やさしいうた
ぼくは言ったんだ。
この世界なんて、ぼくがぼくを殺すことだって、これっぽっちも怖くないんだ。
ぼくが生きている中でも今まで聞いたうたの中からいちばんやさしいうたを聴かせてくれた人だってきみだった。
あの時、あの人に出会ったぼくは何も考えず、ただ、あの人のうた声を聴いていた。
ただ、それだけを繰り返した。
ただ、生きているだけの怠け者の様なうただったけれど、それでも、ぼくは救われた気がする。
ただ、それだけで生きた。
ぼくはきみの声が好きだった。
何度もさよならのうたを聞かせてくれた。
そのうたと共に流す涙ときみがいて、ぼくはそんなきみを夢の中で、眺めながら殺した。
きみの嘘が好きだよ。
きみの声が怖かった。
優しいきみのうたが怖かった。
きみがこわい。こわい。こわい。こわい。
恐い。
心臓を砕きながらもがいた。
ねえ、必死に生きているぼくだけを見て。
ぼくはこの世界が大嫌いだった。
皆に生きていて欲しいんだよ。
今、ぼくのこころをひとつ見せてあげたんだ。
優しいうたなんでしょう。
ぼくの願いはこの世界からぼくを殺す事。それでも覚えていなくて良いんだよ
ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。
全て作り話なんだ。時間だけが過ぎていく。
自分勝手で惨めなぼくのうた。
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