クラシック音楽をエンタメ化するピアノデュオ「アンセットシス」~ジョン・ウィリアムズ・ピアノコレクション
アン・セット・シスというピアノ・デュオをご存じでしょうか。ともに作曲家でピアニストである山中惇史さんと高橋優介さんという才気溢れる二人によるピアノ・デュオです。
この二人、レスピーギのローマ三部作を2台ピアノ・バージョンに編曲し、世界初演をしたのを皮切りに活動をスタとさせました。二人ともクラシック音楽の演奏を主とする実力派ピアニストです。
そんな二人が昨年発表したCDが「ジョン・ウィリアムズ ピアノ・コレクション」。
このCD、タイトルの通りジョン・ウィリアムズの映画音楽を2台ピアノで演奏したものなんですが、単純に人気曲を2台ピアノで演奏してみましたというものではなく、2台ピアノならではの楽しさを最大限に引き出そうとした超絶野心作なのです!
ジョン・ウィリアムズの音楽と言えば、華やかに金管が鳴り響くゴージャスなオーケストラ作品というイメージがあります。それを2台のピアノで演奏して面白いのかとはじめは思いました。しかし、彼らの演奏を聴いて度肝を抜かれました。本当に素敵なのです。まずはこの動画を観てください!
映画「フック」より「ネバーランドへの飛行」という曲の2台ピアノ・バージョンなんですが、メチャクチャに格好良いです。
この曲、ジョン・ウィリアムズのファンには馴染みの曲で、原曲は分厚い金管楽器パートと軽やかな弦楽器パートが目まぐるしく主旋律を受け継ぎながら展開していくいかにもジョン・ウィリアムズらしい作品なんですが、二人の演奏を聴くと原曲の良い部分を活かしながら、また違った魅力が溢れ出ているのです。
曲の疾走感については、原曲もノリノリなんですが、ピアノの特性を上手く活かしてさらに疾走感が増しています。また、原曲では金管の分厚い音にかき消されてしまっているのであろう主旋律の下で鳴っている色んな音たちを上手く使い、曲の面白さを最大限に引き出しています。そして何より、メロディの素晴らしさを決して損なわない王道のアレンジが明快で分かり易く、原曲のワクワク感をそのまま以上に再現しているのです。
2台ピアノによる編曲は下手をすると単にうるさくなってしまうだけだったりするのですが、アン・セット・シスによる編曲は本当に上手い!
この曲の他には「ハリーポッター」「スターウォーズ」「ジュラシックパーク」などジョン・ウィリアムズの代表曲がたっぷりと収録されており、どの曲も聞きごたえ十分です。
その上で、ここからは宣伝になってしまうのですが、大阪のあいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールにて彼らのコンサートが2月6日(日)に開催されます。
もしかしたらオーケストラで聴くよりもレアな演奏会になるかもしれません。是非、生演奏で聴いてください。お勧めです!