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6/2 ヴェルヴェッツとソニックユース

6/3の夜中にふと日記のことを思い出したのですが、昨日何をしていたのか全然思い出せません。というか言語化するのが億劫です。最近ロクに文章を書くことだったり、誰かとまともに会話することをしていないので、この日記で発散というか練習というか…しているつもりです。でも面倒くさいです。暑いです。昨日は暑かったです。私にとってはそれに尽きます。密度のない毎日を使い潰しているな、とうっすら自覚はしています。

仕方ないのでまた音楽について話します。Apple Musicには「はじめての〇〇」という、あるアーティストの代表曲、入門用曲を集めたプレイリストが編集されておすすめ欄に出てくることがあります。大抵の有名アーティストに作成されているのですが、私はたまたま昨日「はじめてのヴェルヴェット・アンダーグラウンド」を流していました。25曲入りで1時間55分です。そこで個人的に思うことなのですが、The Velvet Undergroundの例に限らず、こういう類のプレイリストは「はじめて」のリスナー向けにしては食べきれない量ではないでしょうか。The Velvet Undergroundというアーティストの場合は、活動期間も短くオリジナルアルバムは4枚しかないので、もはやその4枚を全部聴いてしまった方がコスパ(?)がいいのではないのでしょうか。

なんだか偉そうに物申して批判的になってしまったので、「はじめての〇〇」プレイリストが真に役立つときというのも考えてみました。それはやはり、単純にそのアーティストのディスコグラフィーが膨大である時だと思います。

例として、ここ一年ほど私が愛好しているSonic Youth(1981〜2011)という海外のロックバンドには珍しく活動休止もなくメンバーチェンジもほぼなく(メインの4人中3人は不動で、ドラマーも1985年の交代からは固定、あとはサポートメンバーが存在する期間があるのみ)30年も活動したバンドがいるのですが、彼らのディスコグラフィーは1982年の初めてのEP「Sonic Youth」に始まり、オリジナルアルバムとしては2009年の「The Eternal」に終わります。その間にはスタジオアルバムだけで15枚を発表しており、その他ライブアルバムやシングルのEP、バンドが自主レーベルで発表している「SYRシリーズ」も含めると、このバンドの作品を網羅するのはかなり大変です。

また、決定的に代表的なアルバムがありません。評論筋目線で見ると代表曲「Teenage Riot」で始まる「Daydream Nation」(1988)が傑作だと相場が決まっている風潮はありますが、その一つ前に遡って「Sister」(1987)の人気もあるようですし、実際の人気で言うとメジャー移籍後の初アルバム「Goo」(1990)は外せないですし、売上枚数で考えると、その次の「Dirty」(1992)も候補にあがるでしょう(実際にApple MusicにおいてSonic Youthの「必聴アルバム」としてあげられているのはこの4作です)。

よって、「はじめてのソニックユース」、かなり役立つと思われます。

しかし、実際に今それを見返すと一つだけ気がかり、というか笑えるところがありました。一曲目が「The Diamond Sea」という19分にわたる大作なのです。Sonic YouthといえばNirvanaなどのグランジに呼応していた時期がもっとも売れていたバンドなので、2分台の曲でも人気曲があるだけに、この謎采配が笑えます。是非ともシャッフルしましょう。

「The Diamond Sea」と言う曲は「Washing Machine」(1995)というアルバムの最終曲であり、5分台に編集されたバージョンでシングル曲としても発表されています(せめてこっちをプレイリスト入りすればいいのに)。以下ではアルバムバージョンについて少し語りたいと思います。

この曲はSonic Youthにしてはかなりしっとりして落ち着いた音像から始まり、メロディーもテンポもしっかり歌モノです。そもそもこのアルバム自体が歪んだギター一辺倒で塗りつぶしたグランジ的な以前のSonic Youthのイメージとは若干離れた曲が多いです。しっとりとして落ち着いたサウンドで始まり、途中にノイズ地獄のような音が挿入される、あるいはそこで終わるというパターンが印象的です(顕著な例:「Becuz」「Unwind」)。

この「The Diamond Sea」に至っては、残り10分のパートで段々と陶酔的な音から完全に狂って暴れたギターが支配する模様が収められています。個人的に18分25秒あたりのギターが「洗濯機」を感じる音で一番ツボです。私はこの大作を聴き終えるたびに、まさに「ダイアモンドの海」だと安直に感動してしまうのですが、皆さんはどう感じるのでしょうか。是非とも体験していただきたいです。

ノイズによる洪水的なサウンド繋がりで、先述のThe Velvet Undergroundの「Heroin」も想起されます。 こちらは1967年の曲というのがいつも驚くところなのですが、オルタナの始祖と捉えられるバンドなので、ニューヨーク・パンクのシーンの系譜に連なるソニックユースにも影響があるのでしょう。この2曲は自意識や深層心理について歌ったような歌詞にも共通点があるように思います(英語があまり得意ではないので確信はありませんが)。どちらもノイズギター自体が心の狂った模様を表現しているように思えて魅惑的なのです。

以上、Sonic Youthの「The Diamond Sea」とThe Velvet Undergroundの「Heroin」、オルタナティヴロック好き、珍味好き、自己陶酔型で気持ち悪い人に特におすすめの2曲についてでした。

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