京都府医登録販売者過去問解説問51~60
問51 歯槽膿漏薬に関する記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
a歯周組織の炎症を和らげることを目的として、グリチルリチン酸二カリウムが配合されている場合がある。
b炎症による腫れや出血を抑える効果を期待して、ビタミンEが配合されている場合がある。
c抗菌などの作用を期待して、生薬成分であるカミツレが配合されている場合がある。
dステロイド性抗炎症成分の含有量が少ない場合には、長期連用を避ける必要はない。
1(a、b)
2(a、c)
3(b、d )
4(c、d)
正解2
a正しい
b誤り
選択肢bはビタミンC(アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム等)の効果のため誤りです
コラーゲン代謝を改善して炎症を起こした歯周組織の修復を助け、また、毛細血管を強化して炎症による腫れや出血を抑える効果を期待して配合されてます。
ビタミンE(トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、トコフェロール酢酸エステル等)は歯周組織の血行を促す効果を期待して配合されます
c正しい
d誤り
ステロイド性抗炎症成分が配合されている場合には、その含有量によらず長期連用を避ける必要があるため誤り。
問52 禁煙補助剤に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 咀嚼剤である禁煙補助剤は、噛むことで放出されたニコチンが胃粘膜から吸収されて循環血液中に移行することを目的としている。
b 禁煙補助剤は、重い心臓病等の基礎疾患がある人では、循環器系に重大な悪影響を及ぼすおそれがあるため、使用を避ける必要がある。
c 禁煙補助剤は、長期間にわたって使用されるべきものではないため、短期間で急速にその使用量を減らしたほうが、結果的に禁煙達成につながるとされる。
d 禁煙補助剤は、炭酸飲料を摂取した後しばらくは使用を避けることとされている。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正
正解4
a誤り
咀嚼剤は噛むことにより口腔内でニコチンが放出され、口腔粘膜から吸収されて循環血液中に移行します。
b正しい
c誤り
禁煙補助剤によりニコチン離脱症状を軽減しながら、徐々にその使用量を減らしていくこととし、初めから無理に減らそうとしないほうが、結果的に禁煙達成につながるとされます。短期間で急速にその使用量を減らすのは誤った使い方です
*禁煙補助剤は長期間にわたって使用されるべきものでなく、添付文書で定められた期限を超える使用は避けるべきとされてます。
d正しい
問53 ビタミンに関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a ビタミンB2は、赤血球の形成を助け、また、神経機能を正常に保つために重要な栄養素である。
b ビタミンEは、下垂体や副腎系に作用してホルモン分泌の調節に関与するとされており、生理が早く来たり、経血量が多くなったりすることがある。
c ビタミンDの欠乏症としては、高カルシウム血症、異常石灰化が知られている。
d ビタミンAは、夜間視力を維持したり、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 正
正解5
a誤り
ビタミンB2は脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素です。選択肢aの記述はビタミンB12、シアノコバラミンの記述をしているため誤り。
b正しい
c誤り
ビタミンDの過剰症の症状をいってるため誤りです。
ビタミンDの過剰症としては、高カルシウム血症、異常石灰化が知られています。高カルシウム血症は、血液中のカルシウム濃度が非常に高くなった状態で、自覚症状がないこともあるが、初期症状としては、便秘、吐きけ、嘔おう吐、腹痛、食欲減退、多尿等が現れます。
d正しい
ビタミンA主薬製剤は、レチノール酢酸エステル、レチノールパルミチン酸エステル、ビタミンA油、肝油等が主薬として配合されてます
効果
目の乾燥感、夜盲症(とり目)の症状の緩和、また、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時、発育期等のビタミンAの補給に用いられます。
重要な注意点
一般用医薬品におけるビタミンAの1日分量は4000国際単位が上限です。妊娠3ヶ月前から妊娠3ヶ月までの間にビタミンAを1日10000国際単位以上摂取した妊婦から生まれた新生児において先天異常の割合が上昇したとの報告があります。そのため、妊娠3ヶ月以内の妊婦、妊娠していると思われる女性及び妊娠を希望する女性では、医薬品以外からのビタミンAの摂取を含め、過剰摂取に留意する必要があります。
問54 滋養強壮保健薬に用いられる成分とその作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a アミノエチルスルホン酸(タウリン)は、骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促す等の働きを期待して用いられる。
b グルクロノラクトンは、米油及び米胚芽油から見出された抗酸化作用を示す成分で、ビタミンE等と組み合わせて配合されている場合がある。
c システインは、肝臓においてアルコールを分解する酵素の働きを助け、アセトアルデヒドと直接反応して代謝を促す働きがあるとされる。
d ヘスペリジンは、ビタミン様物質のひとつで、ビタミンCの吸収を助ける作用があるとされる。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤
正解3
a誤り
選択肢aはアスパラギン酸ナトリウムの効果の説明をしているため誤りです
アミノエチルスルホン酸(タウリン) は
筋肉や脳、心臓、目、神経等、体のあらゆる部分に存在し、細胞の機能が正常に働くために重要な物質である。肝臓機能を改善する働きがあるとされ、滋養強壮保健薬等に配合されている場合があります。
(試験にでないですリポビタンDなど)
b誤り
選択肢bはガンマ-オリザノールの記述をしているため誤りです
グルクロノラクトンは肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあり、全身倦怠感や疲労時の栄養補給を目的として配合されている場合があります。
c正しい
その他にもシステイン又はシステイン塩酸塩は主薬として配合された製剤は、しみ・そばかす・日焼けなどの色素沈着症、全身倦けん怠、二日酔い、にきび、湿疹しん、蕁じん麻疹しん、かぶれ等の症状の緩和に用いられます。
d正しい
問55 漢方処方製剤に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 一般の生活者においては、「漢方薬はすべからく作用が穏やかで、副作用が少ない」などという誤った認識がなされていることがある。
b 漢方薬を使用する場合は、漢方独自の病態認識である「証」に基づいて用いることが重要である。
c 現代中国で利用されている中医学に基づく薬剤は、中薬と呼ばれ、漢方薬のうちに含まれる。
d 基礎疾患やアレルギー歴が不明確な患者においては、漢方処方製剤が積極的に使用されるべきである。
a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正
正解3
a正しい
b正しい
c誤り
現代中国で利用されている中医学に基づく薬剤は、漢方薬でなく、中薬と呼ばれ、漢方薬とは明らかに別物であるため誤りです
d誤り
一般の生活者が一般用医薬品として漢方薬を購入する際には、漢方処方製剤を使用しようとする人の「証」(体質及び症状)を理解し、その「証」にあった漢方処方を選択することが出来るよう、医薬品の販売等に従事する専門家が助言を行い、漢方処方製剤の適正使用を促していくことが重要であるため誤りです
問56 漢方処方製剤に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。 ( a )は、体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの肥満に伴う関節痛、むくみ、多汗症、肥満(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)に適すとされる。構成生薬としてカンゾウを含む。 ( b )は、体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、血の道症、めまい、動悸き、更年期障害、湿疹しん・皮膚炎、皮膚の痒かゆみ、口内炎に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)では不向きとされる。 ( c )は、体力中等度以上で、赤ら顔でときにのぼせがあるもののにきび、顔面・頭部の湿疹しん・皮膚炎、赤鼻(酒さ)に適すとされるが、胃腸の弱い人では食欲不振、胃部不快感の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
a b c
1 防已黄耆湯 黄連解毒湯 清上防風湯
2 防已黄耆湯 清上防風湯 黄連解毒湯
3 清上防風湯 防已黄耆湯 黄連解毒湯
4 黄連解毒湯 防已黄耆湯 清上防風湯
5 清上防風湯 黄連解毒湯 防已黄耆湯
正解1
問57
殺菌消毒成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a クレゾール石鹸けん液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、大部分のウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
b エタノールは、粘膜刺激性があり、粘膜面や目の回り、傷がある部分への使用は避けることとされている。
c 次亜塩素酸ナトリウムは、皮膚刺激性が弱いため、手指の消毒に適している。
d トリクロルイソシアヌル酸は、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正
正解2
a正しい
b正しい
c誤り
皮膚刺激性が強いため、通常人体の消毒には用いられないため誤りです。
次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉などの塩素系殺菌消毒成分は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示します
d正しい
問58 衛生害虫の防除に関する記述について、誤っているものはどれか。
1殺虫成分のペルメトリンは、人体におけるシラミの防除を目的として、シャンプーやてんか粉に配合されている場合がある。
2トコジラミは、体長が比較的大きい(成虫で約8mm)ので吸引することによる駆除も可能である。
3ゴキブリの卵は、医薬品の成分が浸透しない殻で覆われているため、燻蒸処理をしても殺虫効果を示さない。
4ヒョウヒダニ類は、ヒトを刺すことはないが、ダニの糞や死骸がアレルゲンとなって気管支喘息やアトピー性皮膚炎を引き起こすことがある。
正解1
1誤り
フェノトリンが、殺虫成分で唯一人体に直接適用できます(シラミの駆除を目的とする製品の場合)。ペルメトリンではないため誤りです
殺虫成分のフェノトリンは、人体におけるシラミの防除を目的として、シャンプーやてんか粉に配合されている場合があります
問59 一般用検査薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 一般用検査薬は、薬局においてのみ取り扱うことが認められている。
b 検査薬は、対象とする生体物質を特異的に検出するため、結果が陰性の場合は検体中に対象物質が存在していないことを意味する。
c 擬(偽)陽性とは、対象物質が検体中に存在していないにもかかわらず、検査対象外の物質と非特異的な反応が起こって検査結果が陽性となった場合をいう。
d 悪性腫瘍の診断に関係するものは一般用検査薬の対象外であるが、染色体異常など、一部の遺伝性疾患については、一般用検査薬の対象となっている。 a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤
正解5
a誤り
薬局又は医薬品の販売業(店舗販売業、配置販売業)において取り扱うことが認められています。薬局のみという記述は誤りです
b誤り
検体中の対象物質の濃度が極めて低い場合には検出反応が起こらずに陰性の結果が出る。
結果が陰性の場合は検体中の対象物質の濃度が極めて低い場合のため誤りです
検出反応が起こるための最低限の濃度を検出感度(又は検出限界)といいます。
c正しい
d誤り
悪性腫瘍、心筋梗塞や遺伝性疾患など重大な疾患の診断に関係するものは一般用検査薬の対象外であるため誤りです
問60 妊娠検査薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 尿中のヒト絨(じゅう)毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の検出反応は、温度の影響を受けることはない。
b ヒト絨(じゅう)毛性性腺刺激ホルモン(hCG)は、妊娠中の絨(じゅう)毛細胞から特異的に分泌されるホルモンであるため、それ以外の組織から分泌されることはない。
c 検体(尿)中の成分は、細菌の繁殖等によって分解が進み、検査結果に影響を与えるおそれがある。
d 妊娠検査薬は、妊娠の確定診断を目的としたものである。
a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤
正解5
a誤り
尿中hCGの検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響を受けることがあるため誤りです
検査薬が高温になる場所に放置されたり、冷蔵庫内に保管されていたりすると、設計どおりの検出感度を発揮できなくなるおそれがあります。
b誤り
本来はhCGを産生しない組織の細胞でも、腫瘍化するとhCGを産生するようになることがあるため誤りです
(胃癌がん、膵すい癌がん、卵巣癌がん等)。
c正しい
d誤り
妊娠検査薬は、妊娠の早期判定の補助として尿中のhCGの有無を調べるものであり、その結果をもって直ちに妊娠しているか否かを断定することはできないため誤りです。
妊娠の確定診断には、尿中のホルモン検査だけでなく、専門医による問診や超音波検査などの結果から総合的に妊娠の成立を見極める必要があります。