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「老人と猫」4

腎臓病の猫は腎臓のろ過機能が落ち、食事などから老廃物(毒)がどんどん身体に溜まる。 症状が進み、終末期には尿毒症を引き起こし、痙攣などの神経症状が起きて死に至る。 早い段階から点滴や服薬を続ける理由は、定期的かつ強制的に溜まり続ける毒を身体の外に出すためだ。 腎臓病になった猫が水を沢山飲むのは、オシッコで毒を外に出さないと死んでしまうから。 動物の行動には全て意味があり、それが本能として標準装備されている。 「気持ち悪くてどんどん食べれなくなっていくと思う」という医師の言

    • 「老人と猫」3

      フクちゃんの通院カルテと経過と思い出あれこれ。 23.2.4 引越し前に通院。 歯周病による痛みあり、右上顎化膿 パウチ食べるが食事量少なめ。 血液検査 腎臓の数値は高いが年齢相応。 コンベニア、デポメ、1TDC 化膿は良くなったが、痛み軽減ない様子。 23.2.18 口の痛み継続 コンベニア、デポメ 痛み軽減ない様子。 関節痛あり、ジャンプするのを戸惑っている。 ソレンシア注射 後日痛み軽減。ひょいとジャンプできるようになる。 新しい家や先住猫に臆することなく、マイペー

      • 「老人と猫」2

        我が家には2匹の雄猫がいる。 白いのが鰻(ウナギ)、黒いのが戎(エビス)という。 鰻は13年前から一緒に暮らしていて、2年前に嫁の獅子頭という猫を亡くしてから、男やもめになりシュンとしている。 小さい時から溺愛しているので、恐ろしくプライドが高い。 1年半前に戎がやってきた時は『臭き者』『妻が居なくなった途端に、なんという手前勝手な事をするのか』と鼻をヒコヒコさせながら激怒したが、戎が『兄さん、兄さん』と下手に出て仁義を見せたので、かろうじてプライドが守られている。 臆病で

        • 「老人と猫」1

          フクちゃんは、とある大きなお屋敷の猫だった。 19年前、庭でフラフラしている所をお屋敷のお嬢さんに拾われた。 そのままお屋敷の子になり、広い広いお庭や畑で狩りをしたり、軒下の涼しい場所や縁側でお昼寝をして過ごした。 フクちゃんには恋人がいた。 御歳99歳の人間の恋人だった。 拾ってくれたお嬢さんのお父さんで、お屋敷のご主人だった。 奥さんを亡くしてから独りと1匹暮らしで、皮肉屋で優しく、ユーモアたっぷりで毒舌で、頭の回転が速い人だった。 はじめて会った時は高い木に登って枝

          獅子。

          4/18 当たり前にそこにあったものがどこを探しても居ない。 寝転んだ背中に乗って来ない。 私を呼ばないし、手触りもない。 分かっているのに、ふとした時に「あれ?獅子は?」と思う事がある。 鰻は獅子が居なくてもわんこそば式のご飯を食べてしっかり眠り、よくやっている。 でも少し変わった事をする。 ボールを咥えて走ってきて、「投げて」と言うようになった。 これは獅子が好きな遊びだった。 何回投げても咥えて戻ってくるので、「犬みたい」と言ってよく笑っていた。 鰻にも何度も同じ

          獅子。

          たかが猫が死ぬくらいで。④

          4/1 朝、獅子はおやつを少しだけ舐めたきり、「もういらない」と横を向いてしまった。 一時期は2本程食べれていたけど、だんだんと顔つきが険しくなり、じっと横を向いて、何か考えているんだろうか。 撫でても、前のように嬉しい顔をしなくなった。 換気扇の下で一服やっていると、お隣さんの犬が2匹、元気に吠えているのが聞こえた。 飼い主に「うるさいな!!」と怒鳴られている。 仕事に行かないといけないのに、足元で戯れてるんだろう。 平日は必ず同じ時間に怒られているので、今 は朝の7時

          たかが猫が死ぬくらいで。④

          たかが猫が死ぬくらいで。③

          3/16 何も食べなくなって、水も飲んでいる気配がない。 今日で3日目になる。 元々鰻と獅子の盆は一緒で、同じものを食べさせていたが、2月中旬からはずっと別盆にしている。 鰻の盆は今まで通りの腎臓食で、獅子の盆には毎回10種類くらいの缶詰やパウチを乗せている。 何を食べるか分からないからだ。 鰻は獅子の盆が羨ましいので、自分の皿が空になったら横取りしに来ていたが、最近来なくなった。 近くで獅子が食べ出すのを待っていて、「ううちゃん」と私が呼ぶまで来ない。 呼ぶと一口だけ

          たかが猫が死ぬくらいで。③

          たかが猫が死ぬくらいで。②

          3/1 ご飯はご飯、忘れた頃に薬を飲ませる事にした。 食事は食事で、最近はほんの少量食べるのに30分はかかる。 食後なんかに投薬して、食事自体が嫌になられては元も子もないので、別の事として嫌な仕事を済ませよう。 今日の朝も、連れだって換気扇の下まで来た。 いつもと同じで、鰻が鳴いた後に獅子が鳴く。 「あなた、食べないやん」と獅子に言ったが、どうでも良さそうだった。 猫は、「ご飯ちょうだい」「遊んで」「撫でて」「うんこしたから掃除して」位しか望んでないのかもしれない。 気

          たかが猫が死ぬくらいで。②

          たかが猫が死ぬくらいで。①

          2/12 鰻が朝ごはんを食べなかった。 悪食な猫なのに、目を閉じて皿の反対を向いて座り直した。 初めて見る光景だった。 11年一緒に暮らしているが、毎食秒で完食してたのに。 もう1匹の獅子のお皿にまで手を突っ込んで上前をはねるような猫なのに。 めちゃくちゃ異様な事が起きてる、と思った。 獅子はマイペースにゆっくり食べている。 ここ最近、獅子の食欲も緩やかに落ちてきていて、7〜8割程しか食べない。 獅子ももうすぐ10歳やもんな、次の休みの日に病院に連れて行こうと思っていた所だ

          たかが猫が死ぬくらいで。①