しの

小説家になりたい文学好きです。小説作品の分析などを綴っていきます。 ・短い分析は読書メーターでやってます。 https://bookmeter.com/users/783787

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最近の記事

最近したこと

Huluに入ってコナンくんの映画見た今年初めからくらいから言うて見ないなあと思って動画サブスクを中断していたのですが、またHuluに入りました。Huluは多分二年ぶりくらいで、記憶より大分使いやすくなってて感動した。出演キャスト一覧から出演作絞り込めるし、倍速も充実してるし、作品説明もちゃんとしてるし(Netflixの作品紹介のなげやりさは一体なんなのか)。それとご飯のときはもっぱらTver見てるので、月曜から夜ふかしなどのバラエティ番組のバックナンバーが見れるのも地味にうれ

    • Deco*27 「ヴァンパイア」の歌詞解釈~初音ミクが歌う愛

      最近Deco*27さんの『ヴァンパイア』がYoutubeを中心にバズっているのをご存じだろうか。自分も御多分に漏れず、色んな方の歌ってみたを聴いてみたりして楽しんでいる。 (元歌はコチラ) キャッチーなメロディと裏腹に、掴めそうで掴めない歌詞が好きだな~~とヘビロテしているうちに、自分なりではあるが、詞の解釈が二つ浮かんできたので、今回はそれを書いてみたい。 とりあえず歌詞全文: あたしヴァンパイア いいの?吸っちゃっていいの? 「もう無理もう無理」なんて 悪い子だね

      • 第51回文藝賞受賞『死にたくなったら電話して』李龍徳 感想

           テーマは暗いし筋も陰惨なのに、何か楽しいし引き込まれる。関西弁だからだろう。宮本輝っぽさを感じた。大阪特有の地名の面白さ(十三、しょんべん通り、etc)や漫才を基本としたような会話のせいか、雰囲気はからっとしている。時折の展開の荒さや文体のくずれも、関西弁乱れ・おかしみと噛み合っていて演出として成立している。  三浪してバイト暮らしを送る二一歳の浪人生徳山は、職場で誘われたキャバクラで一番の美女・初美から熱烈なアプローチを受ける。そのしつこさ、変人さに戸惑いつつ、徳

        • 本谷有希子「How to burden the girl」~オタクと美少女の現代民話

           最近大塚英志の『サブカルチャー文学論』を読んでいた。大塚氏は大学時代民俗学を専攻し、自身の著作や批評にも民俗学的切り口が多く見られる。非常に納得させられるものがあり、氏の論考はかなり好きだ。  私見では本谷有希子氏もまた民俗学的――民話・おとぎ話的要素を多く自作に用い、成功している作家だと感じている。それどころか、彼女は真の現代版民話を書ける数少ない作家であると思っている。先日読んだ『嵐のピクニック』収録の「How to burden the girl」という短編について書

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        • Deco*27 「ヴァンパイア」の歌詞解釈~初音ミクが歌う愛

        • 第51回文藝賞受賞『死にたくなったら電話して』李龍徳 感想

        • 本谷有希子「How to burden the girl」~オタクと美少女の現代民話

          諸記

          今年からはツイッターのような流れて消えてしまうものじゃなく、ちゃんと固定的なものにコミットしたいなと考えている。差異がどこにあるかというのは明確でないが、主観的には ①「むなしさ」が減る ➁定数量のまとまった思考がのこるので、自分の歴呈みたいなもの(ざっくりいえばライフログ)が把握・管理しやすくなる という効果はあると思う。本や映画の感想一つとっても、ツイッターに残した感想はアクセスしにくいし、断片的すぎて当時の感情や意見を思い出せないことが多い。記事にして残したものは、読み

          橘玲『(日本人)』の所感と岡本太郎『沖縄文化論—忘れられた日本人』との相関

          *自分のはてなブログ『にしのひがしの』内記事、『(日本人)』橘玲(http://hlowr4.hatenablog.com/entry/2020/04/22/034353)を改稿したものです。  本書は、生物学、歴史学、人類文化学、経済学、倫理学(平和・正義)、思想哲学(民主主義、グローバリズム)、宗教学などを綜合して、本来の日本的人間像や欧・米圏との相違性を探る。章ごとで一冊本が書けるくらいの内容を披瀝するので密度が濃く読むのにカロリーが要る。 「本来の日本人像」といわれ

          橘玲『(日本人)』の所感と岡本太郎『沖縄文化論—忘れられた日本人』との相関

          いま並行して読んでる本について覚え書き

          久しぶりに健常な時間におきた。頭の整理のために、並行して読んでる作品と現段階の所感をまとめて置いておこうと思う。 ​・『ポルシェ太郎 前編』羽田圭介(新潮2019年秋号)  一通り読んでから作者名を見た。名前は知ってたけど読んだのは初めてかもしれない。前編しか読めてないが、面白かった。面白かったと言うのも通り一遍な感想だが、まず「面白いかどうか」は最も大事なことだ。 都内のイベント会社の若手社長・大照太郎が主役の、今のところ極めて俗っぽい(?)小説。去年から始めた事業が上

          いま並行して読んでる本について覚え書き

          第156回芥川賞受賞作『しんせかい』山下澄人 感想

          ++あらすじ++19歳のスミトは間違えて配達された新聞で見つけた俳優脚本家の養成所に通うため北海道の奥地に赴く。その動機は希薄であり、芯から俳優や脚本家への夢を抱いているわけでもなく、講師の名前も知らないまま入学に至っている。そこは入学授業料がかからない代わり農作業や馬の世話、小屋の建築なども自分たちで行うことになっており、スミトは他の二期生と過酷な共同生活を送る。その間に地元の女友達の天は結婚し妊娠する。二年期間のうち一学年上の一期生が卒業していくまでが描かれる。 +

          第156回芥川賞受賞作『しんせかい』山下澄人 感想

          全ての凡人への寿ぎ〜橋本治 「にしん」(『生きる歓び(角川文庫)』収録)感想

          ​ 大仰なタイトルになってしまったが、それほど中身が重い感想ではないです。そもそも元の話も短編だしね。市井の一作家志望者による、ごく短い小説分析となります。よろしくお願いします。​ いい話だな。上京して叔父が経営する「取り柄のない街の取り柄のないソバ屋」の出前をする浪人生の話。浪人生というか、高校卒業して進路が決まっていないというか。 叔父と父の話の成り行きから円月庵のバイトを決め、一年は同じ高校の上京進学組と遊ぶのだけれど、次第に「自分の居場所を安定させて」女の話ばかり

          全ての凡人への寿ぎ〜橋本治 「にしん」(『生きる歓び(角川文庫)』収録)感想

          『笹の舟で海を渡る』 角田光代 感想

          終戦から10年、主人公・左織(さおり)は22歳の時、銀座で女に声をかけられる。風美子(ふみこ)と名乗る女は、左織と疎開先が一緒だったという。風美子は、あの時皆でいじめた女の子?「仕返し」のために現れたのか。欲しいものは何でも手に入れるという風美子はやがて左織の「家族」となり、その存在が左織の日常をおびやかし始める。うしろめたい記憶に縛られたまま手に入れた「幸福な人生」の結末は――。激動の戦後を生き抜いた女たちの〈人生の真実〉に迫る角田文学の最新長編。あの時代を生きたすべての日

          『笹の舟で海を渡る』 角田光代 感想