いろいろ十色
ずっとずっと黒髪だった私は、年の瀬に髪の毛を染めた。
初めてのブリーチは、ブリーチした後の色が出来上がりの状態かと思って、心が少しどよめいた。鏡越しに見る自分が田舎のヤンキーみたい……。
そもそも赤髪にするか金髪にするか迷った末、赤髪をオーダーしていたし。
しかしそれからもちろん作業は続くわけで。
3時間後、出来上がりはなんとピンクになった。
おおお!
中身は何も変わっていないのに、見慣れない自分の姿はとっても変わって見えて、再び心がどよめいた。
予想していた赤髪とは違うけど、ヴィジュアル系になることを恐れていた私に対する美容師さんの配慮でこうなった。何色になっても、もはや髪に色がついたことだけで私は嬉しい! と鏡越しの自分を見ながらニンマリしてしまう。
それからしばらくは、髪の毛の先を指でくるくるしながら目の前に持ってきて眺めたり、太陽の光に透かしてみたり、街角の鏡という鏡が現れるたびに自分の顔を覗いてみたりして楽しく過ごした。
この色になって初めて友達たちに会うときは、学校で新しいクラスの人たちに「はじめまして」を言うような気持ちで、ちょっとだけモジモジした感情もありつつ、新鮮な反応に期待するようなワクワク感もあった。
今はまだ冬だけど、”春が来た♩”って、そんな気持ち。
それから1ヶ月くらい経とうとしている今、髪の色はすっかり金色になった。ブリーチ後のパキパキな色じゃなくて、スモーキーなベージュみたいな色。こういうふうにして色が落ちていくのかと、初めての体験をしてちょっと嬉しかった。
金髪になって気がついたのは、スッピン眼鏡だとかなりヤバい奴になるということだ。黒髪のスッピン眼鏡よりも、金髪のスッピン眼鏡のほうがパンチがある。
イメージで言えば、昼のニュースとかに出てきそうな騒音迷惑おばさんとか、売れてるのか売れてないのかよく分からないような芸人とか(誰もZAZYとは言ってないよ^^)。パッと鏡を見たとき、ときどき自分がそれに見えて、ヤバイ(笑)と思ってはちょっと笑ってしまう。
いろんな自分がいるんだなと思う。
金色と赤色で迷うことも、赤色に決めてピンクになることも、ピンクになったかと思えば金色になることも、”初めて”と”変化”を楽しむってなんかよかった。
こんなふうにして、いろんな色がゆっくり混ざり、重なって、私を纏う。
次は何色にしようかな。
本当の春がやってきた頃に、また何か変わってるかもしれない。