シャッターのある箱
またカメラを増やした話である。
持っているものと異なる形、機構、大きさ、そういったカメラであると触ってみたくて堪らなくなるのだ。一眼レフなりの大きさがあるNikon FMの代わりに、こいつで気軽にスナップをする自分の姿が浮かんでしまったのもある。
アクメルM。
ミノックス判のフィルムを用いる超小型カメラだ。
シャッターは単速、ピント調節機構はなく、かろうじて絞りをF3.8~F11まで操作できるだけの、「シャッターのある箱」である。
同じような小型カメラで露出計と絞り優先オート機構を備えるもの、シャッタースピードも絞りも操作できるものに比べると、まったく大した機能がない。
が、唯一の優れた点が、とても小さいのだ。
露出計も内蔵ストロボもシャッタースピード制御機構もないがため、菓子の箱かという大きさしかない。それでいて、小型デジタルカメラと違い、フィルムのキリキリという巻き上げ音と、レンズカバー兼シャッターが動作するパチッという音がきちんとある。
握ったときのひんやりとした質感と、しっとりとした艶消しの感触もいい。
使ってみた感じもいい。何せ、ポケットに軽々と入る。しっかり写真を撮りたい時の代わりには無論ならないが、手ぶらの時にひょいとポケットから出して、結構ちゃんと見えるファインダーを覗いてパチッとやるのが楽しくてたまらない。
それならスマホでいいのでは? 野暮である。こういうときは、カメラを使いたいがために写真を撮るのだ。何ならフィルムが入っていなくても、パチパチやっているだけで楽しいのだ。
気になる画質は…… フィルムが超☆期限切れなので(しかも現像に失敗した上に現像液の種類を間違えたので)細かいコメントは差し控えるが、「意外と見られるな」というのが感想である。ハーフサイズカメラより遥かに小さいので、それもあって実に楽しそうだ。
なおフィルムの使用期限は1976年1月。こいつは元から白黒フィルムなので、いつぞやのサクラカラーよりまだましか。説明書を読むに、かつてはヤシカに送れば現像してもらえたらしいが、今はもうやっていなさそうだ。