電通発表「2020年 日本の広告費」を簡単にレビューする
2021年2月25日、株式会社電通が国内の総広告費・媒体別/業種別広告費を推定した「2020年 日本の広告費」を発表。この発表は年に1度行われており、広告代理店を筆頭に広告業全体が注目している。上場する広告会社やマーケティング企業などはこのデータをもとに市場環境の説明する場合もある。本レビューをするのは、マーケティング事業を営む支援会社の経理畑にいる私、東雲資です。
1.要点
電通が自社サイトで発表した概略を確認する。2020年がどのような年であったか、この概略からもうかがえる。2020年はいまだ猛威を振るうCOVID-19とそれに伴うデジタル移行の波、この2点で表すことができる。
この調査レポートから私なりに概略に肉付け・言い換えをしてみた。
2020年の国内総広告費は前年の▲11.2%となり、9年来のマイナス成長に。
・2020年は6兆1594億円で、2019年6兆9381億円から7787億円減少
・成長率は17.47ポイント減少と大幅下降(11年以降年平均1.95%成長)
マイナス成長最大の要因は新型コロナウイルス拡大にあり
・イベント・展示・映像をはじめとするプロモーションメディア広告費が最も影響を受け、前年比▲24.6%。
・紙媒体(POP・折り込みなど)も減少したものの、デジタルサイネージへの転用応用の兆しあり
今後の回復の一端を担うのは、前年比124.2%成長の物流系ECプラットフォーム広告費と運用型広告
・巣ごもり需要によるECサービスの増加と利用増に伴うもの。
・インターネット広告媒体費1兆7567億円(前年比105.6%)のうち、運用型広告費は1兆4558億円(前年比109.7%)
2.各業種広告費の10か年推移(データ)
※参考
①電通(2012)『2011年(平成 23 年)日本の広告費』内11項、業種別広告費(マスコミ四媒体)
②電通(2015)『2014 年(平成 26 年)日本の広告費』内11項、業種別広告費(マスコミ四媒体、衛星メディア以外)
③電通(2018)『2017 年(平成 29 年)日本の広告費』内11項、業種別広告費(マスコミ四媒体、衛星メディア以外)
④電通(2021)『2020年 日本の広告費』内12項、業種別広告費(マスコミ四媒体、衛星メディア以外)
消費者向け商材のマーケティング支援事業が主たる事業の会社にいるゆえに、食品・飲料や化粧品などの業種の広告費にまず注目した。何より、こうした消費者向け商材は日常生活におけるCMやインターネット上での広告で大変よく見聞きするため、見ておくに越したことはないとも考えた。
見方:
西暦 広告費(千万円)前年比 広告費増減額 ポイント
業種:化粧品/トイレタリー
2018年 26,279 96.3% ▲1,012 プラス1.68pt
2019年 24,029 91.4% ▲2,250 マイナス4.85pt
2020年 21,384 89.0% ▲2,645 マイナス2.45pt
業種:食品
2018年 25,449 91.7% ▲2,295 マイナス7.32pt
2019年 25,505 100.2% 56 プラス8.49pt
2020年 22,406 87.8% ▲3,099 マイナス12.37pt
業種:飲料/嗜好品
2018 17,453 94.4% ▲1,044 マイナス6.42pt
2019 16,771 96.1% ▲ 682 プラス1.74pt
2020 15,735 93.8% ▲1,036 マイナス2.27pt
こうしてみると、食べ物飲み物系の広告費は意外や意外にも減少傾向にあると判明した。広告費のパイ自体は縮小しているといえる。そして、ジェンダーレスコスメや高価格帯の化粧品など登場するここ数年の潮流があるにも関わらず化粧品・トイレタリーの広告費も減少傾向にあった。
百億単位での拡大・縮小が広告業界全体にどのように影響するかは計り知れないが、各企業におけるシェア争奪戦への影響は中長期で一定あるものと予想する。ここでのシェア争奪は、3つの業種に該当する各社の売上高ベースではなく広告費ベースで考える。3つの業種の広告費の使途は、ある程度枠として固定化されてきているのではないかと仮説を導出する。固定された枠内で広告をミックスし、限界効用を得ようとするスタンスに変化しているのではないだろうか。
単なる考察だけでなく、何か分析とかをしようと思ったが、その前に3か年だけではどうもデータとしては乏しいと感じ、10か年のデータを集めた。以下、過去に電通が発表した日本の広告費シリーズのデータを1枚にまとめてみた。何かに使いたくなった方がいらっしゃいましたら、自由に使ってください。
データの取り扱い方が稚拙なので、ここはご容赦いただければと思います。追って、改善は図っていきます。
上記のようなデータが入っています。
3.追記
考察と分析をしようとしましたが、働きすぎたので後日またこのnoteに追記をします。
*電通メディアイノベーションラボ 研究主幹 北原 利行さんの解説記事*