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姿勢制御の仕組みを探る

はじめに

二足歩行をする人間にとって
バランスを崩さずに立つ
歩くといった動作は欠かせないもの

しかし
私たちは普段
意識的にバランスを取っているわけではありません
一体どのようにして
私たちの身体はバランスを維持しているのでしょうか?

この記事では
複雑で巧妙に構築された
姿勢制御の仕組みについて
詳しく探っていきます

姿勢バランスの制御

姿勢バランスは
視覚、前庭感覚、皮膚感覚、固有感覚からの情報を統合し
適切な筋活動を制御することで維持されます

この制御には、脳、脊髄、筋肉など
様々な器官が連携して機能する
複雑な神経ループが関わっています

姿勢バランスの調節には
情報の取り込み(前庭、視覚、皮膚、および固有受容入力)
この情報の処理、意思決定(中枢統合と指令)
運動の実行(抗重力筋の活性化)が必要です

感覚の統合

姿勢調節は
脳内に存在する
神経細胞のネットワークが機能し
認知機能と内部身体表象(自分の身体の状態や位置に関する情報)
や空間における身体表象の影響を受けます

内部身体表現は以下の情報に基づいて構築されます

身体幾何学
視覚、聴覚、触覚などの感覚を通じて、周囲の環境を認識します
これらの感覚情報は、脳によって処理され
セグメントとして認識されます
セグメントの位置と方向の情報に基づき
行動フレームとして行動を計画し実行します
運動学
足底皮膚表面と地面との間の摩擦、身体の加速度
身体方向、垂直知覚
主観的な垂直情報

姿勢制御

一方で
制御する動作には
感覚入力に基づく姿勢調整と
運動プログラムにおける姿勢反応
を一致することで達成されます

これには
反応的姿勢調整と
予測的姿勢調整の一致
多感覚入力に基づく姿勢調整と
姿勢反応(筋反射や平衡反射)の一致
の2つの側面があります

予測的調整:
動きの前にあらかじめ姿勢を調整すること
例えば歩行開始時に
足を踏み出す前に重心を移動させ
バランスを崩さないようにするようなこと
反応的調整:
バランスが崩れた後に
体勢を立て直すこと
例えば躓いた時に
足を踏み出して重心を移動させること

神経ループと筋

神経的な観点からは
前庭、視覚、皮膚、および固有感覚入力からの情報が
前庭-眼球、前庭-脊髄、および前庭-小脳
を連結をする前庭核で統合されます

眼球運動は
前庭眼球反射などに基づいて行われます

脊髄レベルでは促進性ニューロンと抑制性ニューロンが
伸張反射、腱性反射、同側の屈曲反射、対側の伸展反射など
さまざまな脊髄反射を制御しています

運動の反応は
姿勢バランスの制御中枢を構成する
大脳基底核(運動の選択)
小脳(運動の制御)
一次運動皮質(運動の誘発)によって
選択、誘発、制御、調整されます

これらの運動反応は抗重力筋によって行われます

抗重力筋は
頭部、体幹、大腿部、下腿部、足部と
または近位部に位置し
相互抑制反射を介して
抑制性ニューロンによって抑制されます

頸部や体幹筋は
網様体脊髄路(予測的姿勢調節を促進する)と
前庭脊髄路(反応的姿勢調節を制御する)
および皮質脊髄路の一部と連結しており
遠位筋系は赤核脊髄路と皮質脊髄路により
微細な姿勢運動作用を確保しています


全体として
皮質構造は長いループを介して随意的な姿勢反応を制御し
皮質下構造と脊髄構造は
それぞれ中程度のループと短いループを介して
自動的な姿勢反応と反射的な姿勢反応を確保しています

終わりに

私たちの身体は
このような複雑なメカニズムによって
無意識のうちにバランスを維持している
と考えると凄いものですよね

ぜひ姿勢制御の仕組みを
理解し生かしてください

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