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和牛という史上最も美しい漫才師

美しい。
漫才において和牛にだけ使われる独特な形容詞。

面白い。かっこいい。緻密。芸術的。
これらは土台にあって、最後には美しいという感想が残る。

それはM-1の4分間の漫才でも。
寄席の10分間の漫才でも。

和牛解散。
この事実をすぐに受け入れられるはずがない。

後期M-1を盛り上げたコンビであり、
これまでもこれからも劇場を背負って立つコンビである。
和牛から漫才を好きになった人も多いだろう。お笑いファンの裾野を広げた功績は偉大すぎる。
だから、すべてのお笑い好きは和牛を避けては通れなかった。

有難いことに、和牛の漫才を何度も劇場で見ることができた。
そして、その度に全て違うネタだった。

忘れられない舞台がある。
年末の漫才劇場。
その日はなんだか盛り上がりに欠けていた。
恐らく初めてお笑いを観に来た人も多そうで緊張感が取れない。
そんな中、前半のトリで出てきた和牛が披露した映画の漫才。歌もあり、ポップで楽しい漫才だ。
ここで会場が一つになった。
老若男女皆が大笑いしてその漫才を共有したのだ。
間違いなくその日一番の笑いはここにあり、その後のライブが盛り上がったことは言うまでもない。

和牛を生で観たらすぐに分かる。
本物の漫才師だと。

初めて幕張で見たシンデレラの漫才、
2017年のM-1決勝で惜しくも敗れた瞬間、
翌年準決勝当日にルミネで観たゾンビの漫才…

私の中での和牛は舞台で見た景色なのです。

一回一回の漫才を大切にし続けたお二人に心から感謝します。


令和6年3月末日

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