インターナショナルスクール/現地校は何歳から行くのが良いのか
子供の年齢と英語習得速度の関係
これまで英語を習得しようとしている様々な日本人の子供達について見聞きし、子供の年齢と英語習得速度についての意外な関係がわかってきたのでご紹介します。
結論から言いますが、英語を習得するのに一番時間がかかる子供の年齢は7歳前後であると私は思うようになりました。これは私にとっては想定外で、なぜかというと私は子供の年齢が若ければ若いほどスピーディーに英語を吸収できると思っていたからです。
私が気づかされたことは、英語習得速度を考える上で重要な要因が4つあると言うことです。それは「新たな言語の吸収力(高い方が良い)」、「年齢に応じた最低限必要な語彙力(低い方が良い)」、「意識的に勉強する必要性(ない方が良い)」、そして「勉強することに対する耐性(必要な場合は高い方が良い)」です。
私が子供の年齢が若い方が有利と思っていたのは「新たな言語の吸収力」が若い方が高いと思っていたからで、他の要因を考えられていませんでした。
年齢別4つの要因の影響
0歳〜2歳
新たな言語の吸収力:非常に高い
最低限必要な語彙力:非常に低い
意識的に勉強する必要性:ない
勉強することに対する耐性:不要
2歳以下の子供は英語習得に最適な年齢です。まず「新たな言語の吸収力」が非常に高い上にこの年齢で必要な語彙数は少ないです。そのため英語と日本語を同時に吸収し始めたとしても全く問題なく英語圏の子供たちと同じ速度で英語を習得することができます。このくらいの年齢では、大人が読み聞かせをした絵本の内容を、英語の文でも日本語の文でも一言一句間違わずに暗唱(文字がまだ読めないので必然的に暗唱になるのですが)するという離れ業をやってのけます。
4歳前後
新たな言語の吸収力:非常に高い
最低限必要な語彙力:低い
意識的に勉強する必要性:ある
勉強することに対する耐性:ない
この年齢の子供は既に母国語である日本語で考え、人の話を聞いたり自分から言いたいことを言うようになっています。そのためインターナショナル幼稚園/現地幼稚園に通うことになると、まっさきに「他の人の言ってることがわからない」と言う状態に陥り親に泣きつきます。この時点で自分が今まで言っていたこと(例:靴)はここではこう言うんだ(例:Shoes)という勉強が必要になります。この年齢の子供は勉強することに対する耐性はありませんので、英語を勉強することで幼稚園生活を楽しくしようと言う考え方がなかなかできません。しかしながらこの年齢に必要な語彙力は限定的なため、3ヶ月から半年も経てば最低限必要な語彙力はつき幼稚園でやっていることについていけるようになるでしょう。
7歳前後
新たな言語の吸収力:高い
最低限必要な語彙力:結構高い
意識的に勉強する必要性:ある
勉強することに対する耐性:ほぼない
7歳というと小学生低学年ですが、この年齢の難しいところはそれなりの語彙力を求められることです。仮に真面目な7歳児がいたとして毎日英語の勉強をしていたとしても学校でやっていることについていけるようになるまで1年くらいはかかると思います。そしてそんな真面目な7歳児などほぼ存在しません。なぜならほとんどの7歳児には勉強することに対する耐性などないからです。だから「頑張って英語を勉強してクラスのみんなについていけるようにしなくちゃ」などと思うことなく授業内容を全然理解できないまま放置したり、同じ学校の英語のわかる日本人児童に日本語で色々教えてもらおうとするのです。その結果、自分の力だけで授業についていけるようになるまでダラダラと2〜3年もの時間を要することがあります。
12歳前後
新たな言語の吸収力:そこまで高くはない
最低限必要な語彙力:高い
意識的に勉強する必要性:ある
勉強することに対する耐性:ある
勉強が苦手でない子であれば、このくらいの年齢でインター/現地校に通い始めるのは悪くないと思っています。新たな言語の吸収力が衰えていく中、要求される語彙力が高くなっているので周りに追いつくのにかなりの勉強量を要します。しかしながらこの年齢の良さは勉強に対する耐性が高くなっているケースが多いことです。そのため子供が「クラスについていくためには英語の勉強あるのみ」という発想になり得るのです。もちろんとても大変なので最初はどの子も泣きたくなるのですが、やるしかないと腹をくくれる年齢のようです。「同じ学校の日本人にずっと頼っていたら意味がない」と言うのも自然に理解し(というか恥ずかしいと感じ)どうにか自分の力で授業についていけるようになろうとします。必死にやった結果、自分の力だけで授業についていけるようになるまで2年もかからなかったりします。
3年間限定インター/現地校なら何歳からがいいか
仮に3年間の駐在期間中しか子供をインター/現地校に通わせません、と言うのであれば、私は子供が12歳前後の時に転校するパターンがいいのではないかと思っています。ネイティブ並みになるのは大変難しいと思いますが、勉強しようと思って3年間努力した結果インター/現地校の15歳のクラスについていける語彙力が身についているのであれば、その時点で日本のどの大学の入学試験にも対応ができることになりますし、12-15歳の時に覚えたことはそう簡単に忘れません。また、12歳まで日本にいたということは日本語の基礎は完全に出来上がっているはずなので、海外で無理に日本語学習環境を整える必要はなく、日常的に家族と日本語を話したり日本語コンテンツを楽しんでいればひとまず大丈夫というのも良い点として挙げられます(もちろん帰国後に中学校で習う漢字などのキャッチアップはしないといけませんが、いきなりインター/現地校に放り込まれるのと比べれば大したことではないはずです)。
ネイティブになることを目指すのであれば2歳以下から英語習得環境を実現するのが理想的ですが、2-5歳の3年間限定ということになると必要な語彙力が低いですし、覚えたことも帰国後すぐに忘れます。7−10歳の時期でクラスについていけるくらいの語彙力がつくのであれば十分アドバンテージになると思うのですが、上記した理由により中途半端な習得具合になることが多い気がしますし、帰国後の英語維持環境を整えてあげないと忘れていく可能性が高いです。