仕事紹介|BLEの専門性を活かし、位置認証精度の高度化と製品化に取り組む|ハードウェアマネージャー
こんにちは。Sinumy広報担当の福島です。
当社は、「シームレスな体験で世界を幸せにする」をミッションに、独自の特許技術「Sinumy Technology」の開発を行っています。
こちらのコーナーでは、Sinumy 社員の仕事内容をご紹介します。今回はハードウェアマネージャーの佐藤さんです。2023年12月に入社してからこれまでの1年間の仕事内容や、2024年3月に出展したIT・DX展示会「第33回Japan IT Week 春」での取り組みについてお話を伺いました。ぜひ、お読みください。
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無線通信の専門家としてSinumyに入社
福島:本日はハードウェアマネージャーとしてのお仕事を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
佐藤:よろしくお願いします。
福島:はじめに佐藤さんのご専門を教えてください。
佐藤:大学時代は応用物理を専攻し、物理学の原理を実社会の課題に応用することに取り組みました。卒業後は大企業に勤め、電波と呼ばれる無線通信を専門にしてきました。中でも直近の5年ほどは、BLE(Bluetooth Low Energy)が中心です。
福島:佐藤さんは2023年の12月に入社されて、Sinumyでのご経験は約1年になります。これまでどのようなお仕事を担当してこられましたか。
佐藤:1年の中でも仕事は変化しており、大きくは3つのフェーズに分かれます。はじめはJapan IT Weekに向けたプロダクトの制作、次に研究開発で位置認証精度の高度化の研究に取り組み、現在は製品開発でPoCなど製品化に向けた準備をしています。
福島:この3つのフェーズでのそれぞれの仕事内容はずいぶん違うものですか。変化のスピードも速いですね。
佐藤:それぞれのフェーズでやることも目的も異なってきます。大企業にいた頃と比べると、テンポが速いと感じています。
入社後すぐ、ハンズフリーゲートのプロトタイプ制作に携わる
福島:まず、Japan IT Weekについて伺いたいと思います。Japan IT Weekはハンズフリーゲートのプロトタイプを初めてお披露目した展示会であり、Sinumyにとっても大きな転換点となりました。佐藤さんは、展示会の目玉ともいえるハンズフリーゲートの制作に携わられたのですね。
佐藤:入社したのが12月中旬でしたので、実際にゲートの制作に携わるようになったのは年明けからです。その段階では、展示会に出すプロトタイプの筐体と基盤がすでにできている状態でした。
私が主に担当したのは、ゲートのLED表示と音声の実装、位置認証精度の向上です。また、研究開発時に配線が散乱していたゲートの外観を、展示会への出展に向けてすっきりと整備・改善しました。
ゲートのLED表示は、ゲートを通過する際に認証が成功すると緑色、失敗すると赤色に光るものです。外部の協力会社さんや業務委託のメンバーと一緒に、LEDを設置して光らせる作業や、LEDのソースコードの実装に取り組みました。
位置認証精度に関しては、基礎はできていたものの、実際にゲートに適用できるかは未知数の状態でした。それを私の方で引き継いで、アルゴリズムの設計やアンテナ周りの検討・評価を行い、Japan IT Weekで展示できるレベルの位置認証精度の確立に取り組みました。
福島:苦労した点はありますか。
佐藤:私は電波を専門として、電波による位置認証も扱っていましたが、LED表示については初めての経験だったので、学びながら業務に取り組みました。ハンズフリーゲートの動作のために使用しているデバイスの中には触ったことがないものもあったので、まずはそれらを理解するところからスタートしました。
福島:短期間でどのようにして乗り越えられたのですか。
佐藤:自分の基盤を広げていくイメージで取り組みました。アンテナ設計や回路基盤の設計は経験があったので、まずは回路基盤をベースにLEDを光らせるという新しい領域を理解するように努めました。
福島:短期間で成果を出さなければならず、大変でいらしたと思いますが、その甲斐あって展示会は大成功でしたね。400名以上の方にハンズフリーゲートを体感していただけました。
佐藤:LEDや音といったUXに関わる部分を担当しつつ、位置認証精度を高めることにも取り組んでいたので、大変な面もありました。ですが、展示会ではお客様の反応も良かったですし、皆さまに「こうやって動くんだ」というのを実際に見ていただけたことが、達成感につながりました。
位置認証精度の高度化に取り組む
福島:では次に、位置認証精度の高度化の研究についても教えていただけますか。
佐藤:Japan IT Week自体はうまくいったのですが、同時に位置認証精度の改善点も見えてきました。展示会が終わってからは、商品化に向けて位置認証精度の更なる向上に取り組み始めました。
福島:具体的にはどのようなことをされたのですか。
佐藤:位置認証精度の改善は、ハードウェアとソフトウェアの両面から取り組みました。ハードウェアはBLEを通信するためのモジュールから電波を送受信するためのアンテナの制御が肝になります。ここを中心に担当しました。小型で高い性能を必要とするので、技術的に難しい部分でもありました。
ソフトウェアは受信データをどのように解析し、位置精度の結果を導き出すかという計算やプログラムへの落とし込みが課題でした。ここはソフトウェアエンジニアと一緒に取り組んだところです。
福島:数ヶ月の間の取り組みで、改善は進みましたか。
佐藤:そうですね。一気にというわけにはいきませんが、徐々に改善していきました。目標とする精度までの道筋は見えたかなと思います。
研究開発での知見を製品化に活かす
福島:現在は製品開発のフェーズに移られているわけですね。どのようなことをされているのですか。
佐藤:製品開発に移ったのは、2024年の9月〜10月頃です。直近では、年明けにスタートするPoCに向けた準備をしているところです。研究開発はPoCの前段階の技術を成立させるまでを担当し、PoCから製品化までは製品開発が担当します。
そのため、研究開発が担当しているプロダクトをPoCの段階からは製品開発が引き継ぐ予定になっており、円滑な情報の引き継ぎや、製品化に向けた性能保証、検証、お客様に向けたカスタマイズを想定し、その辺りの技術の確立に取り組んでいるところです。
福島:2つ目のフェーズでは、位置測定精度の高度化の研究に取り組まれていたわけですが、研究開発から製品開発に役割がシフトして、今度はその技術的な知見をより最終のアウトプットに近い製品化の部分で生かされるというわけですね。
佐藤:はい。そうですね。
目に見えるアウトプットがある面白さ
福島:Sinumyで働く面白さを教えていただけますか。
佐藤:まだ世の中にないものを出せるという点が最も魅力を感じるところです。
福島:その点は全社員に共通していますね。ハードウェアエンジニアとしてはいかがですか。
佐藤: ハードウェアの面白さは、目に見えるアウトプットがあることだと思っています。Japan IT Weekでもゲートを目の前でたくさんの方に体験していただいて、たくさんのフィードバックを得ることができ、大きなやりがいを感じました。
福島:フィードバックを得られることもやりがいにつながるのですね。
佐藤:世の中に商品を出して、たくさんの方に使っていただくことを目指しています。そのためにフィードバックはとても重要です。
福島:お話を伺っていると、佐藤さんは商品化の部分に強いモチベーションを持っていらっしゃいますね。これからのPoCがとても楽しみですね。
創意工夫しながら生み出すことに、つくる喜びを感じる
福島:佐藤さんは転職の際に、スタートアップに絞っていたのですか。
佐藤:大企業では何年も同じ研究に取り組むので、来年も同じ研究を続けていることが予想できます。そこで、環境を変えて新しいことに挑戦したいと思って転職を決めました。どうせなら大きく環境を変えようと思い、転職先はスタートアップに絞っていました。
福島:大企業とスタートアップで働くことの違いを感じていますか。
佐藤:大きく変わったのは組織の規模とスピード、リソースの違いです。組織の規模に関しては、大企業の場合は開発チームにたくさんの人がいるので、それぞれが専門分野に取り組みます。それに対してスタートアップの場合は、数人で1つのプロダクトに取り組まないといけないため、専門性に加えて「のりしろ」が必要になると思っています。私の場合、無線専門で入社しましたが、システムやソフトウェアの知識も必要になるので学んでいます。
福島:どのようにして新しい分野を学ばれているのですか。
佐藤:書籍やWebで学ぶこともありますし、専門が異なるメンバーから学んだり、Google共有ドライブやNotionに過去のデータの蓄積があるのでそこから学習することもあります。幅を広げることを楽しんでいます。
福島:それからスピードの違いですね。
佐藤:スタートアップでは開発期間が短く、展開が速い印象です。大企業なら1年かけるところをスタートアップなら3ヶ月や半年で進めるといった感じです。
福島:最後のリソースの違いとはどういうことですか。
佐藤:スタートアップでは、限られたリソースの中で創意工夫しながら生み出していく必要があります。例えば、BLEで使用する電波の測定方法を検討したことがあります。今あるツールを活用しながら理論の裏付けを行う工夫をしました。
福島:工夫して生み出したものが成功した時には、嬉しさを感じますか。
佐藤:はい。大企業ではある意味「出来上がったプロセス」をユーザーとして使う立場だったのですが、スタートアップでは自分たちで創意工夫して形にしていくので、つくる喜びを感じています。
めげずに頑張れる、バイタリティのある人が向いている
福島:佐藤さんのこれからの目標を教えてください。
佐藤:PoCを実施して、製品化していくことが大きな目標です。
福島:Sinumyではハードウェア関連のポジションを募集しています(2025年1月現在)。最後に、これからSinumyで働くことを希望する方に向けて、メッセージをお願いします。
佐藤:現在募集中のハードウェアのポジションは、本日お話したフェーズ1と2が近いのかなと思います。全く新しいことに取り組むので、難しいこともたくさんあると思いますが、めげずに頑張れる、バイタリティのある人が向いていると思います。
福島:本日はありがとうございました。佐藤さんの向上心の高さと製品化に対するこだわりが伝わってきました。
佐藤:こちらこそ、ありがとうございました。