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dorobe56
残り物には懺悔がある
放課後。窓から差し込む夕陽が机の上の書類を赤く染める。小山内真由美と奥田真司は2人で生徒会室の後片づけをしていた。
「これで全部?」
真由美が最後の書類を確認しながら尋ねる。
「うん」
「そっか、これで終わりか……」
真司はちらりと彼女を見た。1年間、会長・副会長として生徒会を切り盛りしてきた。忙しかったけれど充実した日々だった。でも、2人とも受験組だ。残りの高校生活は受験勉強に明け暮れることになるだろう。
静寂が流れる。
最後に真司がデスクの引き出しを開けると、1通の封筒が出てきた。
何だろう? 開けてみると、白い便箋に強い筆圧で書かれた男らしい文字が並んでいる。一瞥しただけで分かった。ラブレターだ。真司は、少し迷った末、むき出しのまま便箋を真由美に手渡す。
「あっ、これは……」
真由美が顔を赤くして、黙りこくる。真司の鼓動が早くなる。
「……。俺も、言いそびれていたことがあるんだ」
夕陽が二人の横顔を赤く照らし、生徒会室に小さな懺悔が漂った。