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033 目を瞑る瞬間の光みたいな人だった

まだ、どこにもいかないでいて

あの人、きっと、可哀想な人だった、今の人みたいに余裕もなくて、今の人みたいに優しくもなくて、それでもタバコの匂いが染みついた指先は甘やかだった、そこにだけ愛があって、そこにしか愛がなくて、やっぱり、ひどく、可哀想な人だった

そんな話ではじまる、あの夏の日の記憶だ

冷めていくのを感じていた 目を見ないで返事をしてスマホばかり触っていた 何してるの?に別に?と返す君の声はあの頃とは別人みたいで 覚めていくのを感じていた

032 彩度の高い夏が嫌いだ

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