何年社会人やってるの?
4月は街のあちこちでスーツに着られた初々しい新社会人を見かけます。私は初々しさが何なのかももう忘れましたが、毎年この時期に新入社員研修で彼らに接する度、襟を正す思いになります。
何十年も社会人をやっていれば様々な経験をし、効率良く仕事ができるよう熟れてきます。しかし、その熟れ感が間違った方向に進んでしまうこともあるので、新入社員研修は私にとっても基本に立ち返る良い機会になります。
2人以上の複数人で仕事をするうえで大切なことの一つは、「伝えた」ことと「伝わった」ことをイコールにすることです。そんなこと当たり前だろうという人は、言えば伝わると思っているうえに、真意が正確に伝わらなかった場合は大抵相手のせいにします。
この誤った伝え方は、仕事に慣れてくると様々な局面での『ショートカット』という技を身につけていくところから始まります。これが効率化に向かえば良いのですが、そうではない場合も。良い方向に向かわない場合の原因の多くは、言葉の短縮とそこに内在する「主観」です。
これは、私の知り合いの女性の話。
レストランでワインを注文して値段を聞いたところ店員さんが「サンゴーでいかがですか?」と言いました。彼女たちは3,500円だと思って注文したら、お会計時に35,000円だと知り驚いたそうです。
仕事をするうえで正確に伝わらなかった場合、その責任は伝えた側にあります。なぜならば、受け取る側の解釈は人によって様々だからです。そんなことも知らずに一体何年社会人やってんですか?というベテランさんが実は結構多かったりします。
例えば・・・
なるはや
しばらく
ゆっくり
ごごいち
あさいち・・・
相手から仕事の提出期限を訊かれ「なるはやで」と答えたとして、自分が考えていたより遅く仕事が上がってきても、そう答えた自分の責任です。「○○日の○○時まで」と明確に言わなかった自分の責任です。物事の捉え方や価値観は人によって違うということも知らないことの方が驚きです。「なるはやって言ったら普通このくらいだろう」というのは大いなる驕り。あなたの常識はあなただけの常識です。朝イチ、午後イチも同罪。「イチ」って何時よ?
また、このような感覚の方はスケジュール決めなどの時にもその威力を発揮して、主観的かつ相対的な言葉で伝えてきます。
例えば・・・
明日
明後日
○曜日
○日
週末・・・
○月○日(○曜日)○時 とフルセットで伝えてください。「明日」は明日になれば「今日」に、「明後日」は明日になれば「明日」に変わります。水曜日は毎週あります。週末までいくともう終末です。
これらの言葉に共通しているのは、全て『主観的であり相対的』。つまり自分目線でありその場の状況によって捉え方が変化してしまうこと。相手目線を考えた『客観的事実』で伝えないから、「伝えた=伝わった」にならないのです。
バブルの遺物でしょうか、いまだに「なるはや」を連呼する方は現存しています。こういう方はアリかナシかといえば私の中では完全にナシですし、これから成長していく新入社員の皆さんには教えないでいただきたいです。真っ新な新社会人が、主観という自分目線でしか話せないようなビジネスパーソンにならないよう、そして私もそうならないようにしっかり研修してきます!