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【第2回のりたまダービー白黒杯】おちりすvsあかりん戦
第2回のりたまダービー「白黒杯」が開幕してから1か月ほど経過しました、年末年始の忙しい時期が過ぎて対局も進み始めましたね。
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1月18日現在、全56局中11局が終わっています、進捗率20%ぐらいですね。
クロクマリーグは2戦2勝のマホさん(mahochi)がリード、シロクマリーグは2戦2勝の兜さん(kabutoshiro)が優位に進めています。
さてこの記事ではクロクマリーグの対局からおちりすさんvsあかりんさんの対局を紹介します。
今回の「白黒杯」では棋力で2つのリーグに分けてハンデ無しでやるわけですが、どうしてもレート差は発生してしまうのです。
上の表を見てもらえばわかるのですが、クロクマリーグではおちりすさんともりっくさん、シロクマリーグではわわわさんとb3ktrさんが不利な戦いを強いられてしまうんです。
だからリーグ分けは難しいんですが、おちりすさんは競馬部内でもレートより強いと評判だったので、今回はクロクマリーグに入ってもらいました。
さて前置きが長くなりましたね、対局者の紹介にいきましょう!
先手となったのはおちりすさん(ochirisu )です!
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おちりすさんは競馬部の執行役員です、競馬の予想は1発狙いの3連単が基本です、当たれば大きいんですが去年は不発でしたね。
将棋の方はどんな戦型も指せるというイメージです、競馬部内の評価は高いですよ、将棋に関しては。
前回のりたまダービーは不参加でしたが、解説をやっていただきました。
81のレートは1676、24のレートは1723です。
後手となったのはあかりんさん(satoha2)です。
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あかりんさんは前回大会に引き続きの参加です、前回はほとんどの対局が香損というハンデを背負いながらの全勝優勝という、圧倒的な強さを見せつけてくれました。
81のレートは2128、24のレートは2113です。
さて今回も解説者をお呼びしています。
のりたま将棋クラブ最後の名人、マホさんです!
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マホさんは「にこにこまほっち杯」や「サクサクセス」などを主催するなど、のりたま将棋クラブ内で中心的な活躍をされていました。
自称JCだったり謎は多いんですが、棋力はたしかです。
マホさんは自身も今大会に参加されているんですが、高段者の解説役不足のため無理に解説をお願いしたんです、ありがたや。
マホさんよろしくお願いします、今年の抱負などありますか?
マホ「マホ自身は将棋に対するモチベーションは殆どないので何か目標がある訳ではないんですけど、趣味の一環として新しい将棋についていけるようにしたいです。あと中学校卒業したいです」
何年間留年してるんですかねえ? まあそれはおいといて両対局者の印象はいかがですか?
マホ「マホは2人と殆ど指したことがないのですが、あかりんはにこにこまほっち杯に登場してみよぴーを破ったのが印象に残っています。序盤に明るく何でも指すイメージです。おちりすは要所でびっくりするような良い手を指してくる、倒れそうで倒れないタイプです」
なるほど両者とも高評価ですね、これは楽しみです!
この対局の棋譜です、81のアカウントが無いと見れないかもしれません。
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局面は15手目におちりすさんが▲3四飛と歩を取ったところです。
これはいわゆる横歩取りというやつでしょうか、激しい戦いになるイメージがありますね。
マホさん、この戦型の特徴を教えてください。
マホ「横歩取りですね。後手が先に歩を取ったりする変化もありますが、本譜は自然な進行です。本譜は△3三角に▲3六飛と引いていますが、数年前くらいまでは▲5八玉の青野流や▲6八玉の勇気流が殆どだったのに対し、最近は▲3六飛が復権している印象ですね」
最新型ってことなのかな? どうなるのか予想できませんね!
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局面はあかりんさんが角交換から32手目に△5四角と打ったところです、飛車が逃げれば香車を取りますよというわけですね。
いきなり激しくなってどこが仕掛けなのかもわかりません、あかりんさんはまだ居玉ですしね。
この時点で有利不利があるものなのでしょうか? それともまだ定跡の範疇なのでしょうか?
マホ「△1六歩、△1八歩から△4五角打などで香を取りに行く手はプロの将棋でも登場する筋ですが、なにせ本譜は互いに玉型が初型に近いので善悪は難しいところです。先手の8七歩打がやや疑問手で、△2四飛▲2八歩の悪形を強いられました。この形を早々に咎めるべく後手は攻めを急いだのかなと思います。ここでは、△1八歩だけでなく△1七歩▲同香を入れて△1八角打を狙う手も有力です」
ふうむ、誘いの隙というやつだったのかな? それにしてもこんな玉型で戦いが始まっては気が休まりませんね。
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局面はおちりすさんが47手目に▲7五歩と突いたところです。
ここが私にはわからないところだったんですよ。現状戦いは右辺で起こっています、駒柱ができそうなぐらいですもんね。
だから▲7五歩と突いたら左辺が弱くなっちゃうんじゃないかと思ってしまうんですよ、私は▲7七銀から▲6九玉みたいにしたいんですけど、こういうときの方針というのはどう考えていけばいいんでしょうか?
マホ「後手よりも安定感のない先手陣ですが、何かを動かすと途端に飛車を打たれて崩壊します。許されるのは▲4八金くらいですね。7六の空間も中々怖いので、ここは1筋を伸ばしてくのが良いかもしれません」
そうかー、もう相手が飛車を持ってるんだから動くに動けないのかー。
マホさんが「ここがポイントだ」というところを教えてください。
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マホ「本譜のターニングポイントは91手目、▲9七歩の局面。飛車2枚が非常に狭い位置に締め出された事で後手は解りやすい攻めを繰り出せなくなりました」
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局面はおちりすさんが101手目に▲3四歩と突いたところです。
マホ「先手陣は急に固くなり、B面攻撃という点では後手の△1六歩よりも先手の▲3四歩打が厳しく体が入れ替わった印象です。中住まいは側面攻撃の距離感が大事なので、こうなると厳しいですね」
うーん、後手はどうすればよかったのでしょうか?
マホ「この展開を避けるには、例えば68手目、金を剥がしておきかったかなと思います」
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局面は、あかりんさんが68手目に△3四歩を打ったところです。
マホ「金銀4枚+玉だと飛車打つ場所が殆ど無いので、ここで金駒を取ることで飛車を使った攻めがしやすくなったのかなと思います」
ううむ、敵陣と自陣どちらを見ればいいのか難しいなあ。
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終局図、おちりすさんが▲4一龍で金を取ったところです。△同銀とすると詰まされますし、先手玉に詰みは無いですか。
マホさん1局を通しての感想をお聞かせください。
マホ「1つ将棋のセオリーとして言われる序盤は飛車よりも角、というのが出ているのかなと思います。飛車角交換時点で後手の模様が良いとは思うんですけど、▲8三角打などで馬が作れる先手に対し、後手は飛車を使った具体的な攻めが難しいです。△1六歩打△1八飛打などで龍作りを優先するような手は、あかりんの棋風ではないのかも知れません」
やっぱり格言は正しいんだなあ。
マホ「最終盤、後手の駒台の角2枚が攻めに使い辛く、先手の飛車打が効果的になっている辺りも、終盤は角よりも飛車の方が強い、大駒の働きに差が出ている感じですね」
流れは完全におちりすというわけですね。
マホ「殆どの時間帯で評価値的には後手が良かったのかなとは思うのですが、人間的には良さを活かし辛い形になってしまったのが後手としては誤算でした。先手はこれだけは許せないという手を指させなかった、簡単に倒れなかったのが勝ちに繋がりましたね。これはらしさが出たと思います」
なるほど、あかりんさんの巧みさとおちりすさんの粘り強さが出た対局だったのですね、熱戦でした。
対局者のお2人お疲れ様でした、マホさん解説ありがとうございました!