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ペットと保険 #1 ~ペット用保険編~

先日書いたとおり、シッティングの現場にて考えた、「ペットと保険」について書いていこうと思う。

ペット自身が病気のときパターン(#1)と、飼い主が病気のときパターン(#2)に分けてみます。

20歳のわんちゃん見守りシッティング

今年の初夏から夏にかけて、共働き家庭のおうちで飼われている、20歳のおばあちゃん犬のお世話に行くことが何回かありました。

ねむねむなヒメちゃん(飼い主さまの許可を得て掲載しています)

20歳となると、人間でいうところの100歳近く。なのにヒメちゃんは自分で歩いてトイレまで行け、食事もでき、耳もしっかりしている。トイレまで歩いていく途中で、うっかり転んでしまったときなどに、うまく起き上がれず怪我するまでバタバタもがいてしまうことがあるため、長く家に帰ることができない曜日のみ、シッティングという名の見守りに出かけていました。

ほんらい私は猫専門のシッターですので、メインシッターは提携を組んでいるペットシッターさん(NecoNecoの金子さん)にお願いしていました。

私がおうちにお邪魔したのは数回。その中で、飼い主さまが日々考え、老犬が過ごしやすいよう、お世話しやすいように工夫していることについて感心するばかりで。

ふわふわベッドとお気に入りのドキンちゃん

寝返りが長く打てなくても褥瘡(床ずれ)ができないように、あらかじめ寝そうな場所にはふわふわしたものを敷いていたり

パネル

自立歩行はするものの、同じ方向にばかり引っ張られて回転しながら進んでしまうため、危ないほうに転ばないよう室内には誘導パネルを。

トイレに間に合わなかったときは、部分的に洗えるようなマットを敷いて。

取っ手や脚などの家具の出っ張りで眼球をこすらないよう、布を巻いて。

なおかつ、人間が簡単に移動や付け外しなどが出来るものを選んでありました。

角度を簡単に変えられるパネル

寝返りが自分で打てなかったり、体重が重たいワンちゃんの介護のときなどは、空気で膨らますタイプの子供用のビニールプールや赤ちゃんの沐浴プールなどを使う人もいるそうで。それなら褥瘡の予防にもなるし、体位を返しやすいうえ、洗いやすい素材です。

何十年も一緒に暮らした大切な家族ですから、毎日交代で愛情たっぷりにお世話をしていることでしょう。

しかし、やはり暮らすためには仕事にも行かねばなりませんよね。

ヒメちゃんの飼い主さまにご相談いただいたとき、まずお勧めしたのはペットカメラを置くことでした。

↑ 自分が使ってみて、これはよかったな、と思ったものをご紹介しました。画質がとても良いのと、上下左右に首振り、そして時間をさかのぼって録画を見られることがポイントです。

また、「プライベートモード」なるものがあるので、家族の誰かが家にいる状態のとき、外にいる家族から覗かれるのも防ぎます(なんか、生活を見られるのって家族でも嫌じゃない?)

スマホアプリからの呼びかけの時の音声が、無料のアプリのものよりもクリアなのでペットがびっくりしません。笑

介護となると、ほんとうはできるだけ長く場にいてもらいたいでしょうが、シッティングの基本時間は1時間。帰った直後で、だれもいないときに立ち上がってウロウロタイムになるかもしれません。ペットカメラがあれば、ウロウロしはじめたな、倒れて起き上がれなくなっているかも?など把握しやすく、シッターへ緊急連絡をするという選択ができます。

こういったものは、イニシアルコストというか、最初にかかる準備としてだけど、シッター料金は、1時間3500円+交通費。1週間のうちに何度もとなると、けっこうな負担になります。

老犬デイなど、施設として時間単位で預かってくれるサービスももちろんありますが、送迎の時間が必要となり、仕事の合間で利用するにはなかなか大変になります。福岡市内の利用しやすい場所にあるとは限りませんし。

ヒメちゃんは、人間は大好きだけどほかのワンちゃんとはいまいち仲良くしたくないタイプ。家でシッターを呼ぶ、というのがいまのところのベストだと判断したのでしょう。

すやすやと眠るヒメちゃんを撫でながら、もっと飼い主様の負担少なくいろんな介護系サービスが利用ができたらいいのに・・・と思いました。人間と一緒で、どんなに大切な家族でも介護疲れって身心にひどく影響が出ると思うんです。

人間なら介護保険とか、認定があれば補助金などがありますもんね。
ペット保険も多くの会社が出しているけれど、介護に関するものはないのでしょうか?

いろんな保険があるけれど、何を保障?

アニコム損保、アイペット損害保険、SBI、au…ペットの保険も少し前に比べたら、ほんとに比較して選べるくらいたくさん出てきました。

日本ではペットは法律で「物」扱いなので、損害保険会社が中心なのね、、とちょっと悲しくなりますが。ざっとみたところ、通院、入院、手術が主な保障となっています。

ペット保険はそもそも病気やケガに備えた保険のため、「ペットの介護」には使える商品ではありません。話が脱線しますが、意外と免責事項が多く、いざというときに「このパターンだと使えないの?!」となったり、更新ができなくなったりする話をよく耳にします。ペットの保険は重要事項説明書の小さい文字や注意書きなどももれなくチェックしてから入ることをお勧めいたしますよ。。

ペット保険も、近い将来「ペットの介護」までフォローしてくれるような内容に変わっていくと思います。私のシッティング顧客のご家庭と同じく、ペットも大切な家族として考える人が圧倒的多数でしょう。今後は、人の介護問題と同様に、ご家族にも無理ない形で大切なペットの介護ヘルパー、獣医や動物看護士による往診などのサービスを保険利用できるようになってくると考えています。

実は、一部のペット向け保険会社では、そういったサービスを開始していて…

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000040501.html


問題点は東京23区など一部の地域に限定したサービスになってしまっていること。そして提携先のシッターや病院しか使えないこと。(提携先を限定することは、信用度を考えると致し方ないことですが)

…もし今後、利用者を囲い込んだり、提携先として高い登録料が発生したりしてくるようになると、シッター側が考えることとしては、忙しいわりに利益が薄い…やりがいと労力と、生活(収入)を天秤にかける必要性について。結果、シッター業を廃業してしまうという選択もありそうです。

今後の展開で期待したいこと

これって、保育士が必要だけど、給与が低いのでなり手が少ない、結果保育士が増えず預け先がない…という問題とほぼ構図が一緒ですよね。

私はペットシッターという仕事にとてもやりがいと可能性を感じていて、認知度や仕事としての地位向上を図りたいとも思っています。遊びが得意なシッターがいたり、+家事のサービスが選べたり。その中で、老犬老猫専門の見守りお世話型のシッターがいてもいいと思うのです。

そうすることで、シッターの中でも動物看護士の資格を持っているとか、動物病院での勤務経験ありとかの、看護に特化したシッティングサービスを展開できる人が生まれてくるのではと考えています。

これまで問合せの段階でお断りしていた、「皮下点滴をしないといけなくて」「インシュリンの注射が必要で」「圧迫排尿を毎日」というようなご相談。こういったことがお受けできる人材が育つ大切な土壌ではないでしょうか。

本来ならば、そういった状態のペットならば動物病院の中でも往診していただけるところにお願いすればいいのですが、、、とても対応できる病院が少ない。

介護としてのシッター業は確実に需要があるはずなんです。ペットも家族という観点から、もっと利用しやすいサービスとしてのシステム構築と、認知度の向上。シッターがもっと安定した収入の良い仕事として安定していけば、質のいい人材が増えていくことと思われます。

ぜひ、ペット保険の会社はこういったことも踏まえて、ペットの介護×ペット専用ヘルパーやシッター育成について、土壌を開拓していってもらいたいと思います。

今後の市場としてもかなり魅力的な分野のはずです!

困ったときに利用できるサービスが充実していれば、ペットを家族に新しく迎えるハードルも下がり、保護犬・保護猫の譲渡も進むでしょう。そしてペットシッターの収入が増えていけば、多くの現役ペットシッターがそうしているように、売上の中から保護活動費として寄付する額が増えるのです。

なんて良いことづくめ!三方よし!!


さて、#2 は「ペットと保険」のうち、人間のほうの保険について書きます。

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木下夕紀@しおらぼ
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