キャンプ初心者のランタン修理修行
我々世代が初めて直面したであろうこの流行り病だが、こんなに長引くとは思わなかった。
「家でじっとしていなさい」と言われた我々マジメな国民はしばらくそうしてはみるがステイホームとホームステイの違いに戸惑った方も多かっただろう。
ジワジワと盛り上がっていたところにステイホームの反動の波がかぶさって訪れた空前のキャンプブーム、2020〜2021。(現在進行中なのかな?ブーム)
2021年には我が家の奥方もうっかりそのブームに取り込まれてしまい、ほぼゼロからキャンプ道具を一式揃えるハメになった。
テント、敷きマット、寝袋、テーブル、食器、コンロ、ヤカンから折り畳み椅子までやれあっちのショップが品揃えがいいだのこっちのショップのオリジナルがグッズ見てみたいだと犬とともに駆けずりまわり買いも買った総額約30万円。
家のローン月額9万円だぞ金銭感覚大丈夫かと聞けるはずもなく、このビーストモードに入ったら勝手に落ち着くまでほうっておくのが最短最善だと知っている俺は特に文句も言わず金だけを無心で吐き出すATM地蔵となって嵐が去るのを待った。
こちとらキャンプは子供の頃から子供会や家族で行きまくっていたので食傷気味というか、用意から撤収までのめんどくささをたっぷりと味わってきたので積極的には提言してこなかったんである。
今思えば滅茶苦茶な田舎に住んでいたのに何故好き好んでキャンプなんかしてたんだろうか。人気のないところから更に人気のない山の中とかに行って外泊するってあんた修行僧とか遊牧民じゃないんだからさ家の庭でいいじゃないのと思うが、海辺キャンプは素晴らしく楽しかったことを覚えている。
大体道具が揃ったころ、そういえば実家にガソリンランタンがあったなと思い出した。たしかコールマンのそこそこ値段のするやつだったはず。でも20年以上も前に買ったやつだから果たして使えるかどうか。
早速母に電話してこちらに送ってもらい、少しホコリなどを拭きマントルを付け替えて空焼きし準備完了。燃料のホワイトガソリンを買ってきて入れる。エアーを入れるポンプで燃料室に空気を入れ燃料バルブを捻るとシューという音と共にガソリンの気化した臭いが漂うので火をつける。
「ズボァッ」と大きな炎が上がりマントルに灯が灯る。
いいね、ガソリンランタンはいい。
20年近く使っていなかったのに大したやつである。早速お前をメインの明かりに任命する!とマンツーマンの任命式を想像の中のメタバース空間で行う。
そうして道具一式揃えた我々は2回ほどキャンプを決行したのち、ある日べランピングで酒でも飲みながら星を眺めようかということになりランタンに灯を入れようかと思い空気を入れるポンピングをしてみたところ、「カスー カスー」という音が出るばかりで全く手応えというか抵抗が無くなっており空気が入らない。
おいおいおい俺のランタンよ、お前は灯るのかい灯らないのかいどっちなんだいっっっっっ。問いかけながらポンピングを続けてみるが空気が入らなーーーーい!
いや入らないんかい!ここ2回のキャンプで絶好調だったのにどうしたんだHey Hey Bay(略
早速ネットの海を調べるとどうやらポンプの部品が劣化していると空気が入らない場合があるという。この部品である。
ほうほうなるほど、劣化については大いに思いあたるフシが12個くらいある。なにしろ20年も放置してたんだから。
よしきた俺にまかせろとその日はLEDランタンの冷たい明かりで凌ぎながらアマゾンで早速注文するしもちろんお急ぎ便で指定する鬼畜な俺である。
次の日到着した部品を喜びいさんで30分かけ早速交換して、いざポンピング。
「カスー カスー」
ほう。3分間待ってやる。
たぶん何かがなじんで無いんだよ。
再びポンピング。
「カスー カスー」
いや入らないんかい!この部品で治るって書いてたのにどうしたんだHey Hey Bay(略
騒いでいてもしょうがないので、きっと他に原因があるのだろうと部品をバラしてみてみると棒の先っぽが折れているっぽいことに気づく。
ここ折れるんかい!金属だろ!
まあても黄色いから硬度が高くない金属なのかもしれない、俺は機械科じゃなかったから金属の種類と硬度はあんまり詳しくないが真鍮は柔らかいことは知っている。まあ折れることもあるか、古いし。
しょうがねえなとまたもやアマゾンのお急ぎ便で部品を取り寄せる。
次の日。
届いた部品を取り付けるため、空気口の奥のネジを取り外そうとネットを検索してみるがどうやらチェックバルブレンチ1650円という専用のネジ回しが無いとナメちゃって再起不能になるかもという情報に行き着く。
それ、先に言ってよ〜
でももう後戻りはできない。部品代に4000円もかかっているのだ。
確かランタン自体は15000円だったからもう結構なことだぞこれは。
果敢にマイナスドライバーでアタックするが「ゴリリ」と嫌な音がする。
うむ。まずい。まずいぞ。まずい事態になる予感がする。
でももう少し回してみようギギゴリリリッ
ナメた。
完全にナメた。
マイナスドライバーも取り付くしまがない。
どうしてこうなるのだ俺は。
以前の俺ならここで諦めランタンを廃棄していたかと思うが、たまたま数十キロ先にコールマンショップがありちょくちょく通っていた俺はピンときてランタンごと持ち込んで見てもらった。
「あー大丈夫ですよ!ちょっと外しますねー」
コールマンショップの店長らしきガッチリ体型の頼もしいオジサンがものの数秒でナメたネジを取り外して新しい部品を組み込んでくれた。
「おおーありがとうございます!おいくらになりますか」
「無料です!」
「まじすか!じゃあ何か買って帰ります」
一件落着。
歳とって身に染みて理解しているのは専門家・職人の凄さ、尊さ。
本当に尊敬しますありがとうございました。
でも修理依頼の際は一本電話するといいかと思います、コロナ禍で部品流通が滞っているものも結構あるとのことでした
コールマン南流山プロダクトセンター