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明治の手紙 姉からまつへ
祖母田中はると姉妹は、明治30年代に神田区西小川町の佐々木慎思郎家に奉公に上がっていた。この手紙は、長女から、まつ(次女)に宛てたものだが、文面で、かつ(四女)のことに触れている。
内容は、
時候不順ですが、(佐々木家の)奥様の病状は如何ですか。私か母かでお見舞いに伺いましょうか。お知らせ下さい。そのときに、かつさんに先方からの帯と下駄をお目にかけましょうか。これについてもご返事を下さい。
先方とかつの関係が分からないが、もうひとつのかつからはるへの手紙で、「20日に病院から帰りました。明後日はいよいよ先方へ参ります」とあり、その前に佐々木家への暇乞いに伺うべきかどうかを尋ねている。
先方は、新しい奉公先とも思えるのだが、はっきりは分からない。とにかく、かつは、佐々木家を去って、新たな生活を始めようとしていた。
【姉からまつへ】
本文(仮訳)
一筆示し奉候 陳は誠に不順の時候に御座候處御奥様の御病気は如何に御座候哉 私か母事にてもお見舞に御伺ひ申上候哉 宜敷御知らせ被下度候 就而その節御かつとのえ先方よりの帯と下駄とを御目に掛けませうか 此れも御返事を下さい 殊やうに願ひ候
おまつとのえ 姉より
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【かつ子からはる子へ】
本文(仮訳)
先日は御出で被下失礼致し候 私事も廿日に病院より帰り候由 明後日はいよいよ先方へ参り候へば其前に佐々木様へ御いとまごいに伺わなければいけませんか 又は伺わない方がよろしくば伺いませぬ故一寸早速に御返事下され度願上候 あらゝかしこ
はる子様 可つ子
二伸
もし伺わなき方がよろしくは あなたから私事より手紙にて失礼に候へ共多忙故か手紙いとまごい致すと旦那様にも御奥様にもあな(た)から御よろしく申上げ下され度候 何卒ゝ御願申上候 早々以上
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