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なぜ「人の不幸は蜜の味」なのか

こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingo(しんしん)です。
皆さんは「人の不幸は蜜の味」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、他の人が失敗したり困ったりしているのを見て、なぜかホッとしたり、うれしくなったりする気持ちを表しています。私たちは普段意識していなくても、こうした感情を抱くことがあります。

この感情は、日本だけでなく世界中で見られるものであり、心理学や社会学の観点からも説明が可能です。たとえば、他人の不幸を目にすると「自分はまだマシだ」と思うことで安心感を得たり、ライバルが失敗すると優越感を感じることがあります。また、テレビやインターネットでは、有名人のスキャンダルが頻繁に報道され、それに対する反応もまた「人の不幸は蜜の味」の一例と言えるでしょう。

しかし、この感情が強くなると、人間関係が悪化したり、社会全体の雰囲気が悪くなる可能性もあります。今回の記事では、なぜ人は他人の不幸を気にするのか、その理由について分かりやすく説明するとともに、この感情とどのように向き合うべきかを考えていきます。

1. 他の人と比べる気持ち

人は、自分と他の人を比べることで、自分の立場を確認することが多いです。たとえば、同じクラスの友達がテストで悪い点を取ると、「自分はまだマシだな」と思うことがあるでしょう。

これは「社会比較理論」という心理学の考え方に基づいています。人は、他の人と比べて自分の状況を知ろうとするのです。他の人の失敗を見ると、「自分の方がうまくいっている」と感じることができ、安心するのです。

また、職場や学校の環境によっては、競争が激しくなることで他人の失敗に対する意識が強まることがあります。特に、成績や評価が数値化される場面では、相手のミスが自分にとって有利に働くため、「蜜の味」と感じやすくなるのです。

2. 脳が感じる「快感」

人の脳には「報酬系」と呼ばれる部分があり、楽しいことがあると快感を感じます。他の人が失敗したとき、この報酬系が働いて「ラッキー!」という気持ちになることがあります。

たとえば、ライバルが試合で負けると、自分が勝ったわけではなくても、なんとなくうれしく感じることがあります。これは、脳が「自分にとって都合のいい出来事」として受け取るからです。

研究によると、こうした感情は進化的にも説明がつきます。原始時代、人間は限られた資源を奪い合う生活をしていたため、他人の失敗は自分の生存率を上げる要因になりえました。この本能が、現代でも潜在的に働いているのです。

3. テレビやネットの影響

テレビやインターネットでは、芸能人や有名人のスキャンダルがよく話題になります。多くの人が「そんなニュースを知りたい!」と思うのは、他人の失敗を見ることで、自分が少し気持ちよくなれるからです。

たとえば、「すごく成功している人が失敗する」と、それまで抱いていた「うらやましい」という気持ちが和らぎます。「あの人も普通の人間なんだな」と思うことで、安心するのです。

また、SNSの普及により、一般の人も他人の失敗や炎上をすぐに目にすることができます。匿名性があることで、より一層「他人の不幸を楽しむ」傾向が強まることがあります。これにより、社会全体のネガティブな空気が広がることも懸念されています。

4. 文化の影響

日本には「出る杭は打たれる」という言葉があります。つまり、目立ちすぎる人は周りから批判されやすいということです。成功しすぎている人を見ると、「ちょっとぐらい失敗すればいいのに」と思うことがあるのです。

しかし、これは日本だけの話ではありません。世界には「シャーデンフロイデ(Schadenfreude)」というドイツ語があり、「他人の不幸を楽しむ気持ち」を意味します。つまり、世界中の人が同じような気持ちを持つことがあるのです。

歴史を見ても、成功者が没落する様子が多くの人にとって興味深い話題となることがあります。権力者のスキャンダルや有名人の転落がメディアに取り上げられるのは、人間のこうした心理を反映しているのかもしれません。

5. 「人の不幸は蜜の味」から抜け出すには?

では、どうすれば他人の不幸を楽しむ気持ちを抑えることができるのでしょうか?

1. 相手の気持ちを考える

誰かが失敗したとき、「自分が同じ立場だったら?」と考えてみましょう。そうすることで、相手の気持ちが分かり、ただ楽しむのではなく、助けたいと思うかもしれません。

2. 自分の成長に集中する

他の人と比べるのではなく、「昨日の自分より成長できたか?」を考えることが大切です。そうすることで、他人の失敗に気を取られず、自分のことに集中できるようになります。

3. メディアの影響を減らす

テレビやネットニュースでネガティブな話題ばかり見ていると、無意識のうちに他人の不幸を楽しむ癖がついてしまいます。できるだけ、ポジティブなニュースや学びになる内容を見るようにしましょう。

また、他人の成功を喜ぶことができるような環境を作ることも大切です。ポジティブな人間関係を築くことで、「人の不幸は蜜の味」という感情から解放されるでしょう。

まとめ

「人の不幸は蜜の味」という気持ちは、誰もが持つものです。しかし、その気持ちに振り回されるのではなく、意識的にコントロールすることが大切です。他人の気持ちを考えたり、自分の成長に集中することで、もっと良い人間関係を作ることができます。

他人の不幸を楽しむのではなく、その経験から学び、より良い社会を築くための教訓とする視点を持つことも重要です。たとえば、他人の失敗から自分がどのように成長できるかを考えたり、支援が必要な人に手を差し伸べることで、より深い人間関係が生まれるかもしれません。

また、ポジティブな感情を育む努力をすることも大切です。たとえば、他人の成功を素直に喜ぶ習慣をつけたり、成功した人の努力や過程に目を向けることで、自分自身の向上心を刺激することができます。そうした意識を持つことで、より健全で前向きな社会を目指していきましょう。
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