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「む、むずかしい・・・」理解できない展示を楽しむコツ|内藤礼 生まれておいで 生きておいで

「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」を2会場で観てきました。

●東京国立博物館 平成館
●銀座メゾンエルメスフォーラム

東京国立博物館(以下トーハク)での鑑賞後、レポートをまとめきれなかったのですが、とりあえず個人的な感想・・・ということで記録しておきます。

内藤礼といえば「豊島美術館」

さて、内藤礼といえば、瀬戸内の豊島美術館を思い浮かべる人も多いことでしょう。

豊島美術館は、「美術館」というイメージからは少し外れているかもしれません。絵画や彫刻が並んでいるわけではなく、美術館のメインスペース全体がひとつの作品となっています。内藤礼の《母型》です。

外の自然とつながった曲線的な空間で、光、風、鳥のさえずりなどを感じながら、絶え間ない微かな水の動きを眺める・・・

そんな原始的な瞑想体験をすることができる場所。

豊島美術館は私が日本一好きな美術館です。「わたしも!」「感動した!」という人にたくさん出会いました。高松や岡山の港からフェリーが出ているので、まだ行ったことのない人はぜひ訪れてみてください。本当に価値の高い体験ができます。

「生まれておいで 生きておいで」は、理解が難しかった

2会場で開催された「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」ですが、「正直よくわからん・・・」というのが率直な第一印象です。

豊島美術館は、アート好きじゃなくても大半の人が「うわぁ〜いいなぁ〜〜〜」ってなると思うのですが、今回の展示は難しい。「ん?どういうこと??」と首をかしげる人のほうが多いでしょう。

でも、「深く感じれば考えさせてくれる」という、まさにアートの奥深さを味わわせてくれる展示でもありました。そこで、この展示を楽しむための私なりのコツを紹介します。

「生まれておいで 生きておいで」を楽しむコツ

1. すいているときに行く
2. ひとりで行く
3. ゆっくり時間をかけて味わう

1. すいているときに行く

少しでもすいていそうな時間帯、たとえば平日のお昼頃とか閉館間際(エルメスの最終入場は18:30)を狙っていくのがおすすめです。

展示空間に置かれたり吊るされたりしている要素は、ひとつひとつが「とてもささやか」。それらが空間と強くリンクしています。ささやかな要素+空間と向き合うには、混雑している状態は望ましくありません。

私がトーハクの展示を観に行ったのは平日日中だったのですが、バカンスシーズンだったせいか外国人観光客でごった返していました。周りの人を気にしながらの鑑賞はどんな展示でもストレスになるけど、特に内藤礼の作品は台無しになる感じがあります。

2. ひとりで行く

誰かと一緒に行くのはおすすめしません。
会場まで行って完全に別行動・・・とかなら、まあいいかな?

というのも、できるだけ深く考える瞑想的な作業をしたほうがいいので、同行者がいるとジャマなのです。ジャマというか気が散ります。

私はエルメスに「特にアート鑑賞が好きではない人」を連れていってしまいました。相手が「なにこれ・・・」という感じで早く帰りたそうだったので、残念ですが早々に引き上げざるを得ませんでした。

3. ゆっくり時間をかけて味わう

次に予定がないとき、ゆっくり時間をかけて味わいましょう。
ぱっと観るだけでは、作品に込められた想いを感じとることはできません。

内藤礼に限らず、ひと目で全てがわかる作品はほぼないです。すっごく大きいとか、すっごく細かいとかだと、「おおすごい〜」ってなるけど、それでも作品のすごさの一部でしかありません。

今回の展示のように、深い部分に訴えかけてくるようなものだと、自分の心や考えにも向き合わないといけないので、時間がかかります。考えて、考えて、考えれば、新しい景色が見えてくるはずです。

トーハクの会期はもう終わってしまったので、「いまさら・・・」と思うかもしれませんが、エルメスの展示は来年まで続きます。エルメスは無料で観れるので、トーハクで心折れてしまった人も、ぜひチャレンジしてみてください。

アートと向き合う時間が心を豊かにする

最後に、内藤礼の詩を紹介します。

誰だろう
この地上に生きた いのちと 母というはざま
そして ここには 生の内と外にゆきわたる 何かがあった
みなが はなつ 声 みちて
そうおもうほど わたしは生だった

内藤礼

時を超えて呼びかけてくる声。作品を観ながらゆっくり呼吸をすれば、あなたの心にも聞こえてくるかもしれません。


東京国立博物館 平成館 企画展示室
2024年6月25日(火) ~ 2024年9月23日(月・休)※会期終了

銀座メゾンエルメス フォーラム
2024年9月7日(土)~2025年1月13日(月・祝)


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