京都府2019登録販売者試験解説41~50
問41 貧血用薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 鉄製剤を服用して便が黒くなった場合は、ただちに服用を中止する必要がある。
b 巨赤芽球貧血は、ビタミンB2が不足して生じる。
c 鉄製剤は、服用の前後30分にコーヒーを飲むと、鉄の吸収が悪くなることがある。
d 鉄要求量の増加する妊婦では、鉄欠乏性貧血の予防に鉄製剤を使用することが推奨される。
a b c d
1 正 誤 正 誤 2 正 誤 誤 正 3 誤 誤 正 誤
4 正 正 誤 誤 5 誤 誤 誤 正
正解:3
a誤り
鉄製剤を服用すると便が黒くなることがありますが使用の中止を要する副作用等の異常ではないため誤り。鉄製剤の服用前から便が黒い場合は貧血の原因として消化管内で出血している場合もあるため、服用前の便の状況との対比が必要です。
b誤り
巨赤芽球貧血はビタミンB12が不足して生じる悪性貧血を言います。ビタミンB2ではないため誤りです
c正しい
服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなることがあるので、服用前後はそれらの摂取を控えることとされています。
d誤り
貧血の症状がみられる以前から予防的に貧血用薬(鉄製剤)を使用することは適当でないとされてるため誤りです
問42
痔疾用薬に用いられるステロイド性抗炎症成分として、正しいものはどれか
1リゾチーム塩酸塩
2セチルピリジウム塩化物
3テトラヒドロゾリン塩酸塩
4ヒドロコルチゾン酢酸エステル
5ジフェンヒドラミン塩酸塩
正解:4
1誤り
外用痔疾用薬では比較的緩和な抗炎症作用を示す成分として配合されている場合があります。ステロイド成分ではないため誤り。
2誤り
痔疾患に伴う局所の感染を防止することを目的とし、殺菌消毒成分としてクロルヘキシジン塩酸塩、セチルピリジニウム塩化物、ベンザルコニウム塩化物、デカリニウム塩化物、イソプロピルメチルフェノール等が配合されてる場合があります。
ステロイド性抗炎症成分ではないため誤りです
3誤り
テトラヒドロゾリン塩酸塩は血管収縮作用による止血効果を期待して配合されてる場合があります。同じアドレナリン作動成分で同じような止血効果を期待してメチルエフェドリン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、ナファゾリン塩酸塩等が配合されていることもあります
ステロイド性抗炎症成分ではないため誤りです
4正しい
その通りの記述です
その他のステロイド性抗炎症成分としてプレドニゾロン酢酸エステル等があります
5誤り
痔に伴う痒みを和らげることを目的とした抗ヒスタミン成分でジフェンヒドラミン塩酸塩が配合されてる場合があります。ステロイド成分ではないため誤りです
おなじく抗ヒスタミン成分で痔に伴う痒みを和らげることを目的とした成分はクロルフェニラミンマレイン酸塩等の抗ヒスタミン成分が配合されている場合があります
問43 婦人薬とその有効成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 女性ホルモン成分を含む婦人薬は、長期連用により血栓症を生じるおそれがあり、また、乳癌がんや脳卒中などの発生確率が高まる可能性もある。
b サフランは、女性の滞っている月経を促す作用を期待して配合されている場合がある。
c 桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、ときにのぼせて足冷えなどを訴えるものの月経不順、月経痛、更年期障害などに適すとされる。
d 当帰芍薬散は、体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛や肩こり、耳鳴りなどを訴えるものの月経不順、月経痛、更年期障害などに適すとされる。
a b c d
1 正 正 正 正 2 誤 誤 正 正
3 誤 誤 誤 正 4 正 正 誤 誤 5 正 誤 正 誤
正解:1
全て正しい
a正しい
人工的に合成された女性ホルモンの一種である成分はエチニルエストラジオール、エストラジオールなどがあります
b正しい
同じく女性の滞っている月経を促す作用を期待してコウブシ(カヤツリグサ科のハマスゲの根茎を基原とする生薬)等が配合されている場合があります
c正しい
d正しい
問44 内服アレルギー用薬とその有効成分に関するの正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a プソイドエフェドリン塩酸塩は、他のアドレナリン作動成分に比べて中枢神経系に対する作用が強い。
b 抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンの働きを抑える作用はあるが、抗コリン作用は示さない。
c ベラドンナは、ナス科の草本で、その葉や根に、副交感神経系の働きを抑える作用を示すアルカロイドを含む。
d カンゾウは、皮膚や鼻粘膜の炎症を和らげることを目的として配合されている場合がある。
a b c d
1 正 誤 正 正 2 正 誤 正 誤 3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 誤 正 5 正 正 誤 正
正解:1
a正しい
プソイドエフェドリンは副作用として不眠や神経過敏が現れることがあります。また、交感神経系に対する刺激作用により心臓血管系や肝臓でのエネルギー代謝等への影響も生じやすく、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人、前立腺肥大による排尿困難の症状がある人では、症状を悪化させるおそれがあり、使用を避ける必要がある。自律神経系を介した副作用として、めまいや頭痛、排尿困難が現れることがある。
b誤り
抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンの働きを抑える以外に抗コリン作用も示すため誤り。抗コリン作用で起きる排尿困難や口渇、便秘等の副作用が現れることがある。
c正しい
鼻炎用内服薬では、べラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド等の抗コリン成分は鼻腔内の粘液分泌腺からの粘液の分泌を抑えるとともに、鼻腔内の刺激を伝達する副交感神経系の働きを抑えることにより、鼻汁分泌やくしゃみを抑えることを目的として配合されています。
d正しい
その通りの記述です。
その他カンゾウの注意点
カンゾウはマメ科のウラルカンゾウ又はグリキルリザ・グラブラの根及びストロンで、ときには周皮を除いたもの(皮去りカンゾウ)を基原とする生薬です。グリチルリチン酸を含む生薬成分です。
カンゾウについては、グリチルリチン酸による抗炎症作用のほか、気道粘膜からの分泌を促す等の作用があります。 カンゾウを大量に摂取するとグリチルリチン酸の大量摂取につながり、偽アルドステロン症を起こすおそれがあります。むくみ、心臓病、腎臓病又は高血圧のある人や高齢者では偽アルドステロン症を生じるリスクが高いので注意が必要です
1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上となる製品は、長期連用を避ける。 なお、カンゾウは、かぜ薬や鎮咳去痰薬以外の医薬品にも配合されてる場合あり。甘味料として一般食品等にも広く用いられるため、購入者等に対して、摂取されるグリチルリチン酸の総量が継続して多くならないよう注意を促すことが重要です。
問45 内服アレルギー用薬に配合される生薬成分及び漢方処方製剤に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a ケイガイは、発汗、解熱、鎮痛等の作用を有するとされ、鼻閉への効果を期待して用いられる。
b 茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)は、体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症に適すとされる。
c 当帰飲子は、体力中等度で冷え症で、皮膚が乾燥するものの湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、痒(かゆみ)に適すとされる。
d 消風散(しょうふうさん)は、体力中等度以上の人の皮膚疾患で、痒(かゆみ)が強くて分泌物が多く、ときに局所の熱感があるものの湿疹しん・皮膚炎、蕁麻疹(じんましん)、水虫、あせもに適すとされる。
a b c d
1 正 誤 正 誤 2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 誤 4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 正
正解:2
a正しい
b誤り
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)の説明をしているため誤りです
茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)は体力中等度以上で口渇があり、尿量少なく、便秘するものの蕁麻疹、口内炎、皮膚の痒(かゆみ)に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされます。
c正しい
d正しい
問46 鼻炎用点鼻薬とその有効成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 鼻炎用点鼻薬は、主に慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎又は副鼻腔(くう)炎による諸症状のうち、鼻づまり、鼻汁過多、くしゃみ、頭痛の緩和を目的としている。
b ナファゾリン塩酸塩を含有する点鼻薬は、過度に使用されると、鼻閉がひどくなりやすい。
c 点鼻薬に用いられる抗ヒスタミン成分は、全身作用を目的としている。
d クロモグリク酸ナトリウムを含有する一般用医薬品の点鼻薬は、肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑える作用を示し、医療機関における減感作療法等のアレルギー治療の妨げとなるおそれがある。
a b c d
1 正 正 正 誤 2 正 正 誤 正
3 正 正 誤 誤 4 誤 誤 正 誤 5 誤 正 誤 正
正解:5
a誤り
b正しい
c誤り
鼻炎用点鼻薬は
抗ヒスタミン成分や抗炎症成分を組み合わせて配合されていても、それらは鼻腔くう内における局所的な作用を目的としています
局所的な作用を目的としているため誤りです。
アドレナリン作動成分配合の点鼻薬の副作用で鼻粘膜を通っている血管から吸収されて循環血液中に入り、全身的な影響を生じることがある。この点とヒッカケようとしたのだと思います
d正しい
問47 眼科用薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a ソフトコンタクトレンズをしたままで点眼をする場合には、防腐剤が配合されている製品を選ぶべきである。
b 点眼後は、数秒間、眼瞼(がんけん)(まぶた)を閉じるが、その際、薬液が鼻腔(びくう)内へ流れ込むのを防ぐため、目頭を押さえると効果的とされる。
c 一般的に、点眼薬の1滴の薬液量は、結膜嚢(のう)の容積より少ない。
d 点眼薬は、その使用が原因となり、全身性の副作用として、皮膚に発疹しん、発赤、痒かゆみ等が現れることがある。
a b c d
1 正 正 誤 誤 2 正 誤 正 誤 3 誤 正 正 正
4 正 誤 誤 正 5 誤 正 誤 正
正解:5
a誤り
通常、ソフトコンタクトレンズは水分を含みやすく、防腐剤(ベンザルコニウム塩化物、パラオキシ安息香酸ナトリウム等)などの配合成分がレンズに吸着されて、角膜に障害を引き起こす原因となるおそれがあり、装着したままの点眼は避けることとされている製品が多いため誤りです。
ただし、1回使い切りタイプとして防腐剤を含まない製品では、ソフトコンタクトレンズ装着時にも使用できるものがあります。
b正しい
c誤り
一般的に、点眼薬の1滴の薬液量は50μL
、結膜嚢(のう)の 容積は30μL 程度結膜嚢(のう)の 容積より多いため誤りです
d正しい
問48 外皮用薬として用いられる非ステロイド性抗炎症成分に関する記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
aフェルビナクは、皮膚の下層にある骨格筋や関節部まで浸透してプロスタグランジンの産生を抑える。
bピロキシカムは、細胞膜の安定化、活性酸素の生成抑制などの作用により、抗炎症作用を示すと考えられている。
cインドメタシンは、筋肉痛、関節痛、打撲、捻挫等による鎮痛等を目的として用いられる。
dジクロフェナクナトリウムは、殺菌作用があり、皮膚感染症に対しても効果がある。
1(a、b)2(a、c)3(b、d )
4(c、d)
正解:2
a正しい
b誤り
選択肢bの記述はウフェナマートの記述をしているため誤りです。
ピロキシカムは
皮膚の下層にある骨格筋や関節部まで浸透してプロスタグランジンの産生を抑える作用を示し、筋肉痛、関節痛、肩こりに伴う肩の痛み、腰痛、腱けん鞘しょう炎、肘の痛み(テニス肘等)、打撲、捻挫に用いられます。
c正しい
d誤り
殺菌作用はないため、皮膚感染症に対しては効果がなく、痛みや腫れを鎮めることでかえって皮膚感染が自覚されにくくなる(不顕性化する)おそれがあるため、みずむし、たむし等又は化膿している患部への使用は避ける必要があります。
問49 外皮用薬として用いられる成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a ヘパリン類似物質は、角質層の水分保持量を高め、皮膚の乾燥を改善することにより保湿作用を示す。
b ケトプロフェンは、胎児への影響を考慮して、妊婦への使用を避けるべきである。
c カルプロニウム塩化物は、女性ホルモンに類似した作用により、脱毛抑制効果がある。
d クロルフェニラミンマレイン酸塩は、虫刺されによる一時的かつ部分的な皮膚症状(ほてり、腫れ、痒かゆみ等)の緩和を目的として用いられる。
a b c d
1 正 誤 正 正 2 正 誤 正 誤 3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 誤 正 5 正 正 誤 正
正解:5
a正しい
b正しい
c誤り
選択肢cはエストラジオール安息香酸エステル の記述をしているため誤りです。
カルプロニウム塩化物 は末梢組織(適用局所)においてアセチルコリンに類似した作用(コリン作用)を示し、頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促すことによる発毛効果を期待して用いられます。 アセチルコリンと異なり、コリンエステラーゼによる分解を受けにくく、作用が持続するとされてます
。副作用として、コリン作用による局所又は全身性の発汗、それに伴う寒気、震え、吐きけが現れることがあります。
d正しい
問50 みずむしとその治療に用いる医薬品の有効成分に関する記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
aみずむしは、皮膚に常在する疾患である。
bオキシコナゾール硝酸塩は、みずむしの原因菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げたり、細胞膜の透過性を変化させることにより、その増殖を抑える
cブテナフィン塩酸塩は、みずむしの原因菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げることにより、その増殖を抑える。
dみずむしは、古くから知られており、様々な民間療法が存在することから、それらと医薬品の使用とを併用することが、治療に有用であることが多い
1(a、b)2(a、d)3(b、c )4(c、d)
正解:3
a誤り
みずむし、たむし等は、皮膚糸状菌(白癬せん菌)という真菌類の一種が皮膚に寄生することによって起こる疾患(表在性真菌感染症)である。
b正しい
c正しい
d誤り
みずむし、たむしは古くから知られている皮膚疾患のひとつであり、様々な民間療法が存在するが、それらの中には科学的根拠が見出されないものも多く、かえって症状を悪化させる場合があります。
それらと医薬品の使用とを併用することが、治療に有用であることが多いと言う記述は誤りです
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