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だるまさんがころんだ
だるまさんがころんだ!
幸梅
振り向くといつも誰かがいた。
だるまさんがころんだ!
そこには
お父さんとお母さんがいて、
キラキラ笑って、
私をぎゅっと二人で抱きしめてくれた。
だるまさんがころんだ!
お友達とみんなで花一匁をして、
行ったり来たりして手を握り合っていた。
ケンカして、ぶつかった日もあった、
でも次の日はいつの間にか
もっと仲良くなっていた。
だるまさんがころんだ!
お父さんとお母さんが怒鳴りあって、
私と兄は心配そうな顔でみていた。
だるまさんがころんだ!
お母さんとおばあちゃんがいた。
おばあちゃんはしわしわの手で
一緒に寝ていて、
布団をトントンしてくれた。
優しい手をしていた。
だるまさんがころんだ!
お母さんはいつも忙しいそうで、
もう、お父さんの姿はなくて、
何だか、すごく寂しかった。
だるまさんがころんだ!
初めての仕事をした。
それからは、いつも時間に追われいた。
お休みの日に友達とカラオケに行くのが好きだった。
友達は辛い時にいつもそばにいてくれた。
だるまさんがころんだ!
優しい人を好きになった。
たくさん語り合い、
半年後、薔薇の花束をもらった。
お腹に子供がいることがわかった。
だるまさんがころんだ!
子供が3人になった。
自分が母になり、怒涛の毎日になった。
お母さんの大変だった気持ちがよくわかった。
母の日に花束を送った。
家族で笑顔でいる時間が何よりも大切なことだと知った。
だるまさんがころんだ!
身体が、あちこち痛くなって、
老いに負けないようにとピアノを始めた。
主人とコーヒー豆を挽くのが日課だった。
母の姿は見えなくなってしまった。
だるまさんがころんだ!
畑をしたり、
主人とお茶したりする毎日になった。
孫の顔に会えるのがすごく楽しみにでしかたなった。
だるまさんがころんだ!
すごく眠たくなって、
目の前に川が広がって、
一艘の船が待っていた。
向こう岸に行ってみようか。
だるまさんがころんだ。
向こうでみんなが待っている。
きっと、また新しい遊びが始まるだろう。