んだし、他の事業部でも利用が少しづつ上向いているようだ。Creatorライセンスの一括購入の件もあるので、来年度は予算を大きく申請しようと思う。
管理者:当社全体の枠が決まっている中で新規に大型予算を申請すると他の事業部やコーポレートセンターの部から反対の声が出ないでしょうか?予算獲得は毎年水面下で熾烈な争いがあると聞いています。
上司:ま、最後はTOPの経営判断で決まるんだけどね。熾烈な争いの中身は刺激的なので君にはまだ早い。いずれ教えるよ。ところで申請の裏付けとなる利用の増加を示す方法はあるかな?予算が増えればServer管理を体制強化してもいいよ。
管理者:本当ですか!それじゃ、気合いの入ったのを作りましょう。実は一人でTableau Serverを管理するのはつらくて。。。
上司:つらい話はあとでいいよ。観点は次のようなことを見える化してほしい。①利用が伸びていること②利用部署の一覧と上位が上に来るように③ユーザー一覧も同じようにしよう。ランキングの上位の人は嬉しいし、下位の人はもっとアクセスしようとモチベーションUPするかもしれない。④見られているワークブックも表示しようか。それらは今後も全員が見れるダッシュボードとしてパーミッションを登録して。
管理者:①の利用の伸びは時間の経過ととも横軸が増えてもいいですが、②③④は昔からと最近では累計値に不公平感が出ませんか?見ばえもあるので直近3ヶ月の件数表示でどうでしょうか?
上司:なるほど。そうしよう。予算申請は来週末期限なので、今週中に完成させてもらって、来週初に早速レビューしよう。あと追加で本部長が見ていることを強調したいので、役職別にも見れるようにしておいて、「役員・部長」を選択すると本部長や営業部長の実績が見れるようにして。
管理者:わかりました。
※前提条件:リポジトリDBでpublic.hist_users>nameがSSOの場合のログインIDとして想定します。またこのID=社員IDと考えてください。ただし組織内のシステム環境でメルアドなど異なるIDが付与される場合はSSOのログインIDと社員IDとのマッピング表を用意しましょう。
※この会社では組織要員情報に基づいてライセンスを社員全員に発行している前提とします。なので使ってない人にもライセンスが割り当てられています。
●ダッシュボードデザイン
左上:利用実績トレンド(A)、右上:ワークブック別利用実績(B)、
左下:部署別利用実績(C)、右下:ユーザー別利用実績(D)
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●Viz作成方法
※今回はダッシュボードを作ります。
<共通>
①Tableau Serverワークブックイベント管理にデータ接続
②組織要員情報を内部結合
※過去のイベント取引と履歴で保有している組織要員情報(異動情報あり)はイベント日時_Jstを適用開始と終了日ではさむ感じで結合
イメージ:適用開始日≦イベント日時_Jst<適用終了日
※日付の大小判定できるよう、全てを日付型にすること
<作業A>
A①シート名を利用実績トレンドとする
A②パラメータ作成:名前=切替、データ型=文字列、許容値=リスト
(値、表示名)
(アクティブユーザー数、アクティブユーザー数)
(アクセス数、アクセス数)
作成後、右クリック>パラメータの表示にチェック
A③計算フィールド作成:名前=計数
if [切替]="アクセス数" then
COUNT([TableauServerワークブックイベント管理])
else COUNTD([ユーザーの名称]) end
※ここではアクティブユーザーの定義は「月に1回以上ワークブックにAccess Viewしたユーザー」とする
A④フィルターに[イベントタイプ名]をドラッグ&ドロップし、Access Viewを指定
A⑤行に[計数]をドラッグ&ドロップ
A⑥列に[イベント日時_JST]をドラッグ&ドロップ+▼クリックで連続>月を指定
A⑦マーク>色に[サイトid]をドラッグ&ドロップ
A⑧タイトルをダブルクリックし<パラメータ.切替>を追加
A⑨フィルターの[イベントタイプ名]を右クリック>適用先ワークシート>このデータソースを使用するすべてを指定
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<作業B>
B①シート名をワークブック別利用実績とする
B②行に[ワークブック名]をドラッグ&ドロップし、▼クリック>フィルターを表示を指定
B③表示されたフィルターの▼をクリックしワイルドカード一致を選択
B④マーク>テキストに[計数]をドラッグ&ドロップ
B⑤フィルターに[イベント日時_JST]をドラッグ&ドロップし、相対日付フィルターで過去3か月にし、フィルターの表示をする
B⑥列に[イベント日時_JST]をドラッグ&ドロップ+▼クリックで不連続&月を指定
B⑦行の[ワークブック名]を▼クリック>並び替え
並び替え=ネスト、降順、フィールド名=計数、集計=カスタム
B⑧タイトルをダブルクリックし<パラメータ.切替>を追加
B⑨フィルターの[ワークブック名]を▼クリック>適用先ワークシート>このデータソースを使用するすべてを指定
B⑩ヘッダー>分析>合計>行の総計を表示と列の総計を表示と列合計(上に表示)を指定
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<作業C>作業Bのシートコピーで省力化しましょう。
C①作業Bで作成したワークブック別利用実績シートを複製し、部署別利用実績に名前を変更する
C②コントロールキーを押しながら、行のワークブック名の上に所属部署をドラッグ&ドロップ(Switchします)。その後▼クリック>フィルターを表示を指定
C③表示されたフィルターの▼をクリックしワイルドカード一致を選択
C④行の[所属部署]を▼クリック>並び替え
並び替え=ネスト、降順、フィールド名=計数、集計=カスタム
C⑤フィルターの[所属部署]を▼クリック>適用先ワークシート>このデータソースを使用するすべてを指定

<作業D>作業Cのシートコピーで省力化しましょう。
D①作業Cで作成した部署別利用実績シートを複製し、ユーザー別利用実績に名前を変更する
D②行の[所属部署]の左に[ユーザー氏名 (組織要員情報)]を、右に[役職名]をドラッグ&ドロップ。その後[役職名]を▼クリック>フィルターを表示を指定
D③表示されたフィルターの▼をクリックし、複数の値(ドロップダウン)を選択
D④コントロールキーを押しながら、マーク>テキストの[計数]の上に[TableauServerワークブックイベント管理]をドラッグ&ドロップ(Switchします)。
D⑤タイトルをダブルクリックしアクセス数にする
D⑥行の[ユーザー氏名 (組織要員情報)]を右クリック>並び替え
並び替え=フィールド、降順、フィールド名=Tableau Serverワークブックイベント管理、集計=カウント
D⑦フィルターの[役職名]を▼クリック>適用先ワークシート>このデータソースを使用するすべてを指定
D⑧フィルターの[イベント日時_JST]を右クリック>適用先ワークシート>選択したワークシートを指定
利用実績トレンド以外の3つを指定
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<ダッシュボード作成>
DsB①:当初のダッシュボードデザインを元にシートを配置する
DsB②:ワイルドカードフィルターの2点は名称変更+浮動にする
ワークブック名→ワークブック名(ワイルドカード)
ワークブック別利用実績のヘッダーに浮動配置
所属部署→所属部署(ワイルドカード)
部署別利用実績のヘッダーに浮動配置
DsB③:[サイトid]の凡例は利用実績トレンドに浮動配置
DsB④:右上の[切替]は単一の値のリストにする
DsB⑤:すべてのシートでフィルターのマークをチェックする
(相互にフィルターアクションが効くようにする)
DsB⑤:Tableau Serverにパブリッシュするとともに、すべてのユーザーに参照できるようにパーミッションを設定する
※お好みで色やフォント、テキストや空白オブジェクトを利用ください
イメージオブジェクトで画像を挿入してもいいと思います
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※操作のキャプチャは長いですが、実際の操作はそれほど難しくないです。
今回はTaleau Publicにワークブックをパブリッシュしました。リンク先は下記になります。(ただしデータはダミーデータです。)
Tableau Public
TableauServer利用実績DsB
2.おまけのTips
事業会社の場合は来年度の予算獲得大事ですよね。各部門も部署も成果や来年度の企画を元に必要な経費を申請します。デジタル化推進の部署はスモールスタートだったりするのですが、新技術を使うので割と予算が必要になります。今回はデータ基盤とBIツールの組み合わせなで、ちょうどアーリーアダプターからアーリーマジョリティに段階が進むところにキャズムという停滞があります。これを上手く乗り越えると一気に広がるので、多面的に施策を展開する方がよいと思います。まあこれらには当然経営資源(ヒト、モノ、カネ)がかかります。中長期的なロードマップをもって来年度の予算申請しましょう。
・様々なレイヤへの研修
・成果物作成支援(CoE部署は作成でなく作成支援です。)
・マシンの増設
・他部署とのコラボ。特に人事評価制度とコラボできるとgoodです。
・Eラーニングコンテンツ
※このコンテンツで少しでも予算獲得に貢献できれば幸いです。
CoEはKPI管理とヘビーユーザーのモチベーションUPしましょう
・期末近くなったら打ち立てたKPIを元に実績を管理・評価しましょう。
・今回のダッシュボードでアクセス数、アクティブユーザーが取得できます。KPIに役立てましょう。
・人事的な表彰でなく、グッズの配布でもいいので、上位の人になにかプレゼントするとモチベーションがあがると思います。
・役職でなく、社内の何か称号を作ってもいいですね。
・利用の多い役員・部長にインタビューして社内ポータル記事を作るのもいいかもしれません。(活動を発信する事って大事です)
余談:サイト管理者の勤めるある会社の社内宣伝
過去の投稿のアフターストーリーでは語っていませんが、この会社では、当然にファンを増やすために社内ポータルに以下の内容を毎月のように掲載しています。
※何かイベントや情報収集があれば積極的に発信しましょう。ファンが増えると思います。
投稿-25:各部の事例
投稿-26:Creator研修したこと(写真付き)
研修後アフターフォローの運営開始
定着した部署のマネジメントコメント(効果の大きさ降順)
研修のまなび後の現場ヒアリング(ポジネガ全て)
投稿-27:CoEチームの立上げ(写真付き)
投稿-29:月次社内ユーザー会はじめました
投稿-30:ダウンロードログと実施者へのヒアリング結果
その対策としての以下の2点の開始
・Explorer研修
・Viewer向けのEラーニング
おことわり
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