【新車ディーラーの営業】新車ディーラー営業の失敗談・やくざやさんの新車の納車でおきた事件【失敗エピソード②
今回は前回の記事【新車ディーラーの営業】新車ディーラー営業の失敗談・土下座しても許されず、「もう指つめなあかんのとちゃうん?」事件【失敗エピソード①】のつづき新車ディーラーでの失敗談の2話目です。
今回は前回のつづき新車ディーラーでの失敗談の2話目、やくざやさんの新車の納車でおきた事件です。
この記事を書いている私は、業界最大手の車買い取り店で2年、国産ディーラーで3年、トータル「車の営業歴は5年」ほどあります。
新車ディーラー営業の失敗談・やくざやさんの新車の納車でおきた事件
今回はMという社長のお得意さんの新車トヨタ・ベルファイアという、高級ワンボックスカーを納めるときにおきた事件です。
ベルファイアの納車の日
前回の失敗談1話目の記事で、Kさんの納車時に社長と積車(車を載せるトラックのことをいいます)でO府までの道中、高速のパーキングに寄り、積車に積んだ軽のワンボックスカーの車体がおもいきり斜めにずれていて冷や汗をかいたことをお伝えしました。
その経験があったので、今度はフロント側を進行方向の向きに合わせて、ヴェルファイアを積車にのせたあと、「これで問題ないかなぁ」とベテランのメカニックに聞いたところ、彼はより安全にと車体の下廻りと積車の荷台にあるフックをワイヤーで固定してくれました。
しかし、このメカニックが満を持したことが、「のちのちあだとなる」のだとは思ってもいませんでした。
私は積車に車を積んで遠方まで行くときは、途中でパーキングに寄り、車の状態を確認するようにしていました。この日もいつもどおり中間地点のパーキングに寄り確認しました。
するとメカニックが取りつけたワイヤーが緩んでいたのです。そして異常がないか車体をぐるっと確認すると、なんとフロントスポイラーにヒビが入っていたのでした。
あーーーーーーーーーーーーーーー
顔が青ざめました。
まさにマンガにでてくるキャラクターの顔半分が真っ青になってしまうかのように、、、。
ワイヤーが跳ねて、フロントスポイラーが割れたのでした。
このベルファイアのオーナーであるMさんは、社長のお得意さんで、前任の担当営業とM氏のオフィスに一度行ったことがあり、そのときM氏に1度だけ会う機会がありました。
前任の営業担当から「Mさんはやくざだから気をつけたほうがいいよ」と聞いていました。
Mさんはドスのきいた声で話し、恰幅のいい容貌をしていて、まさしく、その筋の人だとおもわせるものがありました。
この事故のことを、社長に報告するのがためらわれ、携帯の発信ボタンを押す指が震えました。
「これこれこういう理由で」とことの顛末を話すと社長は「わかった」とだけいい電話をきりました。
そのあと社長からM氏に連絡をしてもらい、この日はひとまず納車をしてフロントスポイラーが納品したら、後日メカニックが現地で新品と交換する、という手はずをしてくれました。
このヴェルファイアの納車のときから、M氏の舎弟かと思われる人物Fが車両関係の担当をし、私は納車前からその人を通じて連絡のやり取りをしていました。
この人は、ブランド物のジャージが似合いそうな、いかにもちんぴら風のようないでだちで、「またややこしいそうな人が担当者になったものだ」と頭を悩ませました。
納車前に担当者Fに謝りの電話をかけました。
すると、
「おたくの社長から、積車の荷台部分が勝手に跳ね上がってフロントスポイラーにヒビが入ったって聞いたけど、ホンマか?そんなことあるんか?ようわからん話しやなぁ」
といわれ、(えっ社長Mさんにウソをついたのか、オレに話を通してくれないから対応がたじたじになるやん)と内心思いながら、
「は、はぁ」となんともいえない返事をし、そのときはなんとかやりすごしました
納車はこのFが立ち合い、こちらの事情を汲んでくれたのか、特に機嫌が悪いということもなく納車を済ませました。
フロントスポイラー交換後
そして後日フロントスポイラーが納品され、交換する日程の段どりをし、当日メカニックから現地で無事にフロントグリルの交換をしたという報告をうけ、「ああ、このめんどうな一件も終わったぁ」と肩をなでおろしていました。
そう思っていたのもつかの間のこと、またちんぴら風担当者Fからの携帯がなり、いやな予感がしました。
あわてて携帯に出ると、「この前交換してくれたフロントスポイラーやけどな、ボディにコーティングしてあるやろ、それと同じようにコーティングはしてあるんかいな?」といわれました。
「へっ?えっ?」って感じでした。
(これまた、このちんぴらときたら細かい、いたいところをついてくるなぁ)と思い、「確認します」といい電話を切りました。
私はとうぜんメカニックはそんな気のきいたやつはいないと思っていたので、「絶対にボディーコーティングなんかしてないだろうな」と、取り付けをしたメカニックに聞くと案の定でした。
(はぁ、めんどくせー)と思いながら、どうしようかと考えているときに、ちょうど社長と隣のK市にポルシェ・パナメーラの引き取りがあったので、その機会に
「先日Mさんのフロントグリルの交換は済んで、担当のFさんからボディコーティングがしてないんじゃないかといわれたのですが、、、」
と話をもちかけました。
すると社長は急に機嫌を悪くし、担当のメカニックにその場で電話して
「しおんが今こんなこと言ってるんやけどな、いちいちオレのところに話しをもってくるなよ、お前らで解決せい」
と、その電話の内容は私にいいたかったことをメカニックに電話して、間接てきに伝えたかったのだと思います。
このとき「しまったー」と思いました。
社長はふだんからとても忙しく、つまらない用件にはかかわろうとしないのを知っていたのに、失敗でした。
会社に戻ると担当のメカニックからも「社長につまらんこと聞くなよ」といわれ、「どうせオレは空気を読めないやつだからなぁ、以前からも、これからも」と反省は全くしませんでした。
でなければ、めんどくさすぎる社長の顧客の相手なんかは、普段からまわりの人間に気をつかうような人だったら、胃に穴があいてしまいできないでしょう。
これくらいの図太さ加減は必要です。
社長からも以前「お前は大物だな」とホメ言葉かどうか知らないけどいわれたことがあります。
社員のやったミスでかかる費用は全て社員もち
ボディコートも無事終わり、「この件もやっと片づいたー」と肩をなでおろして油断をしていたら、経理からフロントグリルの部品代75,000円の半分、32,500円の請求がきました。
内心「はあっ?」って思いました。
もう半分は、フロントスポイラーにヒビが入った原因である、ワイヤーをつけたメカニックに請求がいっているということでした。
経理の人に「なんで私に請求がくるの?」と聞くと「社長からそうするようにいわれたの」となんともありきたりな返事が返ってきて、
「えっなんで?」と思いました。
私は「ベテランのメカニックに確認して、ワイヤーをつけたほうがいいといわれそのとおりにしたのになんで、オレに請求がくるの?」と不満でした。
それでも社長には文句はいえません。「社員のやったミスでかかる費用は全て社員もち」これがこの会社の恒例のようになっているのです。
ちなみにこの他社メーカーの販売コミッションは、自社メーカーの新車と同じ1台売って1万円。
ベルファイアーの新車は装備品合わせたら500万円くらいするのに、軽自動車の販売手当と同じです。高級車でなにかあったらパーツ代はハンパじゃなく高いのに同じなのです。
他社メーカーの新車は中古車扱いとなり、自社の新車のノルマにはつかないので、社長の顧客を相手にしながら、自分のノルマもこなしていかなくてはならないという、なんともいえない立場の新車ディーラーの営業になっていました。
このときの失敗で得た教訓
積車に載せるときに他人をあてにしたのが失敗のもと。
「次からは誰にも頼らず(とくに社長)自分だけを信じ、自分のことは自分で守る」となにごともより慎重になりました。
チームワークという点では会社的によくありませんが、この新車ディーラーの営業ではみなそれぞれかかえている仕事やノルマでいっぱいいっぱいで、他の営業を手伝うチームワークなんてもんは皆無でしたね。
まとめ
前回の【新車ディーラーの営業】新車ディーラー営業の失敗談・土下座しても許されず、「もう指つめなあかんのとちゃうん?」事件 【失敗エピソード①】と今回紹介した2件の失敗は、たてつづけに起こったので、その時期は精神的にけっこう厳しかったですが、それと引きかえに何ごとにも屈することのない鋼(はがね)の心臓を手にいれました。
仕事で失敗しても、1週間もすれば忘れますし、1年もすると遠い昔話しのようにおもえ、笑い話しにもなります。
新車ディーラーの営業は理不尽なことが多すぎます。でも、これも人生の辛口のスパイスだと思って「マイルドな味ばかりだと飽きちゃうからたまにはイーよねー」くらいの気持ちで割り切ればのりこえられます。
いくら注意していても失敗はつきものなんで、失敗したからと次に失敗を恐れてチャレンジするのを諦めてしまうのが、人生でとてももったいないことなのです。
ながながと私の昔話しをしましたが、このことがいちばん言いたかったのです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回またお会いしましょう。
でわっ!
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