キョウダイニッキ 『鏡写し』
夜の都心、アルバイトへと向かう。
罪から隠れるように深く被ったパーカー。
大通りから外れた路地を、怯えながら進む。
届け物を渡すお客さんは気が立っている様子。
道端の荷を蹴る音の度に、体が震えてしまう。
その場から逃げるように、足早に去った。
帰る途中、突然中年の男性に呼び止められる。
何か声をかけられ、強引に手を握られる。
声は褒めてくれていた。私は喜べばよかった?
でも、痛くて怖くて、気付けば駆け出していた。
雨が降り始める。傘は持っていない。
ちょうどいい。泣いたことを