2023年の終わり方
2023年が終わる。これまでの年と同じように。
昔は一年が終わるとき、周りが「早い」と言っていても、まぁこんなもんかぁ、ぐらいの感覚でいた。それが、ここ数年はあっという間に時間が過ぎていく。学生の終わりが近づくにつれて、自分の道筋を決められないことに焦るにつれて、その感覚は強くなっていた。
今年も。ただ、今年はいつもとは違う感じがあった。特に夏以降は記憶がぐちゃぐちゃというか、記憶があるようで無いような期間だった。
それは、嫌で仕方の無かった就職活動を急に始めたり、勢いで受けた会社にそのまま入社して毎日わけのわからないまま働いたりしたことが大きい。
訳がわからないまま仕事をしているために、何かを見落としたり、なにかをやらかすのが怖く、ずっと仕事の事が頭から離れなかった。少しでも油断すると、とんでもないミスをするのではないか、備えなければ、と気が抜けなかった。
ずっと、ぴんと張った糸が切れそうで怖かった。
朝ご飯が喉を通らなかったり、通勤前にえずいたり、夜に仕事の夢を見たり、自分に対して投げやりになって自分を労わるのとは反対の行動を取ったり。いっそのこと寝不足で仕事をすれば何も感じずに働けるんじゃないかとか、軽い事故にでも遭えば出社しなくても済むんじゃないかとか、そんなことを考えることも少なくなかった。
お金を稼ぎながら、これからの自分について考えるつもりが、落ち着いて何かを考えることすら全くできなくなっていた。「あれってどうすれば良いんだろう。」「〇〇のことを忘れていた、今のうちにメモをしておかなきゃ。」「△△のことを調べないと、聞かないと」そんな考えが、休みの日でもつきまとってきた。
「他のことを考えないと。」と言う気持ちは望みでしかなかった。
せめて、年末年始は気持ちも落ち着かせて、好きな本をたくさん読もう。友人たちと会って話を聞こう、今後のことを考える時間を取ろう。とにかく楽しもう。だから、もう少し。そう思っていた。
それなのに、休みの初日、居眠りをして目を覚ました瞬間、身体中が痛かった。全身がだるく、頭にも強い痛みがあった。
その日は早速夜に友人と会う約束をしていたから、熱があるだなんて、思いたくなかった。
気のせいであって欲しいと願い、もう一度眠った。しかし、夕方に目を覚ましても、やはり身体の状態は悪く、熱を測ったら39度近くの熱があった。
症状はインフルエンザ。インフルエンザなら5日間の隔離。ちょうど休みの日数と同じだった。やっと来た連休での発熱。悔しかった。
休みに体調を崩し、病み上がりには出社できてしまう、会社にとっては都合の良いスケジュール。こんな時でさえ、休む機会を、楽しみにしていたイベントまでを奪われた、そんな気持ちだった。虚しかった。
友人らにも今日は行けないと連絡をし、休日診療所病院へ向かう。ぐったりしながら順番待ちをしたが、発熱からの時間が短すぎて、検査は次の日にすることになった。
解熱剤と痛み止めを飲むために、腹に食べ物を入れ込む必要があった。しかし、それも気持ちが悪くてなかなか食べられなかった。また、悔しくて涙が出た。最近しょっちゅう泣いている気がする。
身体がしんどすぎて、座って本すら読めない。せっかくの休みなのに。これのためにここ数日は特に無理をしていたのに。悔しくて、悲しくてたまらなかった。
結局、次の日に検査をしたところ、新型コロナもインフルエンザも陰性だった。
「ただの風邪ですね。」
風邪?こんなのは人生で初めてだった。ただの風邪でこんなに熱が上がることも、体中が痛くて寒気がすることも。
自宅待機は免れたけれど、せっかく休みなのに、と言う悔しさは残っている。今はやっと、このページを書くくらいの体力が回復してきている。
そうやって、私の2023年は終わる。
さようなら。2023年。