ハタケシゴト さつま芋
昨年 ハタケシゴトを始めて、やり始めたら「アレも」、「コレ」もと欲張って、数えてみたら30種類くらいやっていた。色々な理由で、途中で途絶え、収穫に至らなかったものは10種類ほど…
その中で、「誰かに言いたい!」「何度も言いたい!」ってくらい美味しかった!のが さつま芋と小玉スイカだった。
さつま芋は ホームセンターで「芋づる」を購入し、畝に差して、後はなんにもしなかった。苗が育つより早く草に覆われてしまい、どうしたらいいかわからず、ちょっと草を抜こうとしたら、伸び始めたさつま芋のつるが一緒に抜けそうになったので、やめた。
‟草は抜かずに、根元で刈る”
そう、本に書いてあったではないか。思い直して鎌を持ち、根元を覗くと、・・・わからない。どれが草で、どれが芋なのか…迂闊に刈れば、芋のつるを切ってしまいそうで、手が出せなかった。タイミングが遅すぎたのだろう。仕方ないので放置した。
梅雨が終わり、夏が始まった頃には、さつま芋が伸びだして「これが、さつま芋」と認識できるようになったが、草の勢いも落ちない。上になったり、下になったりしながら、競い合って伸びていった。
隣の畝のかぼちゃがのつるが伸びてきて、さつま芋の畝を横断していく。もう、カオスだ。さつま芋の畝でかぼちゃを収穫したりして、秋になった。
秋になっても草の勢いは一向に収まらない。
10月の終わりごろ、試しに端っこのツルを抜いてみた。・・・紐みたいに細長い、「コレ、芋?」ってやつが付いていた。苗を差してから、5ヶ月弱。植え付けの時期も少し遅かったし、初期生育期間は草に負けていたし、ダメだったのかな…と気落ちした。あと1か月位様子を見ることにした。
11月は温かな日が多く、12月に入り急に気温が下がり、初霜が降った日に、もう限界だろうと 掘り上げる事にした。
全然テンションが上がらず、「畝を片付ける」、くらいの気分で掘ってみて、びっくり。大きく育った芋が ゴロゴロ出てきた。
1ヶ月ちょっとで突然育ったわけではなく、最初の試し掘りしたのが、増えた芋づるが二次的に発根し、芋になりかけたものだったようだ。
全く期待していなかっただけに、うれしかった。さらに驚いたのは 味。
うれしくて、その日の夜に、5本分 輪切りにして、てんぷらにた。
食べてみて、「何これ・・・甘い‼」
大げさじゃなく、今まで食べたさつま芋の中で一番甘い。
甘くて、きめが細かくて、滑らかで、香りもとてもいい。
さすがに多すぎるか、と思った5本分のてんぷらを、その日のうちに食べてしまった。
あまりに美味しくて、次の日も、その次の日も てんぷらを食べ続け、さすがに飽きてきたので、少し時間を置くことにした。
10日くらいして、そろそろ、焼き芋にでもしようかと見ると、玄関の土間に並べていた芋から黒い汁が出ている。触ってみると芋がぶよぶよしている。あきらかに、傷んでいる。
掘り上げたばかりの 土のついた芋が、なぜ 一週間や十日で傷むのか?
まったく予期せぬ展開に、茫然とした。
原因を調べるために、パソコンに向かう。
原因は、低温障害だった。さつま芋は寒さに弱く、保存の適温は10℃~15℃、とあった。冬季の我が家に、そんな場所はない。
丁度その時期、寒波のため、玄関の気温は0℃位になっていたと思う。居間でも3℃を切っていたから…。知らなかった・・・。
これでは、来年の種芋にも出来ない。残りの芋を片っ端から切ってみた。ほとんどが中まで黒ずんだ色に変色して、少しでもマシなやつを探したが、変色してなくても、スポンジ化していて、あきらめざるをえなかった。
なんと勿体ない事をしてしまったのか。せっかく命を全うし、立派な芋を託してくれたのに、こんなことになるなんて。
私が、掘り上げなければ、来年 新しい芽が芽吹いただろうに。
芋や実を頂くなら、次の年、その種を土に戻すまでが責任だと、痛感した出来事だった。
畑にあった頃のさつま芋を思い出して、心の中で詫びた。