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長々と雑に紹怪 くそたれ女【宮城県
なんともひどいネーミングではありますが、山田野理夫氏の著書にある、宮城県に伝わるとされる怪異譚です。
その内容は次のようなもの。
ある日の夕刻、米屋を営む家に、紙がくしゃくしゃで鼻を垂らした小汚くみすぼらしい女が訪れ、
「握り飯食わしてくれぇ。あ、でも折角なら炊き立てであったかいのがええぞ^^」
と図々しいことを言ってきました。
普通なら早々に追い払うところでしょうが、どうも米屋の親父が気が良い奴で、望みどおりに米を炊いて握り飯をたくさん拵えてやりました。
差し出された握り飯を見て、女が汚い髪をかき分けると、頭頂部から大きな口が現れ、女はそこに放り込むようにして握り飯を皆平らげてしまったものですから、親父びっくり。
すると女はさらに図々しく、
「喉も乾いたからお茶いれてくれぇ^^」
というのでお茶を入れてやると、お茶は想像に反して通常の口から啜ったもんで二度びっくり。
「そっちからも飲み食いできるんか~い」
と突っ込んだかどうかは分かりませんが。
女は飲み食いに満足すると、
「ウンコ^^」
といって、よりによって店の前で着物をたくし上げ、その場でこんもりとウンコしやがり、そのまま立ち去っていってしまいました。
親父は呆れてしまいますが女には文句を言わず、
「くっさいくっさい」
と言いつつそのくっさいウンコを浚って裏庭に捨てておいたのですが、翌日雨が降り、溶けて流れたウンコの中から綾錦、つまり美しく高価な絹織物が出てきましたとさ。めでたしめでたし。
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というお話です。
人には親切にしてやりなさい、的な教訓話なのかも知れませんが、どうにも釈然としないというかツッコミたくなるお話ですね。
さてこの話、一つには頭に大きなもう一つの口がある、これは妖怪「二口女」や民話の「飯食わぬ女房」などに見られるもの、またみすぼらしい者に手厚く施しをしたことで幸運に与るという話も多くあります。
また、岩手県の伝承に「ウル姫子と山姥」というものがあり、これはウル姫子の元へ山姥が食べ物を求めて訪れ、散々食った挙句やはりウンコして帰るが、高価な反物がでてきて裕福にあるというもので、これらの話が口伝えされる中で混ざり、仙台の土地で語られるようになったものではないか、と考えることができるのではないでしょうか。
お食事とともにお読みいただいた方には大変失礼いたしました。