ショートショート/「“胡蝶の夢”異聞」
どこからか蝶がひらひらと舞ってきて、目の前の紅色の花を抱えるようにして羽根を降ろした。
蝶と目が合った瞬間、言葉が伝わってきた。
「君は・・・、僕が見ている夢の中にいるんだよ」
蝶を見つめながら思った。
・・・俺は、夢を見ているのか。
一刻、空白の時が流れ、目が覚めた。
・・・・・やはり、夢か。
ふと前を見ると、視界を遮るほどの大きな紅色の花があり、気づかぬうちに自分でそれを抱え込んでいた。
花の向こうには、こちらを見つめている、人間の顔。
人間と目が合った瞬間、言葉が伝わってきた。
「君は・・・、僕が見ている夢の中にいるんだよ」