浮 舟 ~二人の邂逅が果たされる時~
もしも・・
貴方との邂逅が叶わぬのであれば
私は朧気な哀しみを秘めながら
漂い続けるのだろう。
箏と笛が互いに音色を重ね合わせるように
情愛は、片割れと分かち合おうとする。
どんなに漆黒の帳がおりようとも。
天の川が二人を隔てて、引き裂こうとしても。
心肝に染みる侘しさを慰みながら
どれほど忍び、耐え抜いてきたのだろう。
人の想いの熾火は
どんな水も打ち消せない。
この思慕がただ・・・廉潔の愛となり
貴方への余波が凪になるのを
私は待っているの。
きっとその刹那
鵲の橋は、二人の心に架かるのだろう。
其処には、きっと
円熟した愛が、ただ・・・あるの。
取り繕うこともなければ
依存の海に溺れることもない。
すべてのノイズは、消え去るのだろう。
何もかもが移ろいでゆく無常の中で
この世界のすべてを甘受した
二人の中にあるのは、愛のみなんだ。
誰だって、どんな時も・・・・
其処に辿り着く為に泳ぎ続けてきたのでしょう?