吟遊カフェ ☆れむりあん☆

「釈迦といういたずら者が世に出でて  多くの者を迷わするかな」 って、ひねった一休さんの「悟り」から現代の「アセンション」まで、いやいや、みんな迷ってきたよねー。 このカフェでは、そんな迷える者達の小話をちと綴ってみたいのであります。 まずは熱~いコーヒーでもどうぞ^^。

吟遊カフェ ☆れむりあん☆

「釈迦といういたずら者が世に出でて  多くの者を迷わするかな」 って、ひねった一休さんの「悟り」から現代の「アセンション」まで、いやいや、みんな迷ってきたよねー。 このカフェでは、そんな迷える者達の小話をちと綴ってみたいのであります。 まずは熱~いコーヒーでもどうぞ^^。

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最近の記事

ショートショート/「野蛮人」

環境保護団体「シーフォックス」のメンバーの1人が口を開いた。 「クジラを食うなんて、あの日本人って奴らはとんでもない野郎どもだ」 別の男がそれに同意する。 「まったくだ。あいつらにはクジラが哺乳類だ、という小学生なみの知識すらないのさ」 メンバーたちは笑った。 「動物への愛がないなんて、まるで野蛮人の集団だな」 彼らは口々に日本人の品性をけなし、侮蔑の言葉を重ねては盛り上がった。 イブの夜、皆して強い酒をあおり、山盛りにしたフライドチキンに噛り付きながら・・・。

    • ショートショート/「妄想」

      「・・・そこはチベットの山奥だったんですが、すごいものを見たんです」 パイプ椅子に腰かけた男は、目の前の男に高揚した口調で続けた。 「大きな池の畔にぼろぼろの小屋があって、その前で老人が池の中に浮かぶ小島を眺めていたんですね。 何をしているんだろうと見ていたら、突然、その老人がその小島に向かって歩き出したんですよ。 え?そうです。水面の上をそのまま歩いて行ったんですよ」 壁を背にした椅子で耳を傾けていた男は目を見開き、叫ぶように言った。 「まるでキリストじゃないですか

      • ショートショート/「救いの御子」

        まだ年端もいかぬ若い見習いシスターが尋ねた。 「神父様、クリスマスには七面鳥を食べるという慣わしがありますよね。 でも七面鳥さんも私たちも同じ命・・・。少し可哀想に思えるのです」 神父はにっこりとほほ笑みながら答えた。 「確かにそうですね。神様の下、すべての命は同じ重みを持ちますからね。でも、近頃はある方のおかげで、その慣わしを行う家庭は少なくなってきていると聞いていますよ」 「まあ、そうなのですか!それは嬉しいです。七面鳥さんにとっては救いの御子ですね!!」 見習

        • ショートショート/「座学マニア」

          『禁煙』なんて簡単だ。私はすでに何百回も試したことがある。                         マーク・トウェイン 『覚醒』なんて簡単だ。私はそれに至る何十通りもの方法を知っている。                         探究者

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        • ショートショート
          33本
        • 実録スピ散歩
          5本
        • 流星の独り言
          2本

        記事

          ショートショート/「過去から印された足跡」

          四方の空間から無数の光の微粒子が集まってきたかと思うと、それらは徐々に円柱の形状を成し、やがて眩いばかりに輝く光の筒へと変化した。 その光の筒の中に、グレーのシルエットが浮かび上がる。シルエットはやがて男の姿へと変わった。 男は光の筒から外に足を踏み出すと、美しい乳白色のメタリックの床に体を移動させた。 「お帰りなさい、ご苦労さま・・・。すぐご飯にする?」 「・・・いや、まずは一杯やらせてくれ。今日は、きつかった」 「そう思って準備しておいたわ」 女は見えないグラス

          ショートショート/「過去から印された足跡」

          実録スピ散歩/「奇跡のメソッド」

          スピリチュアルグッズが好きである。 けっ、何だよ、悟りとか覚醒とかとか言ってるくせに、結局は神頼みかよ、とディスっている、そこのあなた! ふふ。ふはははは。だあ~はっはっ!! 私は知っている。人のことをディスりながらも、あなた、密かにポケットか机か押入れのどこかに、グッズ持ってるでしょ! こっ、こらっ!どこに逃げる!! ・・・だが、まあ、いいでしょう。今日は私の話である。 悟りへの道は深遠である。 お釈迦さまは王子という極めて恵まれた環境を自ら打ち捨てたが、無論、それ

          実録スピ散歩/「奇跡のメソッド」

          ショートショート/「“胡蝶の夢”異聞」

          どこからか蝶がひらひらと舞ってきて、目の前の紅色の花を抱えるようにして羽根を降ろした。 蝶と目が合った瞬間、言葉が伝わってきた。 「君は・・・、僕が見ている夢の中にいるんだよ」 蝶を見つめながら思った。 ・・・俺は、夢を見ているのか。 一刻、空白の時が流れ、目が覚めた。 ・・・・・やはり、夢か。 ふと前を見ると、視界を遮るほどの大きな紅色の花があり、気づかぬうちに自分でそれを抱え込んでいた。 花の向こうには、こちらを見つめている、人間の顔。 人間と目が合った瞬間、

          ショートショート/「“胡蝶の夢”異聞」

          実録スピ散歩/「海を渡ってきたチャネラー」

          その女性チャネラーは、毎年来日しては約1か月の間、滞在し、日本のクライアントを相手に小遣い稼ぎ、あ、いや違った、個人セッションを行われているのである。もちろん、通訳付きである。 私はチャネラーというのがいささか苦手である。ほとんどのチャネラーは素晴らしい能力と人格を備えておられるとは思うのだが、こちらにはその能力の高低もしくは正邪を判断するすべがない。 だが、今回はこのヒトのセッションを受けてみようと決意したのだ。理由は、私が尊敬申し上げていた、さる覚醒者が「彼女は本物

          実録スピ散歩/「海を渡ってきたチャネラー」

          ショートショート/「雲消し」

          「先生は空の雲を自在にお消しなることができると伺いましたが、本当でございましょうか?」 スピリチャル雑誌、月刊「パワーフィールド」の編集者は目の前の老人に向かって尋ねた。 この手の雑誌はどうしても同じようなテーマの使い回しにならざるを得ない。 超能力、UFO、宇宙人、古代遺跡、未来人・・・ そのため、何か珍しいトピックはないかとSNS、テレビ、口コミ等に目を光らせるのが、編集者の常となっていた。 今回は、空の雲を自在に消せるというブロガーが目に留まり、まあ当たれば儲けもの

          ショートショート/「雲消し」

          実録スピ散歩/「失言の導師」

          その女性の先生は齢60にして、スリムな体型、お顔はつやつや、シワひとつなく、ショートカットの髪は黒々としてキューティクルてんこ盛り、というような外観を維持なされ、まあ、外人から見れば40台でも十分通じるのではないか、という方であった。  日頃、人間は中身で勝負だ!といってはばからないものの、その実、初対面の人については、その良し悪しを(良し悪しって、しかしw)まずは外見で判断する私としては、「うーん、覚醒すると、ヒトはかくも不老長生になるのか」と感嘆すること、しきりであった

          実録スピ散歩/「失言の導師」

          ショートショート/「惑星モニタリング文書」

          宇宙連合銀河支部の指揮官には、各惑星に関する調査結果のレポートが随時、報告される。本日のレポートは、太陽系第3惑星「地球」の生命体である「人間」の行動傾向に関する調査結果だ。 「まずはリストをご覧ください」 調査員は空中スクリーンにレポートの一部を映し出した。 カジノ、競馬、ロト、宝くじ、パチンコ、スロット・・・ 途中まで目を通して、指揮官は調査員に尋ねた。 「これらは何のリストかね?」 「参加費を上回る利益を得ることを期待する『賭け』、と称されるゲームのようなもので

          ショートショート/「惑星モニタリング文書」

          ショートショート/「食物連鎖」

          自己啓発セミナーを主催する男の下に、部下の一人が慌てた様子で駆け込んできた。 「先生!11月からのセミナー料金の30%値上げ、生徒さん達が猛反対です!」 「だって、しかたないだろ。私がひそかに通っている覚醒セミナーの授業料、11月から倍に値上げされるんだから・・・」

          ショートショート/「食物連鎖」

          ショートショート/「1人勝ち」

          「ポイントは、すでにそれは実現しているのだ、というイメージの強さです」 <誰も言わなかった引き寄せの超法則>と銘打たれたセミナーで、会場を埋め尽くす参加者を前に講演者は熱く語った。 「引き寄せの対象は当然、人によって異なります。 釣りに行くとします。ある人は鯛を釣りたい、別の人はマグロを、またある人はアジかもしれない。人によって望む魚は異なります。でも、その魚は全く同じ海の中から釣り上げられるのです。 皆さんはいま、その海にいます。どこの海でしょうか? そう、この『現

          ショートショート/「1人勝ち」

          実録スピ散歩/「バイリンガルの覚醒者」

          覚醒したといわれるその女性の先生はバイリンガルなのである。 昔は同時通訳をやられていたこともあり、また、その通訳が大変素晴らしいと評判でもあった。 しかし、あまりに英語が達者であるがゆえ、通常の会話の中で日本語と英語がごっちゃになることがあるのであった。 新幹線のグリーン車を、グリーンカーとオサレな表現でおっしゃったりするのである。 セミナーが開催されたその日も、なかなか趣のある表現を耳にする機会に恵まれた。 様々なお話の中で超常現象に言及された際のことである。 「霊体

          実録スピ散歩/「バイリンガルの覚醒者」

          ショートショート/「乗っかり上手」

          「2023年・・・。 それまでが覚醒の最後のチャンスになります。 その年以降、人間界は覚醒組と非覚醒組の二手に明確に分かれ、お互いが交わることはなくなるでしょう」 元々、話の上手な女性チャネラーではあったが、その主張をメインにしてから、彼女のセミナーは毎回、何十人ものキャンセル待ちを数えるほどの超人気セミナーとなり、収入も急激に増大した。 これでいい・・・。 この調子なら2023年の末までにはそこそこの資産を築けるわ。 手にしたティーカップから立ち上るアールグレイの芳醇

          ショートショート/「乗っかり上手」

          ショートショート/「蜘蛛の糸2021」

          DNAは争えない。 カンダタの孫であるクンダタもまた祖父と同じく、生前に犯した数多くの罪で血の池地獄に落ちていた。回りには、クンダタが生前泣かせた女たちの怨念と恨みの思いが無数の般若となって蠢いていた。 地獄に墜ちて三日三晩、般若たちに足を引っ張られ、池の中に頭までずっぽり沈んではまた浮かぶ果てのない苦しみに喘いでいたが、ふと気づくと、天界から一本の金色の糸が静かに降りてきていた。 「こ、こいつぁ、夢に出てきた爺さんが言ってた例のやつだ!」 クンダタは狂喜したが、すぐに

          ショートショート/「蜘蛛の糸2021」