見出し画像

Tableau Serverサイト運営の投稿-29

事業会社でTableau Serverのサイト管理者を担当しています。(Tableau Cloudでない、自前のTableau Server管理です。

  • Server管理者(以下、管理者)のみなさんに役立つと思い、上司を登場させてよくあるパターンを作ってみます。

  • 【事例】ある会社では、上司が一部の人にダッシュボード作成が集中しすぎていないか気にしています。(上司コメント太字)

  • 投稿-18の「Tableau Serverプロジェクト属性」、投稿-17の「Tableau Serverオブジェクト属性」をつかいます。

  • 今回は結構手順も長いのでこのブログを別モニターで見ながら又は印刷しておいて確認しながら作業をするのがおすすめです。


1.上司とのやりとり


上司:CoE体制を構築して、はや3ヶ月、本部長のトップダウンで営業本部全体での活用は進んでいるとは聞くんだけど、実際はどうなんだろう。部門全体に広げたいと思っているが、一部のハイスキルな人だけにダッシュボードの作成が集中したりしていないかな?
管理者:そういうのはレポートファクトリ―というらしく、よくあるケースです。しかし一部の人に集中すると作業のボトルネックが発生し、会社全体ではよくない状況と思います。

上司:営業本部の部門長や法人営業部長も部門全体に浸透させたいので、一部にかたよるのはよくないね。まずはユーザー別に特定の人に集中していないかモニタリングできるだろうか?
管理者:Tableau DesktopやTableau Prep BuilderでローカルPCやファイルサーバに保存しているオブジェクトはわからないのですが、Tableau Serverにパブリッシュしているオブジェクトはモニタリングできそうです。

上司:じゃあプロジェクト階層ごとに所有者名を付与してオブジェクトを一覧化してもらってもいいかな?、所有者名とCreatorリストと結合して、オブジェクトを作ってないユーザーを洗い出した上で、成果物をつくらないユーザーはライセンス変更しよう。
管理者:確かに、高額なライセンス費用だから、おっしゃるとおりですが、ドラスティックにやるとCreatorになりたい人の意欲をそぎ落とすかもしれません。まずは、月次モニタリングでリストを公開し、今年度はレポート還元だけだが、来年度はライセンス変更を検討すると予告だけ出しましょう。また自部署でライセンスを発注していると「コスト負担しているのでとやかく言われたくない。」と抵抗されそうですね。

上司:なるほど。ではライセンスは来年度から当部で会社全体分を一括購入することにしよう。その方がボリュームディスカウントが交渉できるし、ライセンス変更などのコントロールがルール化しやすいだろうね。来年度予算にはまとまった額を計上するよ。Creatorは当部から配布する前提だが、コスト負担がないと、使うか分からないけど念のため申し込みする人が増えるので、工夫が必要だね。各部Max3ライセンスまでは当部負担で、それを超えるものは各部経費を予算化してもらい、発注と支払いは当部で一括にしよう。ただし、Tableau Desktop Specilist資格を保有している人はMax3ライセンスの縛りなしで申し込みベースでライセンス保有OKにしようか。そうすれば資格取得のインセンティブにもなりそうだ。
管理者:わかりました。

●Viz作成方法
※今回は各プロジェクト配下にオブジェクトリストをつくるイメージです。
①Tableau Serverプロジェクト属性にデータ接続
②Tableau Serverオブジェクト属性を左結合(サイトID、プロジェクトIDと格納プロジェクトID)。
③データソースフィルターで以下の2つについて「ワークブックを開いたときに最新の日付値にフィルターします」にチェック
・プロジェクト属性>データ基準日時
・オブジェクト属性>データ基準日時
④行に以下の項目をドラッグ&ドロップ
[サイトid][最上位プロジェクト][プロジェクトパス][プロジェクト階層][プロジェクト名][プロジェクトid][オブジェクト種類][オブジェクト名][データソース埋込][所有者名][(ディメンションにした)サイズ][(文字列にした)登録日時_Jst]

行に入れる項目が多いので表示は改行しました。
  • Excelなどに貼り付けます。
     ※頑張ってTableauでもいいですが、Excelの方が作業早いかと。
    ワークブック上でシートができたら、ヘッダー>ワークシート>コピー>クロス集計でクリップボードに入れたのちに表計算ソフトを立ち上げ、右クリック>貼り付けで状態を貼り付けましょう。

  • データソース埋込を表示/非表示決めます
    管理上はデータソースが存在しても、ワークブックに埋込されている場合です。この場合はWebUI上はデータソースはオブジェクトとして見えないので、WebUIを再現するのであれば、埋込=workbookのものは非表示の方が再現できます。

  • 重複チェックします。
    プロジェクトパスとオブジェクト名を結合して、作ったセルに対して、条件付き書式設定>セル強調表示ルール>重複する値とすると、重複が出るかもしれません。これは同じパス&同じ名前でオブジェクトIDが異なるので、オブジェクトのリビジョンと思います。Disk使用サイズなどの物理的な計測では必要ですが、UIで見えているものと同じものを管理する場合は最新だけを管理すればいいと思います。
    ※リビジョンはdatasourcesとworkbooksテーブルには存在しますが、flowテーブルには存在しませんので、flowは最新1バージョンだけなのかもしれません。オブジェクトIDは異なるので名称+リビジョン or 名称+登録日時_Jstで管理しましょう。

2.おまけのTips

事業会社の場合は経費予算の負担が重要な課題になります。特にEUDなどを各部門・部署でサポートしている場合は、メンテナンスするエンジニアがいたり、大きなIT予算があったりします。個別最適は、そのシステムによっては、良い面もありますが、データ利活用を考えると全社共通のデータ基盤やBIツールがある方がよいと思います。(データがサイロ化しないし、ライセンスコストなどが集約されるためです。)
CoE組織として推進する場合には、部門とのしがらみも含めて調整しましょう。その際の論点は「会社としての最適な形」のロードマップをしっかりと議論することです。各部との調整はハードですが、ロードマップの納得性がないと各部とも従来のやり方を踏襲しがちです。中には全社のデータ利活用に賛同してもらえる部門や部署はあると思います。まずはそういった人たちを味方につけて、推進しましょう。

CoEの策定するルール

・今回のようにライセンス発注と配布の集中化のみならず、技術面以外でもTableau活用の運営上のルールを決めていきましょう。
・投稿-06ではプロジェクト階層案を作っています。このとおりでなくとも、問題ありませんが、この後の管理面でもオブジェクトがある程度整理された状態を保てるので、ルール未整備の状況があれば、早めにルールを決めて、利用者に従ってもらいましょう。
・またルールを周知する場として社内ユーザー会のTeamsやSlackを構築したり、月次の定例会などを定期的に開催することもお勧めです。個別に開催するとミーティングの参加者調整だけで相当な時間がかかります。定例開催の場でアジェンダの一つとして説明するのがいいと思います。

おことわり

当記事のコンテンツについて、商用利用でない場合は許可なく転載して頂いて構いません。
転載の際は、当記事へのリンクを掲載し転載であることを明記してください。商用利用の場合は許可なく転載しないで下さい。
当記事のコンテンツについて、公開情報等から引用したものであり、かかる情報の正確性・適切性等については、これを保証するものではありません。
っておらず、また、これを保証するものではありません。


いいなと思ったら応援しよう!