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根魚入れ食いのカナダ・デー【240701】

・昨晩は村の友達の家でハウスパーティ。タロンはスマホも靴も財布も無くしてた。ふたりでゲラゲラ笑いながら帰宅したんだっけな。ちゃんと水を飲んでおいたおかげで特に二日酔いにはならずに済んだ。

・10時過ぎに腹が減って起床。じゃがいもを薄くスライスして強火で炒め、厚切りベーコンをこんがり焼き、卵を二つ落とす。パワーブレックファスト。じゃがいもを朝から食べるとパワーがみなぎる気がする。

・11時前にタロンが起きてくる。もっと早く釣りに出る予定だったけど、こればかりはしかたない。さっさとクーラーボックスや釣具をピックアップトラックに積んで出発する。

・絹香がステイしている家に迎えに行く。釣りライセンスもちゃんとゲットしたようで準備万端。今日はマセット村の目の前の海に船を出し、トローリングでサーモンとハリバット、ジギングで根魚を狙う。

・絹香にも同居人の話はちょくちょくしていたので、いろいろ話が繋がる。「こいつは俺より村で友達いるんだから、大したもんだよ」と。うれしいね

・今日のマセットは曇天だが風はゼロ。海は凪そのものである。最高の釣り日和だ。

・モーターボートに飛び乗り、タロンが船尾で操舵、絹香は中央の席に座る。僕とウォーリーは船首ちかくに雑魚座り。

・ウォーリーは本当にどこにでもついてくるし、誰にでも好かれる素晴らしい犬だ。バーにもホームパーティにも招き入れられるんだからすごい話である。

・エンジンが唸り、ボートは水面を飛んでいく。スピードが出るとやはり肌寒い。レインシェルのフードをかぶってキャップが飛ばないようにする。

・ポイントにつき、トローリングの仕掛けを落とす。タロンが絹香に釣りの仕組みを教える。「でっかい反射板が魚の群れ、その後ろにつけるルアーが怪我した魚だ。サーモンとかは弱ってる魚をおっかけて食べるんだよ」

・仕掛けを落としてしまうと、あとは竿を見守るだけ。チップスをつまみながらのんびりしていると、ひとつの竿がぴくぴくと揺れる。サーモンだったらがつんと引かれるから、根魚かもしれないな、と話してリールを巻き上げるとやっぱりコッドがいた。

・タロンがすぐさま捌いてセヴィーチェにする。小さいサイコロ状に白身魚を切り、生のままライムジュースに漬け込む。しばらくすると酸味がしっかり調理してくれるから不思議だ。スーパーで買ってきたトルティーヤチップスとサルサとともにいただく。新鮮な漁師飯。

・しばらくサーモンの仕掛けを流していてた、うんともすんともいわない。通りかかった他の船にさけんで聞いてみると、「サーモン以外は絶好調だぜ!」とのこと。今日はスプリング・サーモンの食いが良くないのだろうか。

・ジギングにするか、ということで仕掛けをニシンに見せかけた重いルアーに変えて海底付近をしゃくってみる。これまでが嘘のようにぽんぽん食いつく。底まで落として少し巻いたところでしゃくりあげて誘うのだが、落とした時点ですでにフックがかかっている。いろんな根魚たちが上がってくる。ロックコッド、リンコッド、その他さまざまのおっかない根魚。ここまで入れ食いだと愉快である。

・10分で十二匹釣り上げた。すばらしいポイントだ。「いる場所さえ見定められたら、コッドはいくらでも釣れるぜ」とのこと。

・せっかく船を出したんだからでかいやつも釣って帰りたい。船をもう少し沖に走らせ、ハリバットを狙う。凶暴な海のモンスターは、冷凍ニシンに大きな針をつけ、オモリで海底付近を泳がせて釣るのだという。タロンが手際よく仕掛けを変えているのをみると、幼い頃から釣りをして育ったというのも頷ける。

・「これ、当たりかな?」絹香がちらちらと揺れる竿先を見ていう。
「すこしリールを巻いて、竿が沈み込むまで待つんだ」タロンと僕も息をのむ。竿がぎゅんと曲がり、タロンがしゃくって合わせて絹香に竿を渡す。すごいしなりだ。これはでかいぞ、と興奮の声をタロンが上げたのもつかのま、一気に糸のテンションが弾けて外れてしまった。引き上げてみると、針を繋いでいた金具が錆び付いている。惜しいことをした。

・その後も数回大きな当たりがあったが、どちらもすぐ外されてしまう。数時間海にいて絹香も船酔いし始めていたので、村に戻る。またすぐに来ればいいさ。

・船をトレイラーに乗せてもとの場所に返し、

・夕ご飯にはカレーライスとコッドの味噌焼きをつくる。絹香にカレー作りを任せ、僕と同居人で魚をさばく。十二匹もいると大変で仕方がないが、タロンが効率的な捌き方をみせてくれる。

・すべてをフィレにし終わったときに、タモとローラもやってくる。キャビンでおしゃべりしながらカレーライスを食べる。なかなかの出来。今日獲ったコッドで作ったセヴィーチェ、絹香の自家製キムチも絶品。

・キャビンから裏の川をのぞいていると、どたどたと音がして馬が走ってくる。その上には女性が乗っている。なんで?タモの友達が裏庭を闊歩している放し飼いの馬に乗り、河原を横切っていく。犬たちも僕たちも興奮して追いかける。

・数軒隣の家が飼っている二匹の馬はこのところしょっちゅう脱走するので馬を見るのには慣れていたが、それにしても馬がいたから飛び乗ったという彼女には驚きである。

・食事の後はタモの家のサウナとヒノキ風呂に入りにいく。釣船で冷えた体に染みる。村では誰もカナダ・デーなんて祝福しないが、友人たちを釣りに食事に銭湯に浸れたいい休日である。

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上村幸平|kohei uemura
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