【 落語の雑則 53】 笑い声を丁寧に拾う
お客は笑い声で応える
笑い声に反応する事は
お客と落語することに他ならない
ではどのように
お客の笑い声に応えるのか
それは間で応えるだけでいい
話を壊してまで応えることは
ケレンに走ることになってしまう
ケレンがよくないのではなく
話が途切れてしまうことが
落語としてどうなのか
笑い声と間の呼応関係
それは
落語の理想形かもしれない
動画配信は落語を聴く新しい形である
しかし
それはもはや落語では無い
それは冷凍した野菜の味
それはそれで美味しいのだけれど
やはり冷凍した物は
冷凍した物の味なのである。
そこに笑い声と間との呼応関係は無い
冷凍野菜なら
見ているだけで
味わえない状態である
もちろんお客は
そうやって
味わっている事を
想像して楽しむのもいいだろう
けれど
落語家は
それでは
腕は磨かれない
笑い声は
例えれば
ブランコの様なもの
はじめは小さな揺れも
ささやかな間の力で
押し続ければ
いつしか
爆笑と喝采の落ちとなる
そんな落語を追究したい
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落語を考える事は限りなく深い森の姿を探求する旅のようなものです。森の中にいる私には、森の外から見ての意見で、見えないものが見えてくると思います。そして、一人より二人、二人より三人と、誰かと一緒に考えて行きたいです。スキ、コメント、サポート、みんな大歓迎です。よろしくお願いします。