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機械材料が苦手な機械屋の鉄との付き合い方

割引あり

 この記事は先日書いた記事を描くのに思い出したことを改めて自分なりにまとめ直すために書く記事です。書き方として、僕のこれまでの機械屋としての経歴の中で特に苦労した金属材料、その中でも大多数を占める鉄との付き合い方についてまとめました。多分世の中の多くの人にはなんの役にも立たない豆知識的な記事になろうかと思いますが、一方で、機械学科なのに機械材料がさっぱりわからなかった、なのに就職したらみんな普通に分けのわからん鉄の話をしててマジで困るみたいな人の助けになればと思います。
 ちなみに機械学科出て機械屋やってて金属材料さっぱり知らないっていう人はほとんどいないのではないかとも思いますので、機械関係ない人にもとっつきにくい書き方をできればなと思います。
 これはある意味で20年近く前の自分に宛てた手紙のようなもので、当時の僕と同じような境遇に居る人の助けになれば幸いです。


設計初心者にとっての鉄の種類

機械材料から逃げてきたお前に贈る言葉

 よくわかんないけど、材料の科目を適当にやり過ごして機械学科を卒業して重工企業に就職したお前に俺が今から材料のことをちょっとだけ教えてやる。 ちなみに俺は材料のことは全然わからない 、しかし、 材料ここだけ抑えとけばなんとか社内で生き延びれるギリギリの知識はある 。お前もそれを目指して今から俺がいうことを暗記しろ。

 まず、 重工企業、物づくり企業で材料のことがわからないやつに人権はねえ 。お前らが作る「モノ」だとか、「物」は材料からできている。材料のことがわからないで「物づくり」はできない。だから材料わからねえやつに人権はねえ。 人権を手に入れるために付け焼き刃の知識を仕入れろ

機械屋にとっての材料

 お前、機械材料の本かって一度も開かないで古本屋に売ったな?
 だからお前みたいな材料をなめてるオタンコナスに俺が教えてやる。
  重工企業で扱う材料の殆どは鉄 だ。その残りが銅だったり、アルミだったり、ニッケル合金だったりする。これらの材料は非鉄金属って言われるぞ。
 つまり、 金属材料っていうのは鉄とそれ以外にわけられるくらいに鉄の重要度が高い 。 

工場の中でタヒなない程度の鉄について知らないといけないこと

 材料が大嫌いなお前にまず世間には金属材料とそれ以外、金属材料の中でも、鉄とそれ以外にわけられることを教えたな。
 それだけじゃ当然不足だ。
 まずお前が工場で働き始めて最初に出会うのは誰か?
 お前の上司だな。
 お前の上司も工学部の機械学科を卒業してるはずだ。だから、上司も多分材料のことは知ってるはずで、お前も材料のことを知ってると期待している。そのときにお前ができないといけないことは何だ?

上司のいうことに適当な相槌を打つことだ 

  相槌を打つために何が必要かっていうと、最低限の鉄の種類を知らないといけないから、超親切な俺様がお前のためにまとめてやるので、今すぐ暗記しろ。

  • 構造用の炭素鋼

    • SS400:

      • めっちゃよく使う。基本のうちの基本。世の中の鉄の2割くらいこいつじゃないかくらいよく見る鉄。

      • 引張強さ400N/mm2なのでこの名前になった。ちなみにこの引張強さ400N/mm2だからSS400ってのは語呂合わせで覚えやすいから出したんじゃないぞ。この数字は実際に会話の中で出てくるから絶対忘れんな。

    • S25C:

      • SS400とほぼ同じ機械的性質をもつけど、加工都合でこれを使う。

      • 以下の会話はよくあるので、必ず頭の中に叩き込んどけ。

        • 調達のやつ:「この材料SS400指定してるけど、加工屋さんがS25Cにしてって言われたけどそれでいい?」

        • 間違った回答:「え、ちょっと検討します(S25Cの性質はちょっと調べないとわからないから、調べてから回答しよう)。」

        • 正しい回答:「え、いいっすよ。費用的に問題ないならS25Cで。」

        • 上の「誤った回答」については後で説明してやるが、「誤った回答」をすると場合によっては干されるから要注意だ。俺が上司なら干す。

    • S45C:

      • S25Cより強度高い。S25CやSS400より強度が必要そうな部品に使う。やたらとS45Cを指定すると調達にブチ切れられるから、重要な構造部品に使うようにしとけ。

  • クロモリ系の合金鋼

    • ここからさきはS45Cでも手に負えないような高い強度を要求される部品に使うやつで、構造材に使うと調達にドン詰めされるから要注意だ。小さいけど、強度が必要な部品に使うぞ。

      • SCM:鉄にCrとMoを添加して、粘りを出した材料。S45Cの次に使うイメージ。SCM415とか、SCM435とか、色んなのがある。

      • SNCM:鉄にCr、Mo、Niを添加したやつ。SCMの次に使う。SNCM415とか、色んなのがある。

  • 工具鋼 (鉄を削る刃物に使う滅茶硬いやつ)

    • SKD:ダイス鋼。SNCMの次に使う。

    • SKH:ハイス鋼。SKDの次に使う。これで駄目なら大体の場合何やっても駄目。

    • SK:昔使ってたらしい規格の材料。あんま使わない。

  • ステンレス鋼

    • SUS:鉄を錆びにくくするために鉄に多めにCrを添加した合金鋼。色んな系統のやつがあるけど、オーステナイト系のSUS303とか、SUS304とか、SUS316とかがよく使われる。ステンレスは沼。

  • 配管用材料

    • SGP:ガス管っていわれるよく使われる配管用材料。低圧配管全部これ。パイプ作るならとりあえずSGP使っとけ。

    • STPG:ちょっと圧力が高い配管に使う。

    • STS:圧力が高い配管に使う。油圧で圧力が高いやつで使う。

    • STKM:STSで手に負えないときに使う。

  • 鋳鉄

    • FCとかFCDとかある。鋳鉄も沼。僕には手に負えなかったので、プロに相談して使ってた。摺動性が問題になるところで使ってた。今の時点でお前に鋳鉄を使う度量はないから知らないことにしておけ。困ったらプロに任せろ。

 お前、このリスト見て覚えること多いなって思ったな?
 実のところこんなもんじゃ全然足りないぞ。上のリストを覚えてお前が相手にできるのは現場のおじさんと、調達のペーペーと、ガチで気を抜いてるときのお前の上司と雑談するときだけだ。
 この他にももっと覚えることはたくさんあるし、上の説明にも不足がたくさんある。しかし、俺がこれからちゃんと説明してやるから安心しろ。

機械材料ビギナーに送る材料選定の方法

 お前、設計に配属されたな?
 設計に配属されたから図面を描かないといけないが、材料を決めるのはお前だ。だからお前はこれまでサボりまくってきた機械材料を一から学び直して材料を選ばないといけない。しかしながら、クソ難しくて、やたらとつまんない機械材料の本を僻地工場から車で一時間のブッコクまで買いに行ったとて、お前にそれを読みながら材料を選定する時間もなければ、よしんば本を読んでもその能力は身につかない。

 何故か?
 お前が買った大学の授業で受けたような格調高い鉄と炭素の二元系の材料の理論はこれからお前がやる泥臭い材料選定作業の理論的支柱にはなってもノウハウ本には決してならない からだ。
 それだけ材料の科学は奥が深いってことをお前の足りない脳みそによく刷り込んどけ。
 ただし、俺様は大変優しいからお前が明日僻地工場のCAD描くパソコンの前で困んないようにアンチョコを作っといてやる。

  • とりあえず材料欄には何も考えないでSS400って書いとけ 。まずはそれが出発点であり、お前みたいな使えねえボンクラに大事な図面を書かすことはないので、お前が描くのはくだらない、つまらない、ブロックかブラケットだ。そんなもんとりあえずSSで作っとけ。

  • その次に何の図面を描くか思い浮かべてみろ。対象によってやり方は変わるぞ。

    • 摺動面もないし、温度条件も厳しくないし、用途が何かを上に乗せるようなものだったり、中に油や空気を通すようなやつで、極端に圧力が高くないやつ。なんか条件が多いなって思ったな?世の中の図面の殆どはこっちだ。そしてその場合は迷わずSS400かS25Cだ。

    • ちょっと形状が複雑で、大きな荷重がかかりそうなやつはS45Cを使っとけ。これはひとつ上で挙げたみたいな図面よりちょっと難易度が高いやつだ。 摺動条件が厳しくなければS45Cでもなんとかなるけど、お前みたいなビギナーに摺動面がある図面を書かせる上司はゴミだからすぐに逃げろ

    • ちなみに体感的にS45Cくらいまでは溶接ができるぞ。それより上の合金鋼とか鋳鉄は色んな事情で溶接はできない。なんでかの説明は省くが、 合金鋼を溶接したいとか、鋳鉄を溶接したいっていうとお前が退職するまで笑いものにされるから絶対やめとけ

    • これまでやってきたようなただの構造材、つまり何かの荷重を支えるようなものはS45Cまででなんとかできたな?いよいよお前は次は摺動面があるような部品をやることになるぞ。その場合は部材の応力の他に、材料の硬度について考えないといけない。なんとなくだけど、硬度が高いと摺動性が良いので、とりあえずSCM435って書いとけ。そうすると調達が、熱処理は?って聞いてくるから、そのときは図面に「窒化」か「高周波焼入れ」って書いとけ。

      • 窒化:

        • 窒素雰囲気の中で鉄を高温にして、鉄の材料の表面に窒素と鉄の化合物を作ることで鉄の表面の硬度を上げる。昔は浸炭っていうのも使ったけど、浸炭は変形が大きいので最近はあまり使わない。

        • 窒化は角形状に強い、というか、オーブンの中でやるからオーブンに収まる部品に使うぞ。

      • 高周波焼入れ

        • コイルの中に軸物を通して、コイルに電流を流して、オーブンにして焼入れをする。コイル作らないといけないので、イニシャルコストが掛かり、コイル誰が保管する問題が発生するぞ。

    • S45C使っても部品がぶっ壊れた?SCM435って書いとけ。それでも壊れたらSNCMにしとけ。

    • ここまで来た頃にはもうお前は俺の教えが必要じゃないかもしれないが、先取りするかもしれないから先に言っておく。強度の面でSCMやSNCMで駄目だったときはSKDつかっとけ。それで駄目ならSKHを使っとけ。ただ、工具鋼で元々デカイものにおいそれと使えないから事前にどのくらいの大きさまで作れるか調達に聞いとけよ。 それでも駄目ならお前の設計が根本的に間違ってるから上司に相談しろ

    • ここまでが一般的な機械設計者の半分くらいが到達するところだ。これからはプロたちと存分に力を発揮して仕事をしてくれ!!あと材料の機械的性質と、化学的性質くらいはちゃんと調べろよ!!

材料初心者に送る材料の性質

 お前はこれまで材料って言えば大体鉄だってこれまで学んだな?
 だから材料の機械的性質とか、化学的性質っていったら大体鉄の機械的性質とか、化学的性質のことだ。これからざっくりそれらの性質を教えてやるから目をかっぽじって読めよ!!

材料の機械的性質

 材料の機械的性質っていうと大体は強度だ。以上、終わり。
 と言いたいところだが、お前が機械をやってて見込みがあると、回転体や、高温材料のこともやらされるようになる。そのときにプロと会話できるようになるようにもうちょっと踏み込んだことを説明してやる。
 機械的性質は大体、

  • 強度

  • 耐蝕性

  • 摺動性

だ。これらのうち、強度と耐蝕性はある程度定量的な評価ができるからちゃんと抑えとけよ。

  • 強度:

    • 強度は何かっていうと、固体材料がどこまでバネのような性質を持つかだ。その限界を鉄の場合は 降伏値引張強さ っていう指標で表しているぞ。どっちか覚えればいいってわけじゃないが、どっちかっていうと引張強さのほうが大事だ。

    • 念の為、材料のことが何もわからないお前に行っといてやると、強度は材料にかかる応力で評価してるぞ。単位はPaで、大体GPaのオーダーだけど、慣習的にN/mm2で表現するぞ。N/mm2とMPaは同じだ。ちなみに 日本だと材料系の応力はN/mm2で書かないと、あ、この人こういう書き方するのねみたいな反応になるから注意しろ

    • 降伏値:

      • バネはフックの法則に従う。高校のときに物理が超苦手だったお前でも習うはずだ。知らないなら理系やめろ。高校の物理だとバネが無限に伸びてもいいような雰囲気を出してたが、実際にはバネは無限に伸ばすことはできなくて、どこかでぶっちぎれるな?

      • そのバネっぽい振る舞い、つまり、 f = kx から外れるような振る舞いを始めるときの応力が降伏値だ。 ミスターマリックのスプーン曲げで、スプーンがグニャッしてし始めるときの応力だって覚えておけ

    • 引張強さ:

      • 降伏値をすぎてもミスターマリックはスプーンを曲げ続けるな?つまり、まだそのときスプーンはブッちぎれてない。スプーンがブッちぎれるときの応力が引張強さだ。

      • 実際にこの引張強さは降伏値より高いぞ。材力の教科書に乗ってるからよく見直しておけ。

  • 耐蝕性:

    • 耐蝕性っていうと、化学物質、つまり、酸に対する強さもあるが、大体の場合は熱にどれだけ強いかだ。鉄は温度を上げるととろけるな?とろけると強度が下がるな?そのとろける温度を変態点っていうぞ。大体。いや、違うけど、だいたいそう覚えとけ。

    • 大体の基準になる温度が650度とかだ。

    • 溶解温度は1400度とかだ。

    • 例外があるから高温で使うときは事前によく調べろよ。

 ざっくり書いたが、お前に大変参考になるホームページを教えておいてやる。感謝の念を忘れずに使えよ。

 まず、このサイトを開いて見るんだ。大量の材料についての記事があるな。

 その次にSS400のページを探してみろ。ビビる程ちゃんとした説明が書いてあるぞ。このうちわかる範囲のものをとりあえず読んで見るんだ。話はまずそれからだ。

 あ、あと ちゃんと強度計算しろよ

化学的性質

 俺は化学が超苦手だ。だから化学はよくわからない。とりあえず鉄の化学的性質っていうのは、材料に含まれてる鉄と、それ以外の元素の成分のことをいってるって思っとけ。

 それだけだと何いってるかわからないな?
 何言ってるかわからないっていうか、鉄になんか混ざってて嬉しかったり、困ったりするのって思ってるな?
 発酵と腐敗って知ってるか?発酵も腐敗も食い物を微生物が分解するプロセスのことを言ってるけど、人間に都合のいいものを発酵、都合の悪いものを腐敗っていうな?
 それと同じで、材料に含まれる鉄以外の成分で、 材料の性質を引き出すために人為的に添加するものを添加物 っていって、 材料の性質を劣化させるのでなるべく減らしたいものを不純物 っていうぞ。

 鉄は工業製品だ。
 だからコストがめっちゃ大事だ。
 不純物はないほうがいいが、全部なくすにはコストがめちゃくちゃかかるから材料の性質を損なわない程度にしないといけないな。あるいは、不純物がいくら入っててもいいよっていうとボロボロの鉄ができてしまうから、材料の化学的性質を定めることで品質を担保してるんだ。間違っても不純物多いっすねとかいうんじゃねえぞ?
 あと、ミルシート来たらちゃんと規格にマッチしてるか見とけよ?

 俺は超親切だから代表的な添加物と不純物を教えといてやる。

  • 添加物:

    • Cr:鉄の中で硬い結晶を作って強度を上げるけど、上がりすぎて脆性が上がるときもあるから要注意だ。

    • Mo:粘り気が出るぞ。靭性が上がるって思っとけ。

    • Ni:たしか固くなるはず。あんま自信ない。

    • Al:焼きがめっちゃ入る。窒化する材料に使うぞ。窒化するときは大体SACMを使う。

  • 不純物:

    • P、S。大体XX%以下って書いてるやつは不純物だ。

鉄の作り方入門と値段

有名な製鉄所

 鉄は製鉄所でつくるぞ。これはお前みたいな世間知らずのバカにもすらあきらかなことだ。ただし、鉄の作り方により鉄鋼メーカーも分類されてるぞ。 そしてお前が想像する鉄鋼メーカーは高炉を持つメーカで、高炉っていうのはためにニュースで見るような巨大な煙突みたいなやつだ。現在日本には、下記の3つの会社があるぞ。しかし、高炉を持たない製鉄書もたくさんあるけど、とりあえず高炉メーカー抑えとけ。

  • 日本製鉄

    • 日本の近代製鉄の起源になった官製八幡製鉄所に起源をもち、八幡製鉄所が日本製鐵になり、財閥解体により八幡製鉄と富士製鉄にバラされた後再度くっついて新日鉄になり、住金 (住友金属) とくっついて、新日鉄住金になり、その後日新製鋼とくっついて、日本製鉄になった。

    • 新しい日本製鉄の「鉄」は「鐵」じゃなくて「鉄」これ大事。

    • 主な製鉄所

      • 新日鉄系:北九州の戸畑と八幡、姫路にある広畑、名古屋、千葉の君津、釜石、室蘭

      • 住金系:鹿島、和歌山、大分

```mermaid
flowchart LR
  官営製鉄所 --> 八幡製鐵所 --> 日本製鐵
  日本製鐵 --> 富士製鉄
  日本製鐵 --> 八幡製鐵
  富士製鉄 --> 新日鉄
  八幡製鐵 --> 新日鉄
  住友金属工業 --> 新日鉄住金
  新日鉄 --> 新日鉄住金
  日新製鋼 --> 日鉄製鉄
  新日鉄住金 --> 日鉄製鉄
```
  • JFE

    • 川崎製鉄と日本鋼管 (NKK) がくっついてできた。NKKはよく官邸を作っていた。NKKの造船部門はJMUにくっついた。

    • 主な製鉄所:川崎、千葉、水島、福山、津

  • 神戸製鋼

    • 高くて質のいい鉄を使うときはここ。

    • 主な製鉄所:加古川

 この他に電気炉メーカーとか、特殊鋼メーカーとかありるけど、特徴的なものとして、特殊鋼メーカーがあり、これはクロモリ合金とか、ステンレスとか。代表的なもの、というか、僕が知ってるのは以下の3社。

  • 大同特殊鋼:名古屋の特殊鋼メーカー。旧大同グループ。

  • 日立金属 (プロテリア):日本にいまだ残るたたら製鉄をやっている日本唯一の会社。たたら場は安来工場にあるらしい。

  • 山陽特殊鋼:あんまお付き合いなかったのでよくわからない。

鉄の産地

 鉄の原料は鉄鉱石、と小学校のときに習ったかもしれません。実際に鉄鉱石から鉄を作るわけですが、その他にも実は鉄のスクラップから作る方法もあります。
 ただ、大体の場合はオーストラリアとかブラジルとか南アフリカで取れる鉄鉱石を原料として使います。

 また、鉄鉱石とは酸化鉄であるので、これを還元するためにコークスを使います。日本の製鉄所は鉄鉱石もコークスもまとめてオーストラリアから輸入するケースが多いようです。

 このように鉄はほとんどの材料を外国から仕入れてきます。
 それを運ぶのは、鉄が重く、値段が安く、大量に流通するという性質上船で運ばれてきます。そのため、日本製鉄などは自社の子会社に海運会社を持っていたりします。

鉄の値段

 鉄はめっちゃ便利だな。
 ただ、便利な性質を持ってたとしても工業的にペイしないことには広く使われない。例えば、チタンなどは軽くて強度が高い素晴らしい材料だけど、加工性があまりよくないことと、市場に出回る量が少なく、単価が高いのでそれほど広くは使ってないことはよくわかってるな。

 じゃあ、鉄は一体どのくらいの値段なのか?
 経験的にはずっと、SS400はキロ100円、つまり、 1kgのSS400は100円で買える というようなことがいわれてきた。
 例えば、こちらは東京製綱の価格表で、これはざっくりいうとSS400は大体104円で1キロ買えるというようなことが書いてありそうそう外れてない。価格表の重量の単位は、ちなみに1トンあたりの価格だぞ。

https://www.tokyosteel.co.jp/assets/docs/salesprice/kenzai.pdf

 さて、これらからわかることは、 鉄はキログラム単価で見るとSS400という材料なら大体いろはすウォーターの半分くらいの値段で買えそうだな。
 この安さは実際にかなりありがたく、銅は キロ1000円くらい、つまり、鉄の10倍くらいの値段がするぞ 。

まとめ

 とりあえず重工メーカーに入って困ってるお前に、覚えておかないといけない鉄の種類と、抑えとかないといけない鉄の性質をまとめたぞ。製鉄所の話は小話くらいに読んでくれ。あと、値段は、SS400はキロ100円 。これ覚えて帰ろうな。

 これで面倒な材料の話は終わったと思ったか?
 まだまだ続くぞ。これでもまだごく一部だ。あと、面白いと思った人はいいねしたり、課金してくれると嬉しいぞ。

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