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「終遠のヴィルシュ」マティス感想(※ネタバレ有)
こんにちは、しおむすびです。
最近もやはり終ヴィル漬になっておりました。感想を書くためにゲームをプレイしなおすと、物語に入りこんでしまって、気がつけば二周目を終えているという罠。おかしいな。シナリオが良すぎるんだよな。
今回は、ネタバレ有で、想いの丈を語らせていただきます。もしこの記事を、購入を迷っている未プレイの方が読んでいたら、できれば閲覧をさけてほしい。
というのも、「終遠のヴィルシュ」は、ネタバレが特に致命的となるシナリオだからです。ストーリーのジャンルとしては、「ミステリー」。私がプレイした体感では、ミステリー要素8割、恋愛要素2割程度…いや、もしかしたら9:1かもしれません。男性にも推せるゲームなのだ!(※二度言った)。物語終盤の真相のたたみかけには、鳥肌が立つほどでしたからね。
とはいえ、私は全クリア済の二周目でも楽しめたので、真相を知っていても楽しめるのかもしれません。ただ、できれば、このゲームは前情報のないまっさらな状態で純粋に楽しんでいただきたい想いがとても強い。終ヴィルに惚れこんだオタクの願いですね。
警告はこのあたりにしまして、ネタバレありの感想、語っていきますね!
ああ。まずは、なにから、語ればいいかなぁ。
語りたいことが多すぎてうまくまとまらない気はしていますが、とりあえず、このゲームのすごい!と思ったところを列挙していきます。
①伏線の張り方がえぐい。(※素晴らしい)
共通の時点で、各キャラの物語への伏線がこれでもかとめぐらされています。リュカ先生が一見美しくなよそうな優男に見えてド怪力の持ち主であること、イヴの殺人料理が振舞われた時の各キャラの反応etc。単に各キャラの魅力を引き出すためのほのぼのシーンかと思いきや、その後に続く物語への重要な伏線でもあることが多く、無駄と思われる設定がほぼない。シナリオとして研ぎ澄まされており、美しさすら感じました。
②登場人物全員が、かなり、思いきった設定。(※これでもかというほどの試練が課されている)
共通(第一幕&第二幕)、マティス、リュカ、シアン、イヴの各々の物語、第三幕、どのシナリオも読みごたえがあって本当に面白かった……!
ここから先は各個別ルートの感想を語りますね('◇')ゞ
★マティスルート感想
私はマティスくんルートからプレイしましたが、初っ端から、度肝を抜かれる気持ちでした。
マティスくんの言動や記憶に度重なる違和感をおぼえつつ、それでも進めていくと、待っているのは驚きの真相……否、絶望!! 夜中にプレイしていたこともあり、恐ろしすぎて、一度プレイをやめそうになりましたが、それでも話の続きが気になって結局深夜1:00までプレイしましたね。次の日眠たい頭で会社に行ったのは言うまでもないことだ。
だってだって!まさか攻略対象の一人が、他の人間の継ぎはぎの記憶を埋めこまれて非合法的にうみだされた人造人間(ホムンクルス)であり、彼がこれまで最も信頼していた執事のジャンこそがその黒幕だったなんて、誰が想像できます!? さすがに予想外すぎてあいた口が塞がらなかったけれど、寒気までしたわ。乙女ゲームの皮をかぶりながら、ここまで思いきった設定で攻めてくるのか、という意味でも衝撃を受けた(※褒めてる)
(余談ですが、マティスくんはホムンクルスであるがゆえに、イヴの殺人料理に他のキャラとは違った好意的な反応を見せていたのですね。二周すると細かい伏線に感動しっぱなしになるので、プレイ済の方にも、周回を推したい。笑)
この絶望の真実により、マティスくんが死刑執行人に親愛なる兄を殺されて復讐に燃えている、という大前提すら覆るという驚き。そして、黒幕ジャンの目的は、亡き恋人ロザリーを自分を愛していた当時の記憶を保ったまま蘇らせるということでした。そのためならば他の命はどうでもいいという開き直り方にも唖然。ちなみに「配達人」の噂を娼婦の間に流し、国外に逃亡できるという夢を見た女をさらっては殺していたのも彼で、全てはこの違法実験のため。
あまりにも歪みすぎていて個人的には憤慨の気持ちよりもおぞましさの方が強かったですけど、そんなジャンには、ほんの少し同情の余地があるんですよね。元々娼婦であったロザリーは、クロード家のお坊ちゃんであったジャン――否、カミーユに見初められて婚約をするのですが。結婚前になって、「あんただけ幸せになるなんて、ゆるせない……!」と他の娼婦にお腹の中の赤ちゃんごとナイフで殺されてしまうのです。
だからといってジャンのやってきたことが正当化されるとまでは一切思わないけれど、よくこんなかわいそうな話を思いつくなぁあとひたすら絶望的な気持ちになりました……。
マティスとジャンの正体が分かった後も、ひたすら絶望の展開。
別人の記憶をダウンロードし、今のマティスとしての人格を失っても、マティスはセレスを愛せるのか、という狂気的な実験が始まります。この辺については、読んでいてしんどさしかなかった。だけれど、しんどいがゆえに、強い愛も感じた。今の記憶と人格を失いセレスのことを忘れ去っても、マティス君はその日の終わりにはなんとかセレスへの愛を思い出す。
個人的には、マティス君の絶望エンドが、全キャラの中で一番狂気的で強烈でした。カミーユの記憶をダウンロードされたマティス君は、マティス君としての自我を失い、自分をカミーユだと思いこんでしまう。そんな彼に、セレスは「ロザリー」として愛されます。そこはかなとない虚しさに襲われながら、それでも、彼を放っておけなくて……。
よくこんなに救いのない話を思いつくなぁあ!と苦しい気持ちになったのは言うまでもない。
今思い返すと、マティスルートでは、「終遠のヴィルシュ」という物語世界への洗礼を受けたという気持ちが一番強かったかもしれない。
「終ヴィル」は絶望的で暗い話だという前評判は聞いていたけれど、予想を遥かに超えてきた。私にはホラー耐性があまりないということを差し引いても、中々、強烈なストーリー展開なんじゃないかなぁ。
ときめいたかと言えば、うーん……正直、あまり、刺さらなかったかな。それ以上に、かすかな違和感と疑問から大きな絶望へと収束していくストーリー展開の方が圧倒的にインパクトが強く、そっちに心を持っていかれてしまった。「配達人」の謎、共通で死んだはずだった「死刑執行人」の復活と、めくるめく緊張感にドキドキさせられて読み進める手が止まらなかったのでした。
マティス感想、おしまい。
最初はリュカ先生の感想も同記事におさめようと思っていたのですが、例のごとく、膨大な文字数となってしまったので記事を分けることにします。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!