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グリーグ「抒情小曲集」というピアノ曲集

グリーグは「ペール・ギュント」や「ピアノ協奏曲」等で有名な北欧を代表する作曲家です。作曲家の流れで言うと、ブラームスより10年後、ドヴォルザークやチャイコフスキー等と同年代です。

グリーグが生涯にわたり書き連ねたのが抒情小曲集というピアノ曲集です。全部で10集あり、まさにグリーグのライフ・ワークともいえる作品です。

その抒情小曲集だけのリサイタルを企画したのが中村圭介さんというピアニストであり、先日そのコンサートを聞きました。


グリーグと言うと、ピアノ協奏曲の派手なイメージが先行しますが、抒情小曲集はグリーグの内面と愛する故郷を丁寧にスケッチしたような非常に愛らしい曲が並びます。1曲1曲はとても短いのですが1曲の中に小さな物語がギュッと凝縮されており、どの曲もそれぞれのキャラクターを持っています。「蝶々」「ハリング」「風の精」「感謝」というシンプルなタイトルを想いながら聴くと、北欧の長い冬が終わった後の柔らかな春の日差し、人々の喜びの踊り、木々に囲まれた森の中の風景など様々な映像が次々に浮かんできます。

今回は全10集の中から抜粋され、中村さんならではの音の風景が編まれていきました。中村さんの演奏はとても繊細で、誠実な音の粒が心地よく響いてきます。まるでグリーグ本人が、トロルハウゲンの自宅のピアノで演奏しているかのようでした。

抒情小曲集のみでプログラムされたコンサートはとても珍しいですが、また聴いてみたいと思える素敵なコンサートでした。


中村圭介さんの作品はこちら↓


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