見出し画像

【 落語の雑則 50】 吸わない

口で吸うと音が出る
いや
それも味わいとも言えるが
音が出ている間は
話は途切れる
それも味わいとも言えるが
途切れ途切れの話はだれる
さすがに
それは味わいではないだろう

途切れない話
連続感のある話

音が切れない
実際は切れているのだが
音が連続しているように聞こえる

そのために
敢えて音を出して
口で吸う人もいる
けれど
それは反則技
古のプロレスだって
最初から栓抜きで
殴っていたらどうだろう

吸う音を立てないためには
どうすればいいか

今の私の答えは
吸わないことだと思っている
いや
言い換えれば
吸おうとしないこと
吸う意識を持たないこと

しゃべれるだけしゃべって
次の言葉に繋げば
その間に
開いた口と鼻から
空気は瞬時に入る

しゃべることに
集中して
息を吸うなんて忘れてしまう

志ん朝さんの長台詞
どこで息を吸っているんだろうと
不思議だった
それが吸っていないからだという事に
気が付くまでにずいぶんかかった

吸わないことで途切れさせない
吸わないことで雑音を立てない

流れる言葉に興味尽きない心地よさ

そんな落語を追求したい


いいなと思ったら応援しよう!

しんりょう
落語を考える事は限りなく深い森の姿を探求する旅のようなものです。森の中にいる私には、森の外から見ての意見で、見えないものが見えてくると思います。そして、一人より二人、二人より三人と、誰かと一緒に考えて行きたいです。スキ、コメント、サポート、みんな大歓迎です。よろしくお願いします。