慕情の夜明け~月を仰ぐ~
宵闇の独りの時は
色濃く私を浮き立たせる。
私以外、そこにはいないから
誤魔化しが効かなくなるんだ。
生々しい感覚と感情が
満月のように露になっていく。
まるで翳りの中で、燈心のヒカリが
ひっそりと際立っていくように。
どこか儚げな昼の月よりも
陰気に満ちた鈍色の月は
私の感覚を研ぎ澄ましていく。
忍ばせていた思いが溢れ出て
泪の雫が、双眸の中で
ゆらゆらと揺れ動いている。
私は矢も楯もたまらず
憂いを焦がしながら、ただ、咽び泣く。
哀愁滲ませた思慕を、胸間で感じながら
ひそやかに目を閉じるの。
今宵も・・・
貴方への慕情で
夜が明けていくんだ。
片糸の苦みのなかで・・・・