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眠れない夜

私は20歳の大学3年生です。 11歳、小学校6年生の時、父親が自殺しました。 その時の話をします。 12月23日、いつも夜8時には帰ってくるはずの父親が帰ってきませんでした。 母親は、酔い潰れちゃったのかな、と話していました。 いつも私を両親が挟む形で川の字で寝ていました。 いつもはそこにあるはずの、父の背中がなく、 ただ枕を見つめながら寝たことを覚えています。 朝になっても父は帰ってきませんでした。 連絡は取れないままで、出社もしていないことがわかりました。 父はた

    • ジンを飲みながら

      目の前の鮮やかな緑とピンクに心が躍る。 ミントとベリーの香りと少しスパイシーな匂いが鼻を突く。 池尻大橋の駅から少し歩いたところにあるカフェバーで仲の良い知人が私に聞くのは、私の生い立ちの話。 「ベトナムで生まれたんだけど、両親が薬漬けでさ。ある日悪い人たちがやってきて二人を連れてっちゃったから双子の弟と二人で必死で夜のフエの町を走って逃げたの。フエは空にカラフルな提灯が浮かんでいてね、とても神秘的で美しい街なんだよ。逃げ疲れて二人で力尽きて倒れてたの。でも誰も助けてく