消費増税による影響を考えてみる

来年10月から消費税が10%に上がる。

これにより警備業者はどのような影響があるのか。

1. まず増税により日本経済はどのような影響を受ける事が予想されるか。

自分なりにはじき出した結論から言えば、この増税により日本経済はかつてのデフレとまでは言えないものの消費が冷え込んで、一時的な景気低迷の可能性はあるかもしれないと考える。

一般に増税はインフレーション時にとる政策と言われている。

インフレーション(以下インフレ)とは物価の継続的な上昇のことをいう。

世の中に流通するお金の量が増えたり、お金の価値は下がる。その結果、相対的に物の価値は上がる。

このサイクルが続くと経済が過熱し、実態との乖離が生じる。そうなると通常、お金の量に収入が追いつかなくなるので、例えば日々の生活物資を手に入れるのに一杯一杯になり、生活水準の下落が生じる。これが俗にいうインフレと呼ばれる現象である。

この場合に増税をするのが効果的である。

なぜなら、増税をすれば、市民の購買意欲が薄れ、結果的に世の中に流れるお金の量を適度に減らすことができる。そうすれば経済の実態に近くなり、健全な経済が実現できるからである。

しかし、もしインフレでないのに増税したら、逆に世の中に流れるお金の量が経済の実態より少なくなり、お金の価値が上がり物価が下がる。

このサイクルが続くと世の中に流通するお金の量が少なくなるので潰れる業者が増え経済が冷え込む。

これが、バブル崩壊から最近の民主党政権崩壊時まで続いたデフレーション(以下デフレ)と呼ばれる現象である。

そういう意味では安倍政権発足時に当時の日銀総裁の黒田氏の行った市場に流通する国債や株式を大量に買い取る等して世の中に流れるお金を増やす俗にいう黒田バズーカーはいい政策だと僕は思う。

デフレから抜け出したが、本格的なインフレに達していないリフレーション(以下リフレ)をよしとする黒田氏を筆頭とする俗にいうリフレ派はインフレ率2%が理想的なリフレ水準としている。

現在インフレ率は1.12%である。この状態はいまだ理想的なリフレ水準に達していないと評価できる。少なくともインフレに達していない。

この状態で消費税を上げれば消費が冷え込可能性は高い。

現に2014年に消費税を5%から8%に上げた後、消費は冷え込み、2016年のインフレ率は−0.11%とデフレ水準まで落ち込んだ。

今回は前回と違い2%のアップに留まるので影響は前回ほどではないものの、消費への悪影響は避けられないと考える。

(ちなみにそんなことをいうと、でも財政健全化の観点から必要だろうと言う人がいるが、そんな人には消費が落ち込めば各企業や家庭の収入も落ち込むから税収も当然落ちて、むしろ財政悪化につながるよね、と言っとこう。)

2. ではそれにより、警備業界はどういった影響をうけるか。今回は警備業者のほとんどを占める1号警備と2号警備に絞ってその影響を考える。

(1) この点に関して、1号警備の場合は全国の施設や工場やビルがメイン。なのでモノが売れなくなれば、当然経費削減の要請が社内から沸き起こり、まずやり玉に上げられるのは雑費扱いの警備。


なので増税による影響はある程度は受けざるをえないと考える。


(2) 次に、2号警備に関しても民間関係の工事の場合は1号警備と同じ理由である程度影響は受けるとは思う。


また公共関係に関しても直接的な影響はないものの、依頼主の建築土木会社の収益悪化次第によっては影響を受けざるを得ないと考える。

ただ、消費が冷え込めば潰れる会社も出てくるので市場内の人材が増え、今の人材獲得競争もクールダウンするかもしれない。

とはいえデフレ時みたいに失業者が溢れるところまでいかないので、深刻な警備員の人手不足解消とまではいかないだろう。

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