アミューズでの1ハンド

 
 先日のアミューズ。
 その日はめずらしく空いていて、自分を含めて3人のテーブルだった。1人は自分は初見の方で、35前後くらいでタトゥーをしていて、見た目は少しいかつい感じだけどそれほど愛想が悪いわけでもない方(以下タトゥー)。もう1人は時々同卓する方で、見た目はメガネのおっさんという感じだけどタフでアグレッシブなプレーヤー。雀荘で同卓したらちゃんと打って強そうな雰囲気なので、多分ポーカーも上手いのだと思う(以下雀ゴロ)。
 打ちはじめてすぐに、タトゥーがアグレッシブかつコーリングステーションだということに気づいた。プリフロップはそこまでルースでなく、アンティゲームだがしばしばフォールドしていたし、ショウされるハンドはそれほどおかしなものはなかった。逆にタイトすぎるまであるかもしれない。ただし、フロップは多くのハンドでCBにコールやレイズをし、フォールドが少ない。また後のストリートでも諦めることが少ない印象だった。
 一方自分はというと、ハンドがあまり入らず、雀ゴロに対してややブラフ過多な動きをしてはしっかりと雀ゴロにキャッチされる、ということが続いていた。とくにリバーはブラフ過多だったと思うが、見事なくらいしっかりとキャッチされ、彼からほとんどポットをとることがなかった。一方で彼のリバーでの攻撃は苛烈で、こちらがマージナルなハンドを持っていて勝っているハンドをいくつかフォールドさせられていた感覚があった。

 そんな中でBTNからAhKsが配られ、颯爽と3bbオープン、雀ゴロがフォールドし、BBのタトゥーがコール。HUとなった。エフェクティブスタックは200bb程度。フロップはAsKd8c。これは進研ゼミでやったやつ。SRPのAKハイボードはポットオーバーCBが打てるやつ。と思いきや、これはアンティゲームのため、塾で勉強した均衡戦略は必ずしも正解にはならないだろう。
 とはいえ大きいサイズのベットが許容されるであろうことに加え、タトゥーはフロップで非常にルースなのを感じていたので、やや大きめの6bb(ポットは7.4bb) でCBを打った。このお店ではCBは33%などの安いベットが定番で、大きめのCBは少し目立つところ。これに対してタトゥーは少考して20bbのレイズを返してきた。
 当然ここはコール以上だが、タトゥーは何でレイズしているのか?均衡的には非常にチェックレイズしづらいボードで、バリューは8のセットくらい、ブラフは8周りのストレートとフラッシュのバックドアのあるようなハンドや、ナッツフラドロになるA持ちのハンドがありうるのか? (あとでMTT chipEVでみてみたらブラフは85sや83sみたいなハンド、AJoなどでごく僅かにある程度だった。)ただし、彼はフロップ以降はルースアグレッシブなので、ストレートドローやエアーでのXRは十分に考えられた。かつ、ターン以降もタトゥーからのベットが期待できるので、ややディープとはいえここはコールにとどめた。(ポットは約48bb)
 ターンで3cが落ち、当然のようにタトゥーはベット。30bb。ここでは残りのスタックはまだ深く、140bbくらいはあった。ここでも、やはりリバーで打ってくる可能性がかなり高いことがあり、コールにとどめた。ポットは約108bb)
 リバーはQcで、バックドアフラッシュがあるため少し嫌なカード。とくにこちらはAcを抑えていないこと、均衡解ではないが、プリフロップコールからターンでBB側がチェックレイズしそうなハンドとしてAcXcはありうるところ。というか、フロップでのチェックレイズできるハンドが見当たらず、このようなハンドが頭をよぎっていた。タトゥーは40bbのベット。
 ここはタトゥーの傾向を考えればレイズすべきだった(バックスタック的にレイズオールインだろう。)しかし実際は日和ってコールにとどめてしまった。レイズできなかったのは上記のように「まともに」読んでしまったことだが、そもそもこのように過度にバランスを崩した相手にはまともに読むべきではないのだ。それよりも、取れるべきときに取る、ということが大事だと思う。果たしてショウされたのはQd9dだった。
 このハンドの直後はレイズしなかったことを悔んだと共に、相手がルースコーラーであることを改めて確認できた、と考えていた。しかし、振り返ってみると、彼から見て自分が本当に初見の相手だったとして(つまりたとえばこのテーブルでのファーストハンドだったとして)、本当にこのようにプレイするのか?ということを考えた。ある程度は打ち慣れていそうであったし、そこそこプリフロップも硬かった。彼がこのようにプレイしたのは、自分がそれまでのハンドで雀ゴロに対してブラフを打ち続けていたことが大きく影響したのではないか?
 実戦中にはそのような思考に至らなかったが、考えれば考えるほど、上記の仮説は正しいように思える。相手もそれなりに真剣に打つために来店しているように見えた(1人で来店し、黙々とプレイしていた)。いくらルースアグレッシブであっても、これだけ無茶なプレイは通常はしないのではないか。彼からみて自分はアグレッシブなプレーヤーで、かつリバーでフォールド過多に見えたのではないか?
 というふうに考えると、自分が雀ゴロに対してブラフをしっかり打っていたことが、結果的にタトゥーのこのような過度にアグレッシブなプレイを引き出したのではないか。いくつかのブラフハンドを雀ゴロにキャッチされたあと、「雀ゴロは自分がブラフを打つということはしっかり認識された、この後バリューベットも通るのではないか」と対雀ゴロに対する意識を強く持っていたが、当然ながら、同様の印象をタトゥーにも持たれていたという可能性がある。そして、プレーヤーが多いほど(ある程度観察してくれる、という条件ではあるが)、このような印象づけは効果を発揮するように思う。振り返ってみれば当然なのだが、自分は雀ゴロに対してポットを何度も落としたことで、雀ゴロに対する意識が過剰になっていたのだと思う。ポットを落とした相手に対するこのような過度な意識は結構マイナスに働くことが多いと思う。反省。
 ということで、このようなメタゲームを下手なりに楽しめるのがアミューズのよいところだと、改めて感じた1日だった。

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