U-フレットを使っていて思う諸問題──コードフォームについて──
1.「 コード名とフォームの不一致」パターン
例えば、上の図のコード譜にある「Amaj9」というやつ。実際このフォームの通りに押弦して鳴らすと、A9になってしまう。Amaj9にしたかったら、ただのセブンスの音になっている音を、もう一つ上の音、メジャーセブンスにしよう。
具体的にいえば、図の1弦をもう一つ高い音にすれば一応解決する。とはいえ、この修正したフォームは、個人的には使わない。多分2つ要因があって、それは、① 6弦のミュートが難しい(中指で触れておくのか、親指でなのか、絶妙に悩ましい)こと、②開放弦を使ったフォームなので他のポジションで応用が利かない割に押さえづらさもある(5弦ルートのB♭7系の垂直移動みたいなものではあるが)ことだと考えられる。
私は、Amaj9という文字列が出てきたら、もっと簡単なコレ↓に頭の中で置き換えるようにしている。
これはめっちゃ簡単。留意しておくべきなのは、(omit3)という謎の文字がくっついている通り、3度の音が省略されているということである。まあ、ナインスコード(あと、その他テンションコード)に関しては、むしろ積極的に3度や5度は省略する方針の方が、コード弾きとしては理に適っているのではないだろうか。
逆に、ナインスコード等は無視して単純化するという方略も、私は時々やる(私は基本的にソロプレイヤーなので、自分が納得できればよい)。Amaj9が面倒だったら、ただのAmaj7でも強い違和感を覚えることはないだろう。変な音を入れてるわけではなく、省略しているだけなので。
一応おさえておくと、Amaj9というのは、Amaj7に9度がプラスされた和音。
A9は、A7と9度の和音。
5つの音階がなるナインスコードでは(律儀に5つ鳴らすかはともかく)、半音一つ分の違いだが結構印象が変わる違いなので、この誤表記の取り違えはギター練習者にはかなり迷惑なはず。
私はギターに触れて6年くらい経っていて、U-フレットとも同じくらいの付き合いですが、こういう事実をちゃんと把握、理解したのは3年前くらいな気がします。みんながみんな、U-フレットのこういう変なカルチャー(根付いているものという意味で)を理解したうえで使いこなしているということなのか?はたまた、こういう些細な気持ち悪さが誰かしらのギター挫折のトリガーになっているのかもしれませんね。
あと、同じスクリーンショットの、「Dmaj9」も図に倣って押弦すると、ただの「D9」。修正としては、ただのセブンスの音になっている3弦の音をもう一つ高い音にする案が浮かぶだろう。しかし、それは実際やってみると、無理がありすぎる。難しい。
私がいつもDmaj9を押さえるときのフォームはコレ↓である。
5度省略パターンである。基本的なコードのレパートリーにはない類いの指使いにはなるものの、これは良い。なぜかというと、「開放弦に頼らない系コード」(もっと良い言い回しあったりしますか?)だからである。ということは、応用が利く。私の場合、B♭maj9からFmaj9あたりまではたいがいこのフォームだ。
最近、このフォームを贔屓する要因が増えた。
同じ指の位置を維持したまま垂直移動すると、9thコード系になる。これもやはり応用が利く。5,6弦のミュートは簡単。若干脱線だが、ギターのレギュラーチューニングで、3弦と2弦の間隔だけが半音4つなのが利いている例だなあと思う。
Dmaj9について話を戻すと…
もっと簡単なのがこれ。3度省略パターンである。
個人的に、最近までDmaj9がこのフォームでイケることに気づかなかったのは、U-フレットではコレが「A/D」という分数コードの名前でしか出てこないからだ。そういう1対1的な刷り込み学習でコードを学んだ弊害だ。
比較して分かるように、おそらくDmaj9(omit3) とA/Dは同じということで良いだろう。とはいえ、分数コードは分数コードで、分子側(?)のルート音を残して別のルート音をかぶせるのが正統なのか、交換するのが正統なのか、個人的によく分かっていない(ルート音を変えると、この場合その構成音が消えてしまうけどアリなのかな?みたいな)。
そういう問題にぶち当たると、たいてい弾きやすいようフォームにしようとだけ考えてしまう…。そのうえ分数コードとテンションコードの対応関係やらとなると、今の私にはよくわからない部分が多い…。誰かに音楽について教えてもらったことがなく、これからもなさそうなので(あと調べんのもダルいので)、あと10年くらいは同じことを考えているかもしれない。
ところで、なんでこんな大胆な誤表記が起こっているのか、やはり気になるのだが、ここで妙なことに気づいた。
上のスクショを見ての通り、U-フレットではAmaj9とA9はそもそも全く同じフォームとして表示されるのである。というか、AからG♯まで12のパターンで同じ現象が起きている。(画像は面倒なのでアレだが、確認してみるといい)。どぉなっちゃってんだよ。
(最近ハマってる)
2. 「そのフォーム難しすぎるだろ」パターン
こっちの方がギター初学者を萎えさせている原因として強いかもしれない。
まずは軽いジャブ程度だが、ビートルズの「Let It Be」に「F6」とかいうコードが出てくる。
この曲はキーがC(ド)で、カノン進行で、ということで初心者向けみたいなツラしているけれども、このF6というコードがすごく邪魔で難しい。
今となっては、弾けなくはないが(というか他のルート音のシックスコードでよく使う)、ケチをつけるとすると、解放弦となっている4弦は、構成音としては2弦と同じものなので「×」マークでも構わないという点である。2弦を消すのも構わないけれども、それだとミュートが逆に難しく、弾いた実感としては、1,4弦ミュートが手によく馴染む。
以上は、ちょっと慣れるまで辛いだけで、どちらかというと便利なコードだったが、慣れが通じる気がしないヤツもある。
U-フレット的「F9」の正解はコレらしい。本当?みんなそうやって弾いてる?私がコレに出くわしたとき、素直に従うことはない気がする。対策としては、①上記の4弦2フレットをルートにしたF9、②5弦8フレットをルートにしたF9、③F7で妥協するなどを実際にやっている。ナインスのフォームのバリエーション、手札が寂しい状態で苦慮してもコードチェンジの移動であたふたするので、妥協案③も現実的。個人的には、余裕があれば②をよくやっている。①は最近ときどき試して開発途上という感じだ。
あと、「〇m6」で出てくるコレ↓。
頑張れば押さえれるけど、咄嗟には無理。私の場合、この4弦は押さえずに、5弦を押さえる薬指の腹でミュートしている。1弦をちゃんと鳴らせば構成音の不足もない。
3. 「それ原曲ぽくない」パターン
これは、Mr.Childrenの「DISCOVERY」で思ったヤツ。
「はちゃめちゃに複雑そう!」ってなる見た目だが、実際の演奏でバッキングギターがやっているのは、ほぼほぼGのパワーコードで完全5度の音を半音ずつ下げていっているというだけのことなのだ。本当はすごい単純で簡単。これに関しては、機械的なコード譜の表示の限界ということかもしれない。この指示通りにやっても「変な音」である。
上の図にある「G7sus4」から連想して、Mr.Childrenの「NOT FOUND」にも思うところがある。
この「E7sus4」というのは、普通に流れで弾いても違和感はないのだが、実際の演奏を見ると「こっちじゃね?」ってのが出てくる。
「Q」のツアー当時のサポートメンバー河口修二のアコギのバッキングを見てみよう。このスクショは、その上の図の、サビの「微笑みを」の部分である。指1本のセーハだけで押さえているように見える。これが正統なのではないだろうか。この押さえ方の場合は、「E7sus4」という表記でも多分間違いではないが、「Bm7/E」の方が、少なくとも私にはしっくりくる(だいぶテキトー言ってるかも)。
また、こちらのチャンネルの解説でも、同様のことを言っている(2capoでの解説なので、「Am7onD」と表記されているが、つまりは「Bm7onE」で、実質同じ)。
ちなみに、このようなことに気づいたのは、Mr.ChildrenのMステでの演奏(アテブリだけど)の動画だったのだけれども、今は削除されていて見れない。
終わりに
U-フレットについて、「これイマイチだなあ…」と思う点をいくつかピックアップしてみた。まだあるけど。それでも、利便性の点でU-フレットは使い続けるだろうし、何より無料だから好き。ありがとう。
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