1995年発行の「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」に長寿企業の秘訣を学ぶ。
初めまして!siro_masaruです。
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今回はジム・コリンズ「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」1995年発行をつまみ食いします。
まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
この記事で言いたいこと
著者のコリンズは、業界トップ企業の地位を何十年も維持する未来志向(ビジョナリー)の超一流企業を「ビジョナリー・カンパニー」と名付けた。
英文名「Built to Last」で企業をいかに永続させるかの本である。
米国700社のCEOへアンケートして18社のビジョナリー・カンパニーを選び、創業から現在までの歴史を6年間かけて調査し、基本原則と共通パターンをまとめたのが本書である。
例えば…。
18社のビジョナリー・カンパニーは以下の通り。
3M、アメリカン・エキスプレス、ボーイング、シティコープ、フォード、GE、HP、IBM、J&J(ジョンソン・エンド・ジョンソン)、マリオット、メルク、モトローラ、ノードストーム、P&G、フィリップ・モリス、ソニー、ウォルマート、ウォルト・ディズニーと今でも残っている会社も多い。
残念ながら、1950年以前設立の企業が対象なので、グーグルなどの企業は入っていない。
データはあくまでデータであって、この研究結果を絶対的な真理として提示してはいない。
本書も自分の経験や状況に照らし合わせて考えることを推奨している。
ちなみに、1929年にそれぞれの会社へ1ドルずつ投資し、60年後にはたして、その1ドルがいくらになっているか? というところからこの本は始まる。
60年後、ビジョナリー・カンパニーに投資した1ドルは6000ドル以上に。
比較対象企業に投資した1ドルは1000ドル弱になった。
要素は大きく5つ。
簡単に挙げると…。
❶カリスマよりも組織づくり
❷基本理念を首尾一貫して浸透させる
❸大胆な目標設定
❹挑戦を奨励し、失敗を恐れない文化を持つ
❺生え抜きの経営陣
継続的な企業文化を重視している。
雑にいえば、ビジョンや理念がしっかりした会社が永続する。
結局は儲かっているというデータを提示したのだ。
これらを順に紹介する。
ビジョナリー・カンパニー
ビジョナリーカンパニーの成功は、単に時を告げる(短期的な成果を出す)ことではなく、時計をつくる(長期的に成功する組織を構築する)ことにある。
1. カリスマよりも組織をつくれ
すぐれた製品ではなく、すぐれた環境を重視せよ。
「成功した会社は、起業家のアイデアを武器に起業した」と思われがちだが、多くのビジョナリー・カンパニーはたいしたアイデアもなくつくられていると語る。
例えば…。
HP社はヒューレットとパッカードがガレージで会社をつくり「まずは電気料金を払おう」と手当たり次第やるところから事業が始まった。
ソニーも会社を立ち上げた後、井深大と7人の社員がどんな商品をつくるか話し合い、布に電線を縫い付けた電気座布団などで日銭を稼いだ。
創業期にヒット商品で成功した比率は、むしろビジョナリー・カンパニーのほうが低いことが判明した。
⇒ 組織こそ武器。
ビジョナリー・カンパニーは、すぐれた製品や戦略をつくるよりも、すぐれた組織をつくり上げることに、より多くの時間を使っている。
カリスマ的リーダーの存在は必須ではない。
社員の力を引き出す仕組みが長期的な成長を支える。
創業者がすぐれた組織をつくり社員に活力を与え社員の創造性を引き出した結果、すぐれた商品を次々生み出す会社になっている。
これを「時を刻む時計をつくる」(=組織をつくる)と表現している。
そのために必要なのが「基本理念」である。
2. 基本理念を首尾一貫して浸透させる
自社が何者で何のために存在するかを全員で共有する。
「社会貢献」「誠実さ」「従業員の尊重」「顧客へのサービス」「卓越した創造力」「地域社会への責任」など
⇒ ビジョナリー・カンパニーはこの基本理念を組織の土台にしている。
⇒ 利益を超えた目的(基本理念)を持っている。
金儲けだけでなく、「社会貢献」など企業独自の価値観をはっきりさせ、それを徹底して守り抜く。
参考資料
サイモン・シネック著『WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う!』
参考資料
マーク・ベニオフ、カーリー・アドラー著『クラウド誕生 セールスフォース・ドットコム物語』
3. 大胆な目標が未来を切り拓く
社運を賭けるほどチャレンジングな目標を設定する。
ビジョナリーカンパニーの成功の鍵は「基本理念の維持」と「進歩への意欲」の両立にある。
18社中14社が、自社の進化を促す強力な仕組みとして「社運を賭けた大胆な目標」を設定し、挑戦している。
⇒ 「保存と変化の同時追求」こそが、ビジョナリーカンパニーの特徴。
ボーイングのジェット機開発のように、社員が本気でワクワクし、実現を疑わない目標が変革を加速する。
組織内の個人の活力を最大化するための手法も登場している。
参考資料
ジョン・ドーア著『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』
参考資料
スペンサー・ジョンソン著『チーズはどこへ消えた?』
4. 試行錯誤を許容する
偶然から生まれる革新を大切にする。
進化による進歩を促すには、迅速にいろいろなものを試し、「誤りは必ずある」と認め、小さな一歩を踏み出し、社員に自由を与えることが必要になる。
決して、言葉だけではいけない。
表彰制度をつくり、部門長に新商品売上比率の目標を与えるといったように、社内に失敗を許容する仕組みもつくっている。
しかし、トップから支配したり細かい管理はしない。
試行錯誤を許さないと、逆に進化の可能性を抑えてしまう。
戦略的計画ではなく試行錯誤が新しいものを生み出している。
ダーウィンの「変異が起こり、自然淘汰され、種が進化する」という進化論に沿っている。
⇒ 多くを試し、生き残るものを選ぶ。
⇒ 新しいアイデアや挑戦を奨励し、失敗を恐れない文化と仕組みも用意する。
例えば…。
J&J社は、「絆創膏で皮膚が炎症した」という医師の抗議を受け、小さな缶にスキンパウダーを入れて送った。
この小さな缶がヒット商品「ベビーパウダー」になった。
別の社員は、妻が包丁で何度も指を傷つけたので、外科用テープにガーゼを貼り付けて使わせてみた。
これが同社最大のヒット商品「バンドエイド」になった。
つまり、「大怪我しない範囲で失敗を最速で繰り返す」のは黄金法則ということだ。
これは偶然を呼び込む仕組みともいえる。
5. 生え抜きの経営陣と継続的な企業文化
組織内部でリーダーを育て、理念を絶やさない。
ビジョナリー・カンパニーの経営陣は生え抜きが多い。
社外からCEOを迎えるケースはむしろ例外だった。
すぐれた経営者を育成する仕組みを持ち、優秀な経営陣の継続性が保たれている。
⇒ 変化が「時を刻む」体制づくり。
⇒ 世界的に見ても日本には長寿企業が多い。
帝国データバンクによると、2024年9月時点で、日本には業歴100年以上を有する老舗企業は4万5284社にのぼる。
参考外部サイト:全国「老舗企業」分析調査(2024年)
しかも「1000年以上」の業歴を誇る企業は11社にのぼる!
それらの企業には、必ず基本理念があり、基本理念を時代にあわせて進化させている。
近江商人は「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」を信条としている。
この考えは高島屋、伊藤忠、トヨタ自動車、東レ、ワコールなどに引き継がれている。
基本理念の継承と地道な育成を通じて、時代を超えて強い企業文化とリーダーシップを確立する。
ただし単純は安易という意味ではなく、始まりの基本理念を一貫させている。
参考資料
ルイス・V・ガースナー著『巨象も踊る』
参考資料
堀埜一成 著「サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術」
参考資料
ジャック・ウェルチ 著『ジャック・ウェルチ わが経営 上下』
本書を読むと日本企業の良さも改めて見えてくるのではないだろうか?🤔
まとめ
⇒ 基本理念を首尾一貫して徹底する。
⇒ それが偉大な企業(ビジョナリー・カンパニー)として発展する法則。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆