怖かったけどちゃんとやった

ある研修(実習?)を受けに、朝から街の方へ出かけた。向かう途中出会った並木がとても綺麗だった。
去年から、木は緑色が結局一番感動することに気づいた。少し風が吹いていて、小さい葉っぱみたいなのが飛んでいる。深呼吸したら、空気がおいしい味だった。

なんだか素敵な朝の始まりのようだが、実際はかなり緊張していた。30分前には着いたのだが、30分前から建物に入るのは流石に早すぎかな、いや、でもジャストすぎるのも怖いよな、なんて悶々としていた。

結局少し散歩をし、15分前に研修室の中に入った。ほぼ全員が既にいた。あの時ウジウジしないでさっさと入ればよかったと後悔した。

いろんな年代の人がいた。そして皆持参のパソコンをカタカタと弄っていて、この中で自分が一番アホなんじゃないかと不安になった。そう思うくらい周りは賢そうだった。

研修が始まり、「プリントを配るので後ろに渡してください」とアナウンスがあった。自分の時、手際よく一枚自分の分の紙を取り、スムーズに残りを後ろの方に渡せるだろうか、と心がざわめき始めた。何歳になっても小学生の頃のようなこんな悩みを抱えて生きていくんだなと唖然とした。

プリントが自分のところに届き、手を上手くスライドさせて即座に一枚自分の分を確保できた。小中学生の頃の自分に見せつけてやりたいくらい上手くいった。やはりなんだかんだ歳を重ねると出来ることが増えていくのかもしれない。

後ろの方にプリントを渡すと、「ありがとうございます」と小声で言ってくれ、「あの…すみません。なんか多分葉っぱのようなものが頭についてます…」とわざわざ教えてくれた。
「えっ、あっあっ、ありがとうございます、すみません」と後頭部を触ると、先ほど感動してた緑の木の葉が頭にくっついていた。
意外とその時の自分は冷静で、「あぁ、先ほどのやつがくっついたのね」と淡々と心の中で感想を述べた。恥ずかしすぎて開き直っただけかもしれないが。

お昼休憩になり、持参したぶどうパンをむしゃむしゃ食べた。
やっと休憩だ、と開放的な気分でしばらく過ごしていると、カタカタカタカタと周りから音が聞こえてきた。見回すと、教室内にいるほとんどの方が午前中に行った学習に関する復習やレポートを作成していた。

少なくとも休憩の時間にわざわざ家から持ってきた「ちびまる子ちゃん」を読んでクスクス笑ってるのは自分だけで、ものすごい居心地の悪さを感じた。というか、なんかグルーヴを乱してすみません、みたいな気持ちになった。「休み時間なんて好きに過ごせばいい」という理屈を持ってきてどうにか心を落ち着かせた。

その後も自分が妙な発言をしてしまったりと、恥ずかしい事象は多数起きたが、無事研修は終了した。帰りも朝出会った並木を見ながら帰ろうと思ったが、並木近くで警官が中年男性を職質していた。木よりもそっちが気になってしまった自分がなんとなく悔しかった。

それにしても、久々に一つの四角い部屋に数十人が集まって講義を聞く、みたいな体験をしたけど、どれだけ興味があることでもやっぱり壁にある時計をチラチラ見ちゃうもんなんだなと思った。早く終わらないかなぁ、と。

色んなことをこの場で学びたいみたいな意欲と、早く終わって帰りたいなぁという怠惰は自分の中に同居していて、あらゆることがこれからも体の中で矛盾しながら生きていくんだろうなって思った。

慣れないことだったせいか、帰り道は頭痛が厳しかった。家に帰って3時間ぐらい寝たらなんとか良くなったけど、「こんな時間じゃもう寝るしかやることないじゃん」となり、また寝た。普通にまだ眠たかったってのもある。

見てくださってありがとうございます。気の向くままにやっておりますが、どこか、何かの形で届けばいいなと考えています。