comico、ついにノベルが消える。クリエイターが安く買いたたかれる現状に言いたい事
ある日、こんなメールがぼくの元に届いた。
comicoという漫画・ノベルサイトからメールだ。
どうやら10月27日にノベルの部門がなくなるらしい。
ちょっと悲しくなったのでこれを書こうと思った。
comico(コミコ)とは
comicoとはWeb漫画を配信しているサービスで、アプリなどで漫画を無料で読めることを売りにしている。NHNの関連会社が運営している。
ぼくも暇を持て余していた大学生の頃によく読んでいた。
中にはアニメ化、メディアミックス化された作品もあり、漫画好きなら一度は聞いたことがあるであろう人気コンテンツだ。
ぼくはよくCMでやっていた「縦読み、タダ読み、コミコ!」みたいなフレーズが印象的だったりする。
そう、縦読みは今では割とどのWeb漫画でもみる形状だけど、当時は画期的というか、「新しいなー」と思っていたのを覚えている。
comicoが縦読みを業界では初めて取り入れたのではないだろうか。
漫画は読者も作者もコマ割りを気にするところだけど、縦読みなので基本的に横幅は揃えてある。スマホユーザーが見やすいように設計した、というところだろう。
ジャンプも遅れてWeb漫画のアプリ、「JUMP+」を出したが、確かに昔の漫画はスマホでは読みにくいと感じた。
もちろん面白さは損なわれないが、読みやすい・読みにくいという点では、小さいコマに多くの文字が入っていたりすると正直読みにくい。
だから余計にcomicoのスマホユーザーに視点を合わせて縦読みさせるというのは面白い試みだと思った。
さてそんなcomicoには「ノベル」部門もあるのだ。
ノベル部門がなくなる
ノベル部門は字の如く「文章」、いわゆる小説だ。軽いポップなものが多かったので、ラノベと言った方が正しいかもしれない。
人気のあるラノベはWeb漫画ほどではないけれどそれなりに読まれていた。
ぼくも人気のあるものをいくつか読んだことがある。
というか、投稿していた。
以前に投稿した短編小説も、実はcomicoにアップしたものだ。
控えめに言っても読物としてよくないものだし(自覚はある)、読者層に完全に外れている作品だったので全く読まれなかった。
でもまあこんな自己満足だけの作品を5点ほど上げていた。比較的簡単にUPすることができるし、何より見も知らぬ人たちにすぐに読まれるという点も個人的には良かった。
そんなこともあって思入れもあった中、「ノベルなくなります」という報告は、ちょっと悲しいなと思った。
仕方のないことでもあるのかなー?
でもノベルがなくなってしまうのは、漫画ほど読まれていないから、商業的には仕方がないのだろう。
当時もマンガは読まれていたけれど、ノベルは読まれている数が少なかった印象がある。
そう、読まれている数は誰でも見れるようになっているのだ。
YouTubeの視聴回数と同じようなものだ。
それもちょっと残酷だなと思わなくもないけれど、やはり読者は人気のものは知りたいし、読まれている物を知りたいと思うし、仕方のないことなのだろう。
でもなー
JUNP+でも、アプリ上で人気があっても打ち切りとなってしまう作品が割とある。
理由は単行本の売り上げが少ないから、らしい。
JUMP+連載の漫画家さんがTwitterでつぶやいていた。
確かに、マンガアプリで読むには無料だし、仕方のない部分でもあるが、個人的にはもっと作家さんを大事にしてあげてほしい。
もっとアプリ内に広告をつけても良いし、無料版とは別にサブスクを導入して、昔の名作を好きなだけ読めるようにしても良いし、アプリ自体の収益を現状の作家さんたちにあげて欲しいと思う。
とはいえ、集英社も社員がいるし、作り手だけでなく編集や広報、営業、人事などといった人たちの給料も賄わなければいけない。賃料しかり、ネット代しかり、交通費やPC代、紙代など必要経費代しかり。また前述したサブスク型で昔の有名な作品を読めるようにしても、著作権の問題でその作者に還元されるだけになりそうだ。
でもやっぱり、クリエイターにもお金を投じてあげてほしいと思うのはわがままだろうか。
クリエイターが安く買い叩かれる時代
現在はクリエイターが安く買いたたかれる時代だと思う。
クラウドワークスやランサーズでも、安い案件が多い気がする。
ぼくはライターなので、文字単価とか記事単価をよく目にするが、1文字1円とかは正直安すぎると思う。
まあもちろん、なんの実績もない人にお金を払うことはできないとは思うが、漫画家は別じゃないのかと思う。
彼らはWebにしろ紙の雑誌にしろ、かなりの狭き門をくぐって掲載という形に漕ぎつけている。
そんななか、Twitterでマンガを掲載して、そちらで収益を得ている人もいる。
お金だけならウェブでよいはずだが、「JUMP」などの大きな雑誌の漫画家志望の人は紙面で連載したいと思って、狭き門をくぐろうと必死に違いない。
そんななか、「JUMP」の看板を背負っている「JUMP+」のマンガ家の打ち切りが、「コミックの売り上げがない」となるのは、どうなのだろうと疑問に思う。
無料だからアプリ内で読む人が多くなってしまうのは仕方がないのだから、他になにか打つべき手がありそうな気がする。
今回はcomicoの「ノベル」がなくなってしまうという話だったが、抱えているノベル作家はどうなるのだろう?
確かに会社の都合で切られてしまう人は、このコロナ禍では多かったと思う。
実際にぼくの会社でも業務委託の方が会社都合で契約が終わった。(もちろんそれも契約内の話であり、契約が切れた後の話だが)
派遣社員の方なども、契約が終わるとともに多くの人が更新されずに終わったと聞く。
もちろんクリエイターも「個人事業主」「フリー」と言えばそうかもしれないけど、わざわざ持ち込んでくれたマンガ家・作家を会社都合で切ってしまうのは、勝手だなぁと思ってしまう。
悲しいな、と一緒に、どこか同情してしまった、そんな一日でした。
もっとクリエイターに良い社会になってほしいと願うばかりです。
―おわり―
コーヒー代を投げてくれると、大変喜ぶ習性があります。