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【 落語の雑則 49】 届く声でささやく

ささやき声で
「ねえねえ、こんなことあったんだよ」と耳打ちするような話
それを多くのお客さんに届ける芸

言葉の機微は小声だから出るもの
ささやきはあくまで小声
大声では伝わらないばかりか耳を塞がれてしまう

お客さんに伝わる大声で言葉の機微を表現するのは難しい

だからマイクかな

いやいや
近頃の演劇のように
耳から伸びる細い棒に頼る演技では
気持ちが伝わりにくいように
マイク頼りの落語もまた伝わらない

いや、たとえマイクを通した声であったとしても
マイクなしで伝わるだろうと思われる芸だからこそ伝わるのだろう

自分の周り1m、いや、30cmの芸ではアップで切り取った動画ですら芸の小ささが露呈する

演劇はもっとだろうが、少なくとも芸が10mは届いて落語と言えるのではないか

10m先にささやくように話す芸

そんな落語を追求したい


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しんりょう
落語を考える事は限りなく深い森の姿を探求する旅のようなものです。森の中にいる私には、森の外から見ての意見で、見えないものが見えてくると思います。そして、一人より二人、二人より三人と、誰かと一緒に考えて行きたいです。スキ、コメント、サポート、みんな大歓迎です。よろしくお願いします。