シリーズA前後のスタートアップにおけるリアルな7つの課題

最初に

この記事は、現在スタートアップを経営する中で試行錯誤しているポイントに赤裸々に書いているだけであり、何ら解決の糸口を提供を目的とするものではありませんので、その前提で読んで頂ければ幸いです。

207社の現状

2022年の1月31日を持って5年目に突入した207社ですが、2021年2月5日現在の正社員数は役員含め8人、業務委託の数を合わせると30名の組織です。2021年の10月に5億円のエクイティ・ファイナンスを完了し、事業の急成長を狙っています。

湧き上がっている様々な課題

急成長を狙う裏で、日々多くの課題が出現しています。
2022年2月5日時点では、下記の様なリアルな課題があるので一つ一つ書いていければと思います。

・グローバル化の課題
・行動指針(バリュー)の課題
・採用の課題
・フルリモートの課題
・コーポレート攻めと守りの課題
・会議に忙殺されてしまう課題
・等級・評価制度の課題

グローバル化の課題

207社では「いつでもどこでもモノがトドク世界」というビジョンを掲げています。その為、創業当初からグローバルに挑戦するというのが中長期の目標でもありました。そのグローバルへの挑戦が今、意外な形から始まろうとしています。その背景にあるのが、昨今の採用市場の激戦状況です。
零細スタートアップ企業の207社が採用市場に勝ち切るのは至難の業で、日々悪戦苦闘しています。
そんな激戦の採用合戦を少しでも有利に進めるための一手が、国内の採用市場のみならず、グローバルの採用市場に打って出ることだと考えています。
口で言うのは簡単ですが一方で、僕を含めメンバー全員が英語を流暢に扱えるわけではないので、グローバル化に耐えうる社内カルチャーや教育制度の整備が急務になっています。

行動指針(バリュー)の課題

207社ではSpeed with Quality/BeOpen/3Sという3つの行動指針(バリュー)があるのですが、2020年9月の策定から約1年半の時間が経っており、組織のフェーズも変わってきた為一度アップデートを見直したほうがいいタイミングだと感じていました。

画像3

アップデートを行う最初のプロセスとして、まず現状把握を目的にバリューに対して下記のようなアンケートを実施しました。

・各バリューが浸透していると思いますか?(それぞれに分けて質問)
・そう思ったのは何故ですか?(自由記述)
・一番好きなバリューはなんですか?

アンケート結果で個人的に印象的だったのは、一番好きなバリューがメンバー間できれいに別れていた事でした。これらの結果を元に、これからの成長フェーズに合わせたバリューアップデートを3月中に実施したいと考えています。

画像3

個別のバリューについての課題も出てきました。
3Sというバリューは「Seito(生徒)」「Sensei(先生)」「Scientist(科学者)」の頭文字のSを取ったものなのですが、それぞれ「インプット」「アウトプット」「データドリブン」という意味が込められています。一方で日々の業務に追われ、各メンバーの学習意識やアウトプット量の理想に対してギャップが出てきています。
実はその一つの解決策として、毎週金曜日に有志のメンバーで集まって記事を作成する「もくもく記事づくり会」が立ち上がりました。これにより今後社内・社外向けのアウトプット総量が増え、組織の学習意識が高まることを期待しています。※この記事も「もくもく記事づくり会」きっかけで執筆しています。

BeOpenというバリューは元々「情報の透明性」と「オープンマインド」という2つの側面を大事にすることでメンバーの自律駆動を促す為のバリューでした。
しかし、メンバーが増えてくるにつれて「どこまでの情報を透明化すべきなのか?」/「透明化に対するコストをどこまで許容するべきなのか?」/「個人情報の扱いどうするべきなのか?」等の様々な疑問の声が社内から上がり始めました。
その解決策として、BeOpenの定義というドキュメントを作成し、改めて再定義を行い、下記の方向性を見出しました。

・社内の情報は原則すべてオープンにしていく意思
・クローズドにする情報はクローズドにする理由を公開し予め定義する
・BeOpenカルチャーを醸成するための社内ルールを設定する(※詳細は別記事でご紹介したいと思っています)
・オープンマインドに関わる自己開示情報は発信者個人の裁量に委ねる

採用の課題

2021年10月の資金調達をトリガーにして、採用の強化を意気込んだのは良いものの、蓋を空けると全く新規採用ができない状況が4ヶ月程続いていました。もちろんエージェントさんにご協力いただいたり、多くの媒体で露出させて頂いたのにも関わらずです。
原因は様々あると思うのですが、採用候補者から見た場合に他社の選考と比較して明らかに見劣りする部分がありました。それが「フィッティングタイム制度」の存在です。フィッティングタイム制度についてはこちらにまとめているので詳細は割愛しますが、簡単に言えばフィッティングタイムは時間をかけて候補者と会社のフィットを見極めるという制度になります。メリットとしてはミスマッチが起こりにくくなることですが、デメリットは採用プロセスが長期化してしまう事です。この制度の存在により、他社で候補者が採用決定してしまうという事案が複数件発生してしまってました。
そこで12月からプロダクトチームの採用プロセスにおいてはフィッティングタイムを1ヶ月▶︎2日に縮める意思決定を行いました。その結果、数名の採用オファー内諾を頂く事ができました。

フルリモートの課題

207は「いつでもどこでもモノがトドク世界」というビジョンを掲げている為、そのビジョンに共感したメンバー自身が時間や場所に縛られず働ける環境を整備するという目的で2021年の10月から正式にフルリモートにベットしていくという意思決定を行いました。
一方で207はリアルな現場をオペレートする必要のある事業「スキマ便」が存在しているため、スキマ便チームのコミュニケーションがオフラインで完結してしまい、スキマ便の情報がオンラインに上がりにくい事を潜在的な問題として認識しています。
逆にすべてフルリモートで行える事業であれば解決する課題なのですが、これにはまだ解決の糸口が見えずにいます。
また毎週木曜日の夜に目黒の一軒家に集まって鍋を食べながら話していた「鍋会」というカルチャーも順次オンラインに切り替える取り組みを進めています。オフラインの熱量の担保や密度の高いコミュニケーションを元にした心理的安全性の担保をオンライン環境でどう作っていくかが今後のポイントになると思っています。

コーポレート攻めと守りの課題

207では2021年末からワークフローや勤怠の導入を徐々に開始しました。この取り組みは一般的な会社が行っている事であり、会社が次のフェーズに向かう為にやるべき事としてスタートしました。
一方で現場では「ワークフローが煩雑で今までより非効率...」「柔軟な働き方が出来ないので現場が回らないかも...」などの声が上がり始めました。
この問題の発生は「経営の意思」の言語化が出来てない事による問題と、組織のOSであるコーポレートに対して適切な投資を怠ったことに起因すると考えてます。
コーポレートカルチャーや働きやすさを追い求める攻めのコーポレートの側面と、コーポレート・ガバナンスに基づく守りのコーポレートの側面のバランスを取りながら舵取りできるメンバーにマネジメントをお願いする予定です。

会議に忙殺されてしまう課題

これは多くの方が悩むポイントかも知れませんが、僕自身会議に忙殺されてしまっており、長期的な視点で事業や組織を考える時間を十分に取れてないと感じています。
下記の図は、1月のMTG予定を分析して何に時間を使ったかを可視化したものです。

画像1

この原因は適切に権限移譲出来ていない部分にあると考えています。しっかり優秀なメンバーに役割と責任を渡し、中長期で会社が進むべき方向性について思考する部分に時間を使っていきたいと思っています。

等級・評価制度の課題

207社では等級に対する給与テーブルとメンバーの該当等級をこちらに公開しています。公開している目的は「納得感を醸成する為」なのですが、逆に納得感が醸成されづらい状況になりつつあると感じています。
その理由は、下記の様ないくつかの要因があると思います。

・経営陣の定性評価がメインになっており定量的に出すことは出来ない(当たり前ですが)
・等級に対する給与レンジが狭い為、給与額がおおよそわかってしまう。
・207の給与水準が採用市場で圧倒的に高いわけではない。

全ては社内の納得感を醸成し、採用市場でも勝ち切る為に既存の等級制度や給与レンジを見直しを図る予定です。

最後に

実はこの記事を書いている間の2日間でも迅速に対応すべき大きめの課題2点(SOに関する整備・既存事業のミッション刷新)が新しくでてきました。
そんな207社ですが、引き続きこの課題を含めた様々な課題が転がっています。一緒に課題解決しながら事業や組織を作るメンバーを募集しています。もし少しでも興味が湧いた方はぜひ一度お話させて頂けると嬉しいです🙌


いいなと思ったら応援しよう!